KPIの運用_Vol.2 KPIでCheckする
「KPIで予算達成度とその再現性を高めよう」シリーズとして、前回はKPIによる2種類のPlanの立て方「KPIの運用_Vol.1 KPIでPlanをたてる」について書きました。
今回はそのPlanに沿ってDoした結果のCheckについて書いてみます。
順番は「Where→Why→How」
行動の量にしても質にしても、目標が未達成だった時、多くの人が行動を数値化せずに、いきなり「How(解決策)」を考え始めます。
しかし、目標を達成していくためには、「How(解決策」よりも「Where(原因がどこにあるのか)」をまずは特定することが大切です。
このWhereが誤っていたら、Howも頓珍漢なものになってしまって効果が出ずに徒労に終わってしまうかもしれません。
このWhereを特定するためにはKPIごとに目標と行動を数値化して、「どのKPI(Where)」に課題があるのかをまずは見極めます。
そして次に「なぜそのKPIに問題があるのか(Why)」を考えます。
その次に「どのように解決するか(How)」を考えることでより成果に直結する行動につながるでしょう。
順番としては、Where→Why→Howです。
Whereについては、KPIを数値化できればどこ(どのKPI)に問題があるのかの特定が容易になります。
その次は問題のあるKPIに対してWhy(なぜ問題があるのか)」について考えますが、その際、トヨタ式の問題解決手法「なぜなぜ分析」やロジックツリー分析などを活用しながら、Whyを掘り下げていきます。
Whyを深掘りしていけば自然とHowに辿り着けると思います。
一方で、その結果、Howがたくさん出てきます。
そうなれば、次にそれらの中で優先順位を決めて取り組んでいくことになります。
KPIを活用したPDCAにおいて、前回はKPIを活用したPlanについて書きましたが、今回はKPIを活用したCheckのフェーズとして、Whereについて分析する方法を書いていきます。
ActionのフェーズでWhyとHowについて決定します。
KPIツリーに沿った分析
大前提として、実績数値は何かと比較するからこそ、その良し悪しを評価できます。
①目標と比較する(例:計画との対比)、②過去と比較する(例:前年同月実績との比較)、③他との比較(例:他の人/チーム/会社との比較)などです。
そして、できるだけ多くの比較をすることで、より的確に現状を理解することができます。
たとえば、①だけではなく②や③も同時に実施するといった具合です。
ここでは①について、「計画数値」と比較することでその良し悪しを評価する方法をみてみます。
具体的には、KPIツリーにそって計画未達成の原因を分析します。
Step.1 KGIの達成度を把握する
設定したKGIの計画値と実績値の差異について、その達成度を把握することから分析をスタートします。
たとえば、KGIである売上は、計画720万円に対して実績600万円だったので、達成率83%であったとします。
しかし、これだけ見てもそうなった原因はわかりません。
そこで次のStep.2 へ進みます。
Step.2 KPIの達成度を把握して分析する
KGIの達成度を把握したら、その具体的な原因を、KPIツリーにそって、上位階層から下位階層に向かって、その階層を深めていきながら突き止めていきます。
どの階層のKPIが計画未達成(もしくは達成)だったのかを把握し、その原因を分析します。
ここでKPIツリーのメリットを思い出してください。
KPIツリーは、KPI同士の因果関係が一目瞭然となるフレームワークでした。
上の階層の項目が悪い場合、その原因はその下の階層の項目にある、という因果関係が可視化されるフレームワークです。
この特徴を活かしながら分析していきます。
売上
契約単価
契約数
成約率
商談数
商談化率
リード数
KGIである売上が計画未達成になった原因は、KPIツリーの特性上、1つ下の階層にあるので、契約単価か契約数のどちらかに原因があるはずです。
それぞれの実績値を計画値と比べてみて、契約単価は計画達成しているものの契約数が未達成になっていたとすれば、売上が計画未達成になった原因は契約数が不足したからだとわかります。
ただ、契約数が不足した原因まではわからないので、なぜ契約数が不足したのかを分析する必要があります。
そこで、さらにKPIツリーの階層を下っていきます。
契約数が足りなかった原因は、その1つ下の階層にあるので、成約率か商談数のどちらかに原因があるはずです。
それぞれの実績値を計画値と比べてみて、成約率も商談数も、いずれも少しずつ計画未達成になっていたとすれば、契約数が足りなかった原因は、そのどちらもにあることがわかります。
さらに、商談数が足りなかった原因は、その1つ下の階層にあるので、商談化率とリード数のどちらかに原因があるはずです。
それぞれの実績値と計画値を比べてみて、商談化率は計画通りでリード数が計画未達成になっていたとすれば、商談数が足りなかった原因は、リード数が計画に対して未達成になったからだとわかります。
このようにKPIツリーの階層を下っていきながら各KPIの実績を把握していき、たとえば、売上が計画未達成となった原因として、「成約率」と「リード数」が計画に対して未達成だったことが主な原因であるとわかったとします。
そこで、「なぜ成約率とリード数は計画未達成になったのか」「どのようにして今後改善していくのか」について検討することで、改善策を見据えた具体的な分析をすることができます。
なお、下階層にKPIがないKPI(この例であれば、契約単価、成約率、商談化率、リード数)はもうそれ以上階層を下ることができないので、それらのKPIが計画未達成であれば次のステップとしてその原因と対策を考えます。
一方、下階層にKPIがあるKPI(この例であれば、契約数、商談数)は、それらのKPIが計画未達成であればその下の階層に原因があるはずなので階層を下っていき、最終的には下階層にKPIがないKPIまで掘り下げていきます。
ここで、たとえば先ほどのKPIツリーのKPI数値が次のように並んでいたらどうでしょう。
売上
契約単価
契約数
成約率
商談数
商談化率
リード数
極端な例ですが、このようにKPIが並列で、かつ、何の並びかわからない状態で並んでいると、売上の計画未達成の原因を読み解くのに苦労します。
KPIの数が少ないならまだしも、KPIの数が多くなれば大変です。
KPIツリーの階層構造にそって、上から下っていきながら因果関係をしっかり理解しつつ、KGIやKPIの計画未達成(または達成)の原因を探っていくほうがわかりやすいです。
KPIツリーにそった分析のポイント
ポイントとしてはいくつも挙げられますが、ここでは「達成要因も分析する」という点について触れておきたいと思います。
たとえば、次のような分析結果だったとします。
KPIツリーに沿って分析すると、売上未達成の要因は、契約単価が低いか、契約数が少ないかのどちらかにあるはずで、数値を見てみると、契約数が少ないことが原因だとわかる。
では、契約数が少ない原因は、商談数が少ないか、成約率が悪いかのどちらかにあるはずで、数値を見てみると、商談数が少ないことが原因だとわかる。
そこで、商談数が計画対比で少なくなった原因と対策について話し合った結果、Webからの問い合わせに対してうまく商談に持ち込めていなかったことがわかったので、問い合わせに対する荷電のタイミングをもっと早くすることにした。
このように、未達成のKPIについて、「なぜ未達成になったのか」と「どのように改善するのか」を考えて実行することはとても大切ですが、これだけではもったいないです。
たとえば、KPIツリーに沿って分析した結果、売上達成の要因は、契約単価も契約数も計画通りだったからだとします。
では契約数が計画通りだった要因について深掘りすると、商談数か成約率かのどちらかにあるはずです。
数値を見てみると成約率は計画未達成だったものの、商談数が計画を上回っていたので、結果として成約数が計画達成できたと考えられます。
では、商談数が計画を上回ることができたのはなぜでしょう?
このように、未達成のKPIについて分析するだけではなく、達成したKPI、特に計画を上回っているKPIについて、「なぜそれほど達成することができたのか」を考えることも大切です。
その時の視点は2つです。
1つは、「そのように計画を上回る達成を継続する、つまり達成の再現性を高めるにはどうすればいいのか」という視点です。
これが深掘りできれば、翌月以降も計画を上回って達成できる可能性が高まりますし、それを組織全体に共有することで、組織全体全体としての底上げにも繋がります。
そしてもう1つは、「今度の計画の精度向上のためにどうすればいいのか」という視点です。
特に計画を大幅に上回った場合は、下回った場合と同様、「計画の見立てが悪かった」可能性があります。
もしそうであるならばその原因を深掘りしておくことで、今後計画を立てる時の精度向上につながるでしょう。
次回に向けて
今回はKPIをつかったChcekの方法について書きました。
次回は、このCheckの結果を踏まえたActionについて書いてみます。
「KPIの運用_Vol.3 KPIでフォーキャストする」をぜひご覧ください。
さいごに
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