PCオーディオに挑戦⑬:銀線USBケーブル、UA3(50cm)
AIM電子のUA3という銀線USBケーブルをいつか使うかもと、謎な買い物をしたきり納戸の中にもう何年間も眠らせていた。ケーブルは50cm。PCとDACを50cmのUSBケーブルで繋ぐのは、ルーム内にラックを導入することを決めた時からの裏目標だった。わくわくしながら試した。
以下、ケーブルのこと。次にUA3試聴の印象。それから今回のセッティングの周辺について。
☆AIMのUSBケーブル、UA3
有名なケーブルなので知っている人は多いだろう。2本の純銀単線の信号線を旭化成の電磁波吸収材、パルシャットで包み、それをアルミシールドで包み、さらに銅編組シールドで被覆。他方で並列する電源ラインは、まったく同じ構造であるが、径がより小さい単線導体で無酸素銅となっている。
持ってみるととても軽い。徹底したシールドを施した単線だが、しなやかである。捻ると柔らかくその形態を保持するが、より線のようにくねくねはしない。単線が突っ張っらないように接続することが重要だろう。単線はノイズ感が低く滲みのない音を与えてくれる。ケーブルの工作をする際にも簡単である。機器に接続するのも簡単。しかし、機器と機器を繋ごうとすると、ツイストして曲げるという2つのテンションが重なる場合には途端に気難しさを出してくる。導体が短ければ短いほど、難しくなる。しかし、単線の虚飾のないストレートな美音は1度体験すれば分かるが、病みつきになる。
銀線に関してなのだが、ロジウムメッキと共に、「きんつく」のでダメだ、無メッキの無酸素銅に限るというマニアがけっこういるのだが、そもそも低音が出ておらず全体的になまっているケースが多い。銀やロジウムを使っても、低音が出せないシステムであると高域方向だけ拡張されて、下がついてこないから、きんつく、のである。しかしそれは銀線やロジウムメッキのせいではない。DACとパワーアンプとセッティングでSPの低域をきちんと確保した上であれば、フラットで麗しい高音とふくよかでスピーディーな低音を両立させてくれる。
そういうわけでUA3の特徴は高品位な導体をそれぞれパルシャットで包み、徹底したシールドしていることにある。このような非常に防御力の高いUSBケーブルをわざわざ50cmで結線するのは、屋上屋を架すというよりも、短距離で単線の結線に伴うデメリットのほうが多いのではないか?その疑念には答えられない。なぜならUA3の50cmが1本あるだけだから。今回の比較はHolo Audio、MAY KTEに付属の2mのUSBケーブルである。
☆試聴
ポゴレリチの超絶ショパンなのだが、全部が聴こえる。全部というのは、響板で反射してマイクに飛び込んでくる音だけでなく、ピアノの内部に張られた弦の震えも、ピアノに対峙するポゴレリチの存在の全てであるので、そこにピアノとピアニストが実在するように聴こえるということである。高域はもちろん綺麗であるが、「きんつく」かどうかなどという次元の話ではなく、それはピアノの音なのであり、羊毛を巻きつけたハンマーで金属線を震わせたり張り詰めさせたりする一音一音がショパンのロマンティシズムを表現しており、そういうポゴレリチによる思慮深いピアニズムのなせる音の全てが聴こえる。控えめにいっても、そんな気がするのだ。96/24のflacとは思えない。それが何かと言われると窮するが、素晴らしい再生音だ。
UA3による50cm結線は、高域が良いとか、ボトムがしっかりするとか、S/Nが良いとか、なんとかいう感じではない。これでなければならない。極めて自然である。
なお、MAY KTEに付属のUSBケーブルは布製の編組されたもので柔らかいケーブルで2mくらい。ELECOMの1000円のオーディオクラスのケーブルに似ているがそれよりいくらか質感は良い。ELECOMのはケーブル固有の色がまとわりつく。MAYのやつはもっと軽やか。ラインケーブルのBELDEN88760みたいな、さらっとした当たり障りのない感じ。
☆DACのセッティング
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