『夢を追う』~難聴者の夢の叶え方~
(前頁~『人生の選択肢』) ※難聴者さんインタビュー⑥
ステージ上から見た景色
人生で一番嬉しかったのは、バックダンサーを掴み取った時。
TRFでは味の素スタジアム、w-inds. では東京ドームシティホール、他にもいくつかの実績を持つ。湘南乃風の大阪城ホールでは、家族が見に来てくれて嬉しかった。
ステージ上から見た、観客のペンライトが綺麗だった。
ダンスのきかっけとなったEXILEのLIVEで、観客として見た景色とは違った美しさで忘れられない。
「この景色は、ステージに上がった人しか見えない」
大きなステージに立ち、アーティストを華やかに引き立たせるダンスをして、それを職業として収入を得る道が欲しい。そして「自分もダンサーとして魅力的にならなくては」という。
これまで様々なシーンで、健聴者には不要な勇気も奮い立たせて実績に結び付けてきた。
例えば、オーディションでは審査員がトイレに立った隙をみつけて「音の入りが分からないから教えて欲しい」と直談判するなどして、チャンスを経験に変えてきた。
勇気を出しても「お前は耳が聴こえないから」と言われた事もあったが、勇気が無ければ結果に結びつかなかった。
これからも色々なシーンで勇気を奮い立たせて、ダンサーとしてやって行きたい。そう語るGenGenさんの力強い目が印象的だった。
また、ファッションが大好きなGenGenさんにはダンスの他に、もう一つ叶えたい夢がある。自分のアパレルブランドを立ち上げる事だ。
専門性のある分野だが、具体的に「こんなモノを作りたいから、今、こういう勉強をしている」という話もあった。
踊れるうちはダンサーとしてやって行きたいが、同時にもう一つの道も考え、今から勉強をしているのは「自立心」としての発想というより「自分が好きな事を楽しみたい」という思いのようだ。
「楽しんでやる」この言葉もインタビュー中によく出てきた。
夢までの過程
色々と考えている事がある中で、アパレルの仕事にも繋がりたいとは思っているが、今はやはりダンスを中心に動いている。
『どうしたら夢が叶うのか。同じ夢を抱く人は沢山いるのでは?』という質問を投げた。
先ずは「練習あるのみ」という前提で「今はとにかく頑張るしかない、やれる事は全部やる」という。
無遠慮に突っ込んだ質問をしてみた。
『具体的には?』『その為には?』という質問を繰り返す。
・人脈を広げオーディション情報をキャッチするなど、チャンスを掴み取る
・チャンスを掴む為には…自分をもっと知ってもらう。待っていては発見してもらえないから
・自分を知ってもらう為には…その為には…
迷い、言葉を選びながらも、全てにおいて明確な答えが出てきた。
『それはいつまでに実現させるのか?』
「いつまでにこうなる!」とGenGenさんが言い切った時、思わず心で拍手をした。
夢は目標に、目標は計画に。何が課題で、何をすべきか。ああしたらどうか、こうしたらどうかと練っている状態ではあるが、全て筋が通っていた。
GenGenさんが語ってくれる事で同じ夢を見させて頂いたようで、私も嬉しかったし、ワクワクした。
唯一無二の個性
この先はGenGenさん本人が実行して見せたいだろうから、あまり具体的な事は書かないが、先ずは一つ自分を積極的にアウトプットする場は作りたいそうだ。
『それは難聴者として? ダンサーとして? GenGenさんとして?』
この回答だけは迷っているようだ。
「耳の聴こえないダンサー」というのは、インフルエンサーになるには武器になるだろうが「だから何なの?」と思われるだろうし、そういう肩書を名乗っていいのかどうか、他の人にも申し訳なく思う、という。
ただ、聴こえない事で「アリーナ級のステージで失敗してしまった事」もあり、そうした恥ずかしい部分も出して行く事は、誰かを奮い立たせるのではと考えている。
「聴こえない」という背景も含め、自分を発揮する環境に身を置く事で、難聴でもアクティブに動ける事や「こういう人もいるんだ、生まれモノもあるんだ」と気付きを与えたい。
また、GenGenさんには、もう一つのマイノリティとしてLGBTQがある。
ゲイである事をオープンにしているGenGenさんは、何にも属さない素敵な個性を持つ唯一無二の存在だと思う。
~次頁『もっと出来る事』
Interviews and Contributions(取材・寄稿)
yuka (BeOneプロジェクト代表)
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