HEY-SMITH (2024.03.23) at 小樽 GOLD STONE / "Rest In Punk Tour" w/SHADOWS
HEY-SMITH、6枚目のフルアルバム「Rest In Punk」を引っ提げてのアルバムツアー。全55本という近年ここまで大規模なスケジュールを他のバンドでも見たことがあっただろうか。
更にファイナル以外の45本は、対バン相手を一気に発表し、10月に一斉に一般販売してしまうあたりも出し惜しみのなさが半端ない。ゲストバンドも蓋を開けてみれば、お馴染みのバンドから、これからシーンを牽引していくであろう若手、更には今回が初めて対バンとなるバンドや海外勢までと、今のHEY-SMITHにしか成しえないその幅広いラインナップに、当時とても興奮したのを今でも覚えている。
個人的に、このツアーは横浜、渋谷、そして前日の函館に続きこの小樽は4本目。尚今後は、秋田、盛岡、札幌、羽田2日間に行く予定。というか行く。もう「Rest In Punk」というアルバムが好きすぎる。
今回はツアー終盤戦目前の36本目、小樽GOLD STONEの記録を書いていく。
※ちなみにこのツアーまだ行ってない人は見ない方がいいかと思います。行った後にこんなnoteあったな、程度がいいかと思います。
ちなみにこの小樽GOLD STONEは、前回、前々回のアルバムツアーでも訪れているハコ。キャパは400って書いてるけど500くらい入ると思う。
恐らくだが、猪狩はこのハコ好きなんだと勝手に思っている。というか、前にインスタの投稿でそう書いてた覚えが。
実際行ってみて思うけど、ハコの雰囲気がとても良い。ステージも程よい高さで見やすい。
※文字数が多くなるのでSHADOWSのライブの記録は追記します。
40分間のSHADOWSのライブを終え、転換を挟み、場内に鳴っていたSEの音量が大きくなり、いよいよHEY-SMITHのライブが始まる。
Mad Caddiesの「Villains」が流れ、メンバーがステージに現れる。猪狩秀平(Gt,Vo)の合図からTask-n(Dr)のドラムが鳴り響き、アルバムと同じくライブでも1曲目の『Money Money』は、わずか1分のショートチューンがとても痛快で、ライブの幕開け感がとてもしっくりくる。音源では猪狩のギターソロの最後の所、ギターがかぶっているところのパートをホーン隊が鳴らしていて、こんなアレンジもライブならではで最高。
YUJI(Ba,Vo)がステージ前方のお立ち台に立ったと思えば、2曲目は『Still Ska Punk』。ベースラインを鳴らし始める。フロアも思い思いに曲に合わせ踊る中、何よりこの曲で印象に残っているのは、猪狩のギターソロ中の満(Sax)のその動き。Saxまでも自分の身体の一部と化し、自由奔放と言うよりかは全身凶器と言わんばかりに身体を振り乱すそのノリ方は恐らく誰にも真似できない。あと個人的にだが、最近の髪が伸びてきている満のビジュアルがとてもかっこいいと思っている。
そして函館で猪狩が「俺、この曲北海道の人が好きだと思っている」と言っていた『Living In My Skin』をプレイ。更に雰囲気は一変、ハードなパンクロックナンバー『Be The One』、スカ色の強い『Fellowship Anthem』が続く。前にも書いたが、この曲の時のかなす(Tb)のノリ方がとても好きだ。
最初のブレイクタイム(MCと呼ぶには短すぎる)では、猪狩が「今日はお前たちのライブだ。全員やりたいことやって帰れよ!!」とフロアに伝え、すかさず「踊って踊って踊りまくれ!、『Into The Soul』!」とタイトルコール。本人は全く気にもしてないと思うが、この曲をタイトルコールした場面に出会ったのが初めてだったので、どこか新鮮な感じだった(いつも「踊れる曲」と言っている印象)。
「思いきり歌えー!」という言葉から『Don't Worry My Friend』、そして続く『Fog And Clouds』では、曲が始まった瞬間、赤と緑の照明で一気に妖気な雰囲気に包まれる場内。そして曲の終盤、「Are you ready?」と猪狩がフロアに問いかけるも、「『OVER』!!」とタイトルコールをすれば、その理由は明白。それに応えるかのように次々と発生するクラウドサーフの嵐。一瞬にしてすべてをかっさらっていくこの曲の威力たるや。それにしても、この猪狩の『OVER』のタイトルコールはどこか待ってました感がある。
もはや『OVER』も聴きたいが、タイトルコールを待っている自分もいる。
話が少し逸れるが、2022年1月、コロナ禍に行われた「Back To Basics TOUR」、札幌は勿論行ったが、1公演では物足りなく、仕事の休みとSNSでチケットを探しまくり、2つが重なった結果、徳島club GRINDHOUSEに行った(ちなみに1泊2日、関空でレンタカー借りて一人で5時間かけて徳島行った過酷な思い出…)。
その時、OPENからSTARTまでの時間、自分の後ろにいた女性2人組が今日やる曲の予想、みたいな話をしていた。どうしても物理的な距離的に話が耳に入ってくるので、申し訳ないと思いつつ少し聞いてしまってた。
すると、突然片方の女性が「『OVER』!!」と猪狩のタイトルコールのモノマネをやりだして、もう一人の女性は爆笑していた。僕も不意打ち過ぎて爆笑を抑える代わりにめちゃくちゃに咳こんだ。そしてこれ以降、完全に『OVER』のタイトルコールに敏感になってしまった。
そして猪狩のタイトルコール、「オーバー」というよりかは、オとウに濁点がついて、「オ゛ーヴァ―」という感じだと勝手に思っているのだが、その女性のモノマネが、そこを完璧に抑えていて完璧だったのだ爆。
猪狩が『OVER』のタイトルコールをしなくてもよいのは、前の曲が「DRUG FREE JAPAN」で、雪崩れ込んで入る時だけです。異論は認めます。
話をライブに戻す。
この日のこれまでの盛り上がりを把握してか、「今日のお客さんは新しい曲も古い曲も両方楽しめる人たちってことでいいですね?」と改めて確認したのち、『The First Love Song』をプレイ。場内に両手で作られたハートマークが溢れかえっていて、『OVER』から一転、とてもピースフルな空間だった。
改めて最初のMCでは、久々に小樽に来たことに触れる。実に前回から5年の月日が経っている。「小樽もなかなか来れる土地じゃないのはわかってる。それにいつもは札幌ばっかりだけど、アルバムツアーではそれ以外の所にも行きたかった。だからこうして来れたこと本当にうれしく思ってます。
俺今夜ここに全ておいていくつもりで演奏するから、お前らもめちゃくちゃやって帰れよ!!」と話し、次のブロックへ突入していく。
「お前らがつらい時、苦しい時、そんな時は俺たちの名前を呼べ!!」
猪狩がそう言い叫べば演奏されるは勿論『Say My Name』。そして『I'M IN DREAM』が続き、更に、「ここから連続でいくぞー!」と告げれば、『Let It Punk』、『Don't Try So Hard』、『Summer Head』、『STAND UP FOR YOUR RIGHT』を息つく間もなく立て続けにプレイ、そして最新アルバムから『Be My Reason』をプレイし、7曲にも及んだこの怒涛のブロックに幕を閉じた。
曲が終わると、フロアからの歓声に笑顔で手を振って応えるかなす。も、すかさず猪狩が「もう笑顔が偽物すぎる」とツッコまれると、「本物だよ~!」と言って、かなすは再びフロアに向け手を振る。「本物は自分で本物って言わんねん笑」と更に猪狩がツッコむも、このやりとりすら微笑ましい。
「来てくれてありがとう!!」とフロアからステージに向け言葉が飛ぶと、
「それはこちらのセリフですよ!本当に今日来てくれてありがとう!
みんな色んな所からきてくれたんだと思う。で、終わったらまた車や電車で帰るわけでしょ?そして今日やったセットリストとかプレイリストで組んで聞き直したりするんでしょ?ならば、次の曲でみんなで歌ったことを絶対に忘れるなよ!!」そしてTask-nのカウントからYUJIが歌い始めるは『Summer Breeze』。YUJIの伸び伸びとしたボーカルと一緒に鳴っているホーン隊の音色がライブで聴いていてマジで心地よい。いつからか曲終わりに「ありがとう!」とYUJIが言うようになったが、それすらも自然に感じるのは、この曲が間違いなくアンセムのひとつになっている証拠。
次の曲『You Are The Best』に入る前に猪狩がこの曲について話し始める。
「次の曲は訳すと『お前は最高だ』そういう曲です。今、人と違うことをするとすぐに叩かれるような世の中だけど、そんなの全然気にすることない。お前のことはお前にしかわからない。それにお前はとにかく最高なんだ。だから大丈夫。」演奏中も猪狩のしっかりとした表情からもそのメッセージを確かに感じ取れる。最近公開されたMVも、至ってシンプルな映像ゆえに、そのメッセージ性が際立ち、改めて曲の強さを再認識した。ライブに行って曲の良さを再認識する、というのはたまにあるのだが、この曲はまさにそうだった。また、以前Xを見ていて「猪狩にYou Are The Bestって言われたらもうちょっと頑張れる」、そんなメッセージを目にした。激しく同意できる。
そしてそのまま『We sing our song』に雪崩れ込めば、曲の出だしではメンバーが今日一番かというくらいにフロアを煽る。猪狩も「まだまだ」と煽りまくる。しかし、煽りまくるのは今のライブが良いからであって、だからより煽ってくるところもあるからだ、と思っている。
中盤のイイカワケンのソロパートの王者君臨とも言えるプレイは、いつみても圧巻の一言。ステージ中央に君臨し、全てを掌握しにかかるその様はまさに唯一無二。そしてますますカオスになっていくフロアに「まだまだいくぞ!」とバンドは更に『DRUG FREE JAPAN』を投下。この瞬間会場内の温度がめちゃくちゃ上がった気がするのは気じゃないと思う。
「俺たちあと2曲やって帰ります!ありがとうございました!」(猪狩)
本編最後、『Goodbye To Say Hello』と『Rest In Punk』の2曲が演奏される。改めてこの2曲の歌詞を見た時に、『Goodbye To Say Hello』は最近書いた曲なのかと思えてしまうくらい、それくらいこの2曲が連続して演奏されることに必然のような運命を感じる。『Rest In Punk』の演奏前には、「また必ず会おうな、約束しような。人はいつかは死んでしまう。それに次必ず会える保証もどこにもない。俺も去年大事な先輩を亡くし、人の死っていうものを身近に感じた。その人に会いたくてももう会えません。でも、俺らはまだ生きてる。だからこそ、その先輩に最大限のリスペクトをこめて、生きて生きて生きまくってやる。いつになるかわからないけど、俺たちはまた必ず小樽に戻ってきます。だから、そん時はまた顔出しに来いよ!!……『Rest In Punk』!!」とタイトルを叫び、曲が始まった。
このアルバムが出た時、もう何年ぶりかわからないくらい、それくらい久々に「フラゲ日にCDを買って、歌詞カードを見ながらアルバムを1周聴く」ってことをした。昔、家にCDコンポしかないときはいつもそうしてたのに、最近すっかり遠ざかっていたその行為。『Rest In Punk』の一番最後の歌詞「I see you in the starry night」の訳が「今日も星空にアナタを想う」だったのにめちゃくちゃ痺れた。そしてライブでこの曲を聴いて、やっぱり痺れた。かっこいいとか最高って言葉で収まらないくらいの気持ちがあった。この曲の鳴っている間は、瞬きすら許さない、それくらい目に焼きつけていたと思う。
本編が終わり、一旦引っ込むも、ワンモアのコールにすかさず戻ってきてくれるメンバー。YUJIは、今年初めの能登半島地震で自身が被災地にいた時に、沢山の応援のメッセージをもらい、元気が出たことに改めて感謝を伝えていた。そして、次はもらった元気をツアーやライブを通して還元していくことを宣言するも要所要所でカミカミのYUJIが平常運転過ぎてさすがすぎた。
「もうひと暴れしていきますか!」と話すと、バンドは『Dandadan』を投下。そして、猪狩がフロアにジャンプを要求すると、なんと久々の『Free Your Mind』。最後に「バイバーイ!」という言葉からは勿論『Come back my dog』。
そしてメンバーがステージからいなくなってもワンモアの歓声が収まらない。終演のアナウンスも流れない。暫くしてメンバーが再びステージに戻ってきた。そしてとどめと言わんばかりにバンドは『Endless Sorrow』を投下し、この日のライブに幕を閉じた。
ライブが終わってその余韻も凄かったけど、何より明日もまた頑張ろうって思えたことが一番良かったかもしれない。