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PCオーディオに挑戦⑩:リニア電源(2)

☆プロローグ

PCのPCIeにあるUSBの電源にiPower2を使っており、そこにいくつかのガジェット(CPMとコトヴェール)を足すと、かなり満足のいく音になった。しかし、そのUSBが必要とする最大電流が5Aであることから、最大2AのiPower2にかえて、最大5Aのリニア電源をエルサウンドに特注したものをあてがうとどうなるのか、というので試してみたのだが、期待した改善はなかったのであった。期待が高すぎた説もないわけではない。(^^)

もう少し細かくおさらいすると前回は、壁コン ⇒  < コトヴェール ⇒  iPower2 >⇒  出川式CPMSOtM tX-USBx10Gという電源ラインを、壁コン ⇒  < エルサウンド アナログ電源 >⇒  出川式CPM ⇒ SOtM tX-USBx10Gに変えた。

< コトヴェール ⇒  iPower2 >は容易に予想できるとおりに、サイレントである。石のように静謐な音である。それをアナログ電源にすると、筆で塗ったように色づき、たしかに自然な音ではあるのだが、うわべだけのレコード再生のようにダイナミックレンジが狭い。ノイズフロアが上がって音が潰れてしまっている感じがした。

そういうわけで、同じコトヴェールをかまして、壁コン ⇒  < コトヴェール ⇒ エルサウンド アナログ電源 >⇒  出川式CPM ⇒ SOtM tX-USBx10Gとしてみた。これが効果を発揮するようであると、同じ壁コンセントに繋がっているcanarino DC power supply12Vの2台にも何らかの処置をする必要があるということになる。。。

☆コトヴェール+アナログ電源

確かに良くなった。ダイナミックレンジが広がった感じがする。アナログ電源が入力されてくるノイズにやられていたのだと思う。しかしiPower2ほどに、ノイズフロアが下がりきらないのか、音像の足元がふら〜っとしており、定位が見えない。

例えば、次の音源はアルト、ソプラノ、テナー、バリトンの各サックスによるカルテットである。どこの位置でどのサックスが吹いているのかが分かるかどうか、つまりハーモニーを構成する分離感を測りやすいのではないだろうか。

中級以上のシステムの音像定位を見定めるのに良いのは、まずスタジオのブースでバラして録って美容整形エンジニアリングをしたものではないので、強制定位しナイから。かつ、カルテットであるので分かりやすい。問題はもやもや混ざらず4人の姿がすっきり見えるのに1つのハーモニーとして楽しく音楽を聴けるかだ。強制定位系の音源だと誰がどうやっても定位するから、定位の質が良いも悪いも分からないの。

分離感のない、固有性のないハーモニーとは、混ぜこぜというだけ。まだまだコトヴェール+iPower2の方がよい。

☆コトヴェール+C2P2+canarino DC power supply12V

C2P2というのはkojoのサージアブソーブと音質に配慮したというノーマルモードチョークコイルを搭載した、デジアナ分岐型の電源タップである。

デジアナ分離といっても2つの回路に搭載されたフィルタは同じものということなので、どちらも同じものと思われる。canarino fils9 Rev.5は全く同じ特性の電源を必要とするので、この2つのコンセントにcanarino DC power supply12Vをそれぞれ接続している。「電源ラインから侵入するノイズや、電源ラインに回帰するノイズを抑制させる他、アナログ系パワーラインとデジタル系パワーライン相互間のノイズ干渉をも抑制してくれます」と商品説明にある。canarino DC power supply12Vを2台使う人にはうってつけの電源タップに思えるのであるが。。。

今、専用回路からの壁コンセントに2口のACインレットがあり、その1つはコトヴェール+エルサウンド・アナログ電源になっている。もう1つのインレットにはC2P2が繋がっており、そこにcanarino DC power supply12Vが2台接続してある。コトヴェールとC2P2はコモンモード・ノイズフィルタがあるかどうかで、フィルタの性能の違いはあれど、同じ趣旨のものである。コトヴェールは5Aで、C2P2は15Aを通す。

それで、コトヴェールをアナログ電源の前段ではなく、< C2P2+canarino DC power supplu12V >の前段にしてみた。つまりcanarino DC power supply12Vの手前のフィルタをダブルにしたわけだ。そしてアナログ電源は壁コン直結である。なんと、こっちのほうが良い。しかしまた、コトヴェールをこの壁コンの2つのACインレットのどちらにも使わない場合よりも、良い。しかるに、、、

①コトヴェールとエルサウンド・アナログ電源の相性はあまり良くない。
②canarino DC power supply12Vにはコモンモード・フィルタが必要。フェライトコアを使って単純に実験してみるといいかもしれない。
③canarino DC power supply12Vの漏洩ノイズは無視できないレベル。

☆アナログ電源直結+<コトヴェール→C2P2→canarino DC power supply12V> +電磁波対策

せっかく特注した電源なのに、量販品のiPower2に黙って戻すなどという選択肢はない。ということで、パルシャットMWAをあてがってみた。しかし、アナログ電源にだけあてがうとあまり変化がなく、PCの本体(canarino fils)と、その電源(canarino DC power supply12V)にもあてがった。

MWAシリーズは電磁波吸収剤のパイオニア。磁性を持つので機材を選ぶ必要がある。シートタイプには厚みのオプションもある。
旭化成のパルシャットを製品化したもので、磁性がなく絶縁性も高いので直接貼り付けて、電磁波吸収効率を高めらる。

先に結論を言っておくと、電磁波吸収材をcanarino filsの本体下とアナログ電源の上にパルシャットを、PCの電源であるcanarino DC power supply12Vの2台の上にMWAの1番厚いやつを置いた場合には、コトヴェール+iPower2を上回る音楽体験ができた。上に挙げたハッピー•マッキー☆SAXカルテットの「ティファニーで朝食を」は、3人は、(^^)、姿が見える気がする、くらいに音像定位の安定性が出る。ソプラノ、アルト、バリトンは見えるのだが、まだテノールがはっきりしない、そんな感じ。

PCの背面を真上から撮った。銀のシートがパルシャットで、PCの下に入れただけ。
銀の2つのcanarino DC power supply12Vに被さっているのはオヤイデのMWAシリーズの1番厚いやつ。シワが目立つのは5年くらい前に買ったやつを道具箱からごそごそ出してきたやつだから。(^^) 黒いのがエルサウンドのアナログ電源。これの上にパルシャットのテープタイプの巻いてあるやつをそのまま置いた。これらのどれも全部やらないと効果が薄い。

しかし、まあこれは、アナログ電源をうまく活用できたというのではない。

☆大地帰還

down-to-earth。地に足を付けて生きるとは、謙虚さや堅実さのことではなく、途方もなく大きな存在と繋がることで、オーディオルームの諸問題を無限小に還元して、人生の大らかさを手に入れることなのだ、とレオン先生は言うのである。(嘘)

じゃあ、エルサウンドのアナログ電源の筐体を開けてみることにしよう。そして内部にパルシャットを試すとしよう。。。違う、違う、違う。先にアースだ。エルサウンドのアナログ電源のIECインレットは3Pである。これがもしお飾りなり、インレットの安定した接続のための、、、とかいう代物でないならば、電源回路のノイズを緩和するのにアースが効くはずなのだ。アースが低抵抗アースならば!ということで壁コン→コトヴェール→2Pでforcebar3.1→3Pでアナログ電源を接続して、forcebar3.1のアース端子に専用大地アースで接地してみた。コトヴェールとforcebar3.1の間は2Pなので家全体で共有のアースは切れて、forcebar3.1のアース端子から専用アースを繋げたということ。

専用回路の壁コンにコトヴェールが挿さっている。ところで、コトヴェール壁コンの横の大きな電源ボックスのアース端子は、地中に埋設した段階では3Ωを切る大地アース。
この使い込んだPC-triple C導体を使ったアースケーブルのIECインレット側のプラグを外すとYラグになっている。これで電源タップのアース端子に接続して、エルサウンドを3Pケーブルで接続するど!
forcebar3.1、黒いタップ、に接地し、アナログ電源に専用アースを与えてみると、、、

。。。。。。何も感じない。私の経験では仮想アースのほうが音質改善の反応は遅い。ふと気づくと効いていたとなるケースが多いと思う。大地アースは速い。繋いだ瞬間に、がっと変わる。しかし、今回は、悲しいくらい何も感じない。

☆C2P2の方にアース

forcebar3.1を抜いて、壁コン→コトヴェール→アナログ電源にしたまま、C2P2に専用アースを与えてみた。

C2P2を接地して、canarino DC power supply12Vの2台に専用アースを与えてみても、、、

何も感じないの。むしろ鈍ってる。なんぜ?

実は一昨日の夜から昨日の夜10時くらいまでずっと、アナログ電源でコトヴェール+iPower2を超える作戦を模索していた。上に書いてきたように色々とやっているわけだが、その度に電源を切っている。寝起きがそんなに良くない機械がどれなのかは分からないが、もしかするとPCIeにいるSOtM, tx-USBx10Gかもしれない。そもそものところ、このモジュールのためにアナログ電源だのiPower2だのコトヴェールだのとあくせくしているわけであるが。分からない、アナログ電源も遅いのかもしれない。考えてみると、コトヴェールを入れ替えるために抜き差しする直前のサウンドが一番良かったのは、10時間以上電源ONが続いた状態だったからなのかも。

☆分かったこと

残念ながら収穫は少ない。スイッチング電源にコトヴェールをあてがうのは有効で、canarino DC power supply12Vにも該当する、とか、電磁波対策はやったほうが良いとか、そのくらいか。いや~、疲れた。( ´∀` )

今後のために音源のメモを書いておこう。

いくつかの実験では、クリップしたような歪みを感じた。オルゴールが生々しく聴こえて、きらきらが音場にいっぱいに広がるかどうか、また、音圧を上げて中高域が潰れないかのチェック。
ドビュッシーの「月の光」であるが、教会で録音している。甘ったるくなりそうなアルバムであるが、とってつけたような反響音とかの工作はない。弦と反射板の間から溢れてくる残響の明度は微細な信号を拾えているかのチェックにいいだろう。無論、凛々しい打鍵の音色はとても好ましい。
トラック数が110を超えるので、正確には「熱情」であったかどうか把握していないのだが、初期のソナタであったかもしれない。グレン・グールドよりも大いに歌っており、その歌声がスピーディーでダイナミックなパッセージにさしかかると、歌ではなく、何かの電波障害のようなノイズに聴こえて、音楽が楽しめなくなる。たぶん歌いながら首を振っていて、マイクに入ったり入らなかったりしているのかもしれない。どうすれば、この鬱陶しい雑音を悦に入ったサイの歌声に変えることができるかは分からないが、システムを改善すれば何とかなりそうだし、その価値もある演奏に思えるのである。96/24のflac。


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