PCオーディオに挑戦⑧:コトヴェール

☆ノイズ、雷サージプロテクタ

コトヴェールの「ノイズ・雷サージプロテクタ(ケーブルタイプ) SFU-005-3C」を、SOtM, tX-USBx10G 低ノイズPCI Express to USB Adapter Cardの外部入力用の電源に使ってみた。

コトヴェールの「ノイズ・雷サージプロテクタ(ケーブルタイプ) SFU-005-3C」

専用回路の壁コン→ force bar3.1(電源タップ) → 《コトヴェール》→ iPower2(9V&2A) → 出川式CPM → SOtM, tX-USBx10G

こういうものは積み重なって初めて効果を発揮するので、コトヴェールだけの効果なのかは分からないが、非常に効果的だった。


☆コトヴェール、SFU-005の商品説明

商品の説明には、「NTTの開発した複合型コモンモードチョーク(特許1652962)を使用することにより、広帯域なノイズ(電磁パルス、バーストノイズなど)に対して高い減衰能力を発揮。業務用につきパッケージはありません。」

また、「商業用電源(一般的なコンセント利用)に含まれる広帯域なノイズを低減(最大-58dB(800分の1))させることができます。特に、安価なフィルタ付きコンセント等では抑えることのできなかったコモンモードノイズに対し、効果的な保護を行います。 雷サージに対し、効果的な保護を行います」とある。

そして、「100MHz以下のノイズを入出力両方向でカット」するとされている。コトヴェールはサージ防護に加えて、コモンモードとノーマルモードのノイズを入出力の両方で減衰させるSFU-005は5Aである。なお、プラスチックのちゃちいケースなのかと思いきや、意外としっかりしたケースで、背面にはアース端子がある。また、コンセント部なのであるが、ロック機構がついており回して銅の端子にプラグを固定する仕様。プラグの固定も悪くはない。他に15A用のものもある。


☆SOtM tX-USBx10Gとcanarino DC

オリオスペックのcanarino fils9 Rev.5の背面。縦に銀2、黒1で合計3つのPCIeスロット用のスリットがある。3つの内の左側のスロットは黒いパネルになっており、USB3.0以上に使われる青色の端子が見える。これがSOtM, tX-USBx10Gで、パネルの上方には外部DC電源用の入力端子が見える。ここに接続する電源の話をしている。写真右端の丸型端子2つはcanarino DC dueで、DC電源の入力端子である。

SOtM, tX-USBx10Gは外部電源オプションを使わないのであれば、マザーボードの電源を使うことになる。外部電源オプションを使えば、マザーボードと電源を共有しなくて済むので、USB出力の働きも、その他のマザーボードの働きも、良くなるはずである。そういうわけで、USBで出力することを基本的に考えているわけだが、外部電源オプションを持つLANモジュールも搭載する予定である。この辺りのことは「PCオーディオに挑戦①」で、電源の細分化が何をもたらすかを少しばかり気にしながら試聴記を書いたので参照されたい。

改めてまとめておくと、今の私のシステムは、PC本体にcanarino DC due(上の写真の右端の円形の端子が2つあるもの)を通して給電する。そこにcanarino DC power supply12Vというダイトロンの開発した超低ノイズのソフトスウィッチング電源ユニットを搭載した専用電源を2つ接続している。これによってCPUとマザーボードに別々に安定した電源供給をすることができる。そしてさらにUSB出力にSOtM, tX-USBx10Gの外部電源オプションを使うことで、マザボード内の電源をさらに細分化することになる。そういうわけで合計3口の電源を使っているし、しばらくしたら外部入力を持つLANカードを導入して、合計4口にするつもりであるのも、電源の専用化細分化をを企図している。LANを加えて電源4口というのは今後の予定ね。


☆iPower2

iFi iPower2 - Low Noise DC Power Supply

新しいiPower IIは、改善されたコンポーネントとより太い配線ゲージを誇り、改善された出力/入力ノイズ抑制を実現します。また、すべての外来EMIおよびRFIノイズをキャンセルするActive Noise Cancellation IIは、ノイズや粒子の粗さに対して強力に作用します。ほとんどのいわゆるオーディオ向け電源よりも10倍以上静かです。

https://ifi-audio.jp/acc/ipower_ii.html

あまり値段が高くなくてこの宣伝文句の通りならば素晴らしい製品ということになる。このiPower2の9V, 2A仕様を、SOtM, tX-USBx10Gの外部電源に使っているのだが、tX-USBx10Gの仕様では電圧が「+7V ~ +9Vdc」であり、電流が「5A max」となっている。iPower2の9V, 2A仕様であると tX-USBx10Gの要求には少しアンペアが足りていない(可能性があるので、別に対処する予定)。


☆本題

説明が長くなったが、やっとコトヴェールに戻る。

専用回路に2口のFURUTECH製のコンセントがあり、ここにforcebar3.1を経由してiPower2が1つ、また、同じkojoの新型Crystal C2P2を経由してcanarino DC power supply12Vが2つ繋がっている。要するに、この2口のFURUTECHコンセントで、PCの3つの電源を供給している。

そのiPower2にコトヴェールをあてがうと、劇的に効果があった。何故なのかは切り分けていない。コトヴェールは入力されてくるノイズ(分電盤全体を回っているノイズとともに、canarino DC power supply12Vが出す分も含まれる)に対しても、iPower2が出力するノイズ(canarino DC power supply12Vへの影響も含まれる)に対しても、効果がある。「100MHz以下のノイズを入出力両方向でカット」するのだから。

PCオーディオが面白いなと思うのはパーツを付け替えながら、プログラムや接続形式も変わってくることで、音楽体験が全く違った表情に一瞬で変わることである。その際に、スイッチング電源にどう対処していくのかは、初歩的で、重要なテーマであるはずだ。


☆音楽再生時の効果

深田晃さんという元ソニー、及び元NHKの録音エンジニアがdream windowというレーベルを主催されており、評論家が推奨しているのを見て、深田さんが手がけたDSD256のソフトを購入してみた。

①桑形亜樹子(チェンバロ)、J.S.バッハ: 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV 846-869(1722年自筆手稿譜による)

②藤田真央(ピアノ)、passage パッセージ


コトヴェールなし:

正直言って、またオーディオ業界系の音源の宣伝にやられたかと思った。

①のチェンバロは音が潰れていて、楽器がまったく歌っていない。大して詳しいわけではないが、私の好きなチェンバロの音色はアーポ・ハッキネンのSACDで、6枚所有しており、マルチチャンネルサラウンドで愛聴していた。これらは、たぶん相当にオンマイクでの録音スタイルであるからなのか、残念だが音像の結集力が弱いのである。その代わりに、チェンバロの煌めきを決して濁らせないように録っているのだと思う。泣きたくなるくらいに清澄な音色である。深田さんの録音した①は、その真逆で、音色が薄暗い、と思った。

②のほうは、大型のホールでぽつんと藤田真央とピアノをステージに据えて録音したようなのだが、遠い。ホールの音が良いって観客の数が勘定に入っていると思うけど、大ホールにピアノ一台という宣伝用ビデオクリップの月並みなイメージで、モーツァルトやショパンを録る意味が理解できない。ライブ音源ではないのだから、藤田真央をどこに定位させるべきなのか、試聴する側のイメージができていない。拘りが強いぶんだけ独りよがりのエンジニアリングじゃないか、と思えたのであった。

このように、相当にネガティブな印象であった。コトヴェールなし、の時には。


コトヴェールあり:

使用から2日目、激変した。

①のチェンバロは、ストロークが見えた、気がした。ノイズによって、音像の動きが潰れてしまっていたのだ。奏者はかなり力んでチェンバロの鍵盤を押し込んでいるのではないか、そんな強張った演奏スタイルが伝わってくるくらいに、実は解像度の高い録音であったということ。

②のピアノはもっと驚いた。コトヴェールありでは、ピシッとフォーカスが合った感じになった。遠目で藤田真央の鍵盤さばきを眺めているぼんやりとした感じがなくなり、鍵盤の上をころころ転がっていき指が離れきっていない感じの独特のレガート風のタッチが生み出す音の粒は、1つ1つがつるつるで綺麗に整っているという藤田真央の芸当を堪能することができた。

このように、ノイズフロアが下がり再生音の解像度が上がることで、録音ではなく演奏に接近できた、というのが、コトヴェールあり、の感想である。

なお、「PCオーディオに挑戦⑦」でとりあげた、井筒香奈江『another answer』のノイズなのであるが、コトヴェールありで、よりはっきりと聴くことができた。(笑)やはり音源に入っているノイズなのである。どこかで聞き覚えがあるノイズの気がするのだが。

ハイレゾの値段高いのだからもうちょっとね~

このアルバムは、録音の日付も方式も多様であるらしく、この曲のこのアレンジのバージョンは、ダウンロード用配信においては、「DSD11.2MHz/1bitでマルチ録音」であったのだという。https://www.e-onkyo.com/news/3238/


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