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またねが言える距離にいること


あと数時間で7年半住んだこの街ともお別れ。
何もなくなった部屋の真ん中でポツンと座って
パソコンをカタカタしている。
サンボマスターの「うまくいくんだよきっと」という曲を聴いています。
今の気持ちを忘れないためにここに残しておきます。

今日を迎えるのがずっと怖かった。
長いようであっという間だった東京生活がついに終わる。
たった一人、ギターだけ持って自信満々に上京してきた20歳の私。
なりたかったものにはなれなかったけど、
それ以上に大切なものをたくさん見つけることができた7年半でした。


昨日は友達と、4年半付き合った元彼が家に遊びにきてくれて
ゲームをしたりトークサバイバーを見たりして過ごしました。
元彼と会うことになった経緯はこの後に書いておきます。

人生が大きく変わる時は空の写真を撮っておくと良いと誰かが言っていました。
いつでもそのときの気持ちを思い出せるようにと。
今朝5時に三人で並んで見た朝焼けはずっと忘れないと思う。


9/6、仕事を退職した。
最後の挨拶で周りが引くぐらい号泣した。
今思い出しても恥ずかしい、人前であんなに泣いたのっていつぶりだろう。
高校の卒業式ぶりぐらい?

職場がずっと嫌いで、あんなに毎日辞めたかったのに
どうしてこんなに涙が出てくるのか自分でも不思議だった。
最後になってから、こんなにも優しくてあったかい人たちに囲まれて仕事をしていたんだなと初めて気づきました。
辛くなったら上司が最後にくれた手紙を読み返そう。

9/10、お世話になった元バイト先の居酒屋に最後の挨拶に行った。
友達と二人で飲んでいたら、別の友達や常連さん、その日シフトに入ってないはずのスタッフが「おつかれ〜」とぞろぞろとやってきた。
どうやらサプライズで色々と計画を立ててくれていたらしい。

そこに4年半付き合った元彼も来てくれた。
バイトで出会って、友達期間も含めたら6年ぐらいずっと近くにいてくれた人。
会ったのは半年以上ぶりで、向こうも若干気まずそうにしていた。
ひどく動揺している私を見て周りはケラケラ笑っていた。

私の大好きなマスカットのケーキが出てきて、
「行ってらっしゃい。またね!」と送り出してくれた。
最後にみんなと写真が撮れて嬉しかった。

元彼と私は帰り道が一緒だったので、久しぶりに二人で並んで歩きました。
歩くスピード、二人の会話、全部があの頃のままでなぜか涙が止まらなかった。
振り返ると、私の東京生活は元彼との思い出だらけだったな。

よく寄り道した駅のパン屋も、飲みの帰りにいつも味噌汁を買っていたコンビニも
変わらずずっとそこにあるのに、私たちの関係性だけが変わった。

転職も引越しも自分で決断して自分で切り開いた新しい道だから
何も後悔はしていない。
だけどほんの少しだけ、自分の心にもっと余裕があれば
この人と一緒になる未来があったのかもなと思った。
「あの時こうしてたら、こうなってたら、俺たちは別れていなかっただろうね」と
少し寂しそうに言う元彼を見て、もうこの人の人生に私が関わることはないんだなと実感して胸が苦しかった。

別の日、最後に夜ご飯を食べにいくことになって、元彼の車に乗って思い出の場所を少しだけドライブした。
コンビニでコーヒーを買って、車の中でGReeeeNを歌って、去年まではこれが当たり前だったけど、何十回と乗った助手席もこの日が最後だった。
車通りが少ない田舎道を中秋の名月が優しく照らしていて、
これから別々の人生を歩む私たちの背中を押してくれている気がしました。

元彼に会って、これで本当に終わりなんだと実感してしまうのが
嫌だったんだと思う。伝えたいことがたくさんあったのに逃げていた。
だけど最後に会えてよかった。ちゃんと終わりにすることができた気がします。
きっと死ぬ前に思い出すのはこの人なんだろうなと思える大恋愛でした。
大好きだったよ。
ずっとそばにいてくれて、私を好きになってくれてありがとう。

友達や職場の人と別れる時、「またね」と言えるのは
幸せなことだったんだなと思った。
私は自分が思っている以上に愛されていて、東京にもちゃんと居場所があって、
全然一人ぼっちじゃなかった。離れるまで気づけなかったよ。
悩んで苦しんで必死の毎日だったけど、思い切って上京したことも
ここに住むと決めたことも、この居酒屋バイトに応募したことも、
あの時の選択は全部正解だった。お疲れ様、本当によく頑張った。
ずっと忘れずにいたいです。本当にありがとう。


こんな寂しい経験はもうしたくないなあ。
明日からは新しい人生。
不安だけど、大事な人がたくさんいるから頑張ろう。
大丈夫、うまくいくんだよきっと。

東京で私に出会ってくれた全ての人がずっと幸せでいられますように。
またね!


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