ドイツの出産-退院&ヘバメ-
出産にかかった時間はトータルで7-8時間。
そんなに時間がかかったとは思わなかったが、子どもは疲れてしまっていて、出産時、産声を上げることができなかった。
助産婦さんたちもそれに気づくと、さっと赤ん坊を奥の処置室に連れて行った。ちょっとドキッとしたが、すぐに遠くから泣き声が聞こえたから、ほっと安心。
赤ん坊はきれいにされるとすぐに私のおっぱいをくわえさせられた。おっぱいから何かが出ているようには思えなかったが、助産婦さん曰く、出産後すぐに出てくる数敵の汁(?)が非常に栄養があって重要なのだそう。
出産後は赤ん坊とともに一般の病室へ。
2人部屋だったけど、先客はおらず、実質的に個室だった。ラッキー。
数時間後、うれしさでほっぺたが赤く膨らんだ母が夫に連れられてやってきた。出産から4-5時間後のことだったが、私はその頃にはベッドから降りてトイレに行くこともできた。無痛分娩は疲れない分、回復が早いのだと感じた。2日目にはシャワーをあびることができたし、食事を自分で取りに行ったりもできた。
ドイツは退院が早い。通常、2日で退院ができる。
私も自分の体の回復は問題なかったから、早く家に帰りたい、と思っていた。
ところが、産後2日目の赤ん坊の体重の減りが多い、ということで、もう一日、ミルクを追加して様子を見ることに。初産だから仕方がないが、おっぱいの出が悪いようだった。実際、夜に授乳をすべくおっぱいをくわえさせても、すぐに離してしまい、飲んでくれていなかった。
3日目には、引き続きミルクを追加で飲ませるよう指示を受けて、なんとか退院。アジアの血がはいっているからか、黄疸についても指摘されたが、それは様子見ということに。
さて、なぜ、こんなに退院が早いのか。
それは、ヘバメ(Hebamme)、いわゆるホーム・助産婦というシステムによる。産後、このヘバメさんが定期的に自宅にやってきてくれ、赤ん坊の成長具合やママの体調をチェックし、育児相談やアドバイスをしてくれるのだ。
私は実は、事前にヘバメさんを頼んでいなかった。日本から実母が来てくれることになっているし、それで十分、と思っていたからだ。
ところが、母にとってもドイツでの育児の常識がわからず、とまどうことが多かった様子。例えば、日本では新生児はゆったりした洋服を着るが、ドイツの病院でうちの子が着せてもらっていた服はかなりぴったりしたものだった。母はすぐにそのことに気づき、なるほど、ぴったりした服のほうが赤ん坊が安心するんだろう、と思ったらしい。
また、日本では新生児をすぐにお風呂にいれるが、ドイツではできればへその緒がとれてから、という。
そんなことが重なり、母もやはりヘバメを頼んだほうが、、、という意見になった。赤ん坊のおへそがぐじゅぐじゅしてしまって、急遽、出産した病院に連れて行く、なんてこともおきたが、ヘバメさんがいればそういう対応もしてもらえたはずだった。
とはいえ、通常は、妊娠中に探してもなかなかスケジュールがあいている人を見つけるのは難しいといわれている。ドイツは全国的に出生率が上がっているため、ヘバメさんもひっぱりだこなのだ。
とにかく電話しまくるしかない!と意気込んだが、探し始めてすぐに、自転車で通える範囲のところに住むヘバメさんが見つかった。どうやらちょうどキャンセルがはいったようだった。これは本当にラッキーだった。
ヘバメさんは5日おきくらいに、全10回、通ってきてくれた。
毎回、赤ん坊の体重をはかり、私の血圧をはかり、育児相談にのってくれた。下の会陰切開の回復についても、不安なら見るわよ、とまで言ってくれて、おお、そこまでやってくれるのか、と驚いた。また、時間外の時にも、おっぱいが固く、みるみるうちに張ってしまったときに電話をかけたら、的確なアドヴァイスをしてくれた。
ヘバメさんによっては、産後の矯正ストレッチやらヨガのようなものをやってくれる人もいるらしく-それによってその人の人気も高まるのだろう-、そういうリクエストがある妊婦さんはもっと早くに自分のリクエストにあったヘバメさんを探すようだ。なるほど。
さて、ドイツでの出産。
日本で子どもを産んだ経験はないから、実感としての比較は無理だけれど、ひとつだけ言えることは、安価に子どもを産める、ということ。
婦人科の受診・診察、産科での出産・入院、およびヘバメの費用が、基本的に保険でまかなわれる。
私が妊娠してから出産に至るまで、自分でお財布からお金を出して払ったものは、追加で撮ってもらったエコー写真1枚のみ(金額は忘れてしまったが、大した額じゃなかったはず、、、)。保険でまかなわれるエコーの回数が決まっているため、それを超える場合には持ち出し、ということだ。私がとってもらったときは、特に胎児も私も問題はなく、エコーを見る必要はないのだけど、欲しければとるわよ、と言ってくれたので、せっかくだからお願いします、となっただけで、エコーの回数が少なくて不満、ということではなかった。
もちろん、これらが保険でまかなわれるということは、普段、お給料から引かれているものも多いのだろう、と思う。
それでも、毎月、勝手に引かれる分には慣れてしまって気にならないもの。それに、どうせ引かれるのなら子どもを産もうかな、とも思えるかも(?)しれない。
いずれにせよ、子どもが欲しい、と思ったときに、出産費用の心配をしなくてよい、というのはすごいことだ。