見出し画像

ドイツの子育て-うちとそと-

★うちとそと

欧米では室内でも土足、というのが一般的なイメージだろう。
でも、実際には、少なくともドイツでは、玄関で靴を脱ぐ家庭が多い。ただし、うちとそとの境界線は、日本ほどしっかりしていない

夫の実家では、私も夫も入り口で靴を脱ぐが、義父は靴のままだったりするし、友人宅でも、自分たちは普段脱いでいるけど、別にはいたままでいいよ、好きにして、と言われる場合もある。

私にとって、靴をはいているか、はいていないか、は大きな違いだが、ドイツ人にとっては、あまり差がないようだ。

子どもへの対応も同様である。
私は初めての育児だということもあり、子どもを公園に連れて行くのは歩き始めてから、だと思い込んでいた。
だって、お座りしかできないとか、はいはいの段階では、砂が顔にあまりにも近い場所にあって口に入ってしまいそうだし、バランスを崩して砂に顔をうずめてしまったりもするだろう。そんなことはあってはならない、と思っていた。

ところが、公園を見ると、砂場に小さめの毛布やランチョンマットを敷いて、そこに乳飲み子がお座りしている、という光景が珍しくなかった。
あ、そう!思いもしない発想に驚いたとともに、そうか、確かに可能だよね、と思った。ママたちも砂場に座り込み、みんな裸足になって子どもと遊んでいる。なるほど。

こちら(少なくともベルリン)では、ちょっとでも日が差すと、若者たちが公園の芝生や川辺などに水着で寝そべっていたり、夏は座り込んでビールを飲んでいたりする。そうして野外で座り込んでいたスカートやジーンズで、家の中のソファーに座ったり、ベッドに横たわったりもする。
私には考えられないことだが、彼らにはたいしてことではないのだ。そのくらい、うちとそとの区別がない

子どもも同様で、公園の砂場で思いっきり遊んだ格好のまま、ごく簡単に砂をはらっただけで室内に入り、引き続き遊んだりする。保育園でも、迎えにいくと、庭で遊んでいるのに、室内履きのままだったり、室内にいるのに、外履きだったりする。親が土足で子どもが遊んでいる部屋に入っていっても、誰も文句を言わない。たくましいこと、この上ない。

児童館も同様だ。私はうちの子がよちよち歩きのときは、近所のいわゆる児童館によく遊びにつれていっていた。が、そこは、おかしの食べかすが多量に落ちていたり、砂やほこりがあちこちにあったりと、かなりワイルドな環境だった。閉館間際までいたこともあるが、おもちゃは特に洗浄されている様子もなく(コロナ後は変わっているかもしれないが)、そのままばさばさと棚に戻されているだけだった。正直、不潔この上なかった。
そのうえ、うちの子は何でも口に入れる子で、その期間もかなり長かった。その児童館にあるとてもきれいとは言えないおもちゃをなめまくっていたときは、これで免疫がつく、強い子になる、と言い聞かせて、見ないふりをした。
日本でも、落ちたものを食べましょう、ということが言われるようになったらしいが(これもコロナ前かな)、ドイツは落ちているものをわざわざ食べなくとも、それに近い環境が身近にある。子どもはいろんな免疫をつけて、強く生きていけるのだと思う。

ちなみに、私個人でいうと、私は外の地べたに座ったズボンでベッドに腰掛けること、腰掛けられることにいつまでたっても慣れない。以前、ワンルームに住んでいたときは、友人やその子ども―あきらかに公園帰りで、足が汚れている―がベッドに座ったり、枕で遊んだりしているのを苦々しい思いで見ていた。引っ越した今は、寝室の扉を閉めたままにしているから、そういう思いをすることはなくなった。どうしてもドイツ人になりきれない点である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?