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HEY-SMITH/SHANK (2024.12.30) at GORILLA HALL OSAKA / TOUR "Goodbye To Say Hello"
2024年3月、かなす(Tb)の年内でのライブ活動休止が発表された。持病であるジストニア、そして妊活のため決断したもので、と同時に2025年以降はかなすの復帰までサポートメンバーを迎え入れてバンド活動を継続することも発表された。そして7月末、TOUR "Goodbye To Say Hello"の開催が発表された。たった5本のショートツアー、一旦ラストとなるこの6人の勇姿を見ようとチケットは争奪戦を極めた。対バンにも歴代のHEY-SMITHの盟友が名を連ねた。
今回は、このツアーのファイナルにあたる大阪ゴリラホールのライブの様子を記していく。
定刻を少し過ぎた頃、場内が暗転し、SEの「Backyard」が流れSHANKのメンバーがステージに現れる。そしてなんとSHANKの3人に続いてヘイスミのホーン隊3人が続けてステージへ。そして、ホーン隊の3人の位置にマイクがスタンバイされ、まさかのオープニング、1曲目は『Grimy window』。ヘイスミとSHANKの対バンとなれば、このコラボを薄々期待している人は割といるかもしれない。しかし、オープニングからという思わぬサプライズにフロアのテンションがあがらないわけがない。
そして演奏を終え、庵原将平(Vo, Ba)が「SHANK始めます!よろしく!」と改めて言えば、バンドは『First Light Anthem』を投下し、ライブのギアをあげてゆく。続く『Smash The Babylon』では、イントロで庵原がステージギリギリまで出てきて更に会場を煽る。そして演奏後、「今日は忘年会なんで。」と言えば、すかさず『Life is…』。演奏が終わり暗転するも、ステージへの野次は止まることをしらない。
「さすが西成のお膝元ですね。皆さん柄が悪いです。気をつけてください。尿検査しますよ。」(庵原)
「今日は僕の友達のかなすの門出を祝いに来ました!とにかく良い1日になりますように!」(庵原)
MCも早々、バンドは『Set the fire』をプレイ。続けて『Rising Down』を演奏すると、曲終わりに松崎兵太(Gt, Cho)が「この曲こんなに忙しかったか!(笑)」と一気に駆け抜けていく曲に対して思わず。
続けて『620』では、3人の繰り出すリズムに踊らずにはいられない。そして庵原のタイトルコールから続くは『Phantom』。次の暗転中も相変わらずステージへの野次が止まらないが、その中で「尚希、10-FEETお疲れ様!」という声が飛ぶ。これは先日までKOUICHIに代わってサポートでドラムを叩いていた早川尚希(Dr)に対してだが、すかさず「あの10-FEET面しないでもらっていいですか?(笑)。今日絶対言われると思ったけど。」と庵原。
そして、「『RIVER』演る?」と庵原が言うと、コードを確認し、まさかのSHANKによる『RIVER』の演奏がスタート。そして松崎がAメロを歌い始めると、「そっちが歌うんかい!!」とすかさず早川がツッコミをいれる状況。
「この1年、ドラムが変わって一番出世したの尚希やん。」(庵原)
「俺らレディクレとか知らないし、EARTH STAGE(CDJのメインステージ)とか出たことないし!」(松崎)
「おかえり、これが現実だ!!」(庵原)
もはや2対1の構図だが、続けてタイトルコールされるは、『Can't keep them down』。そして、曲終わりはシームレスにそのまま『Good Night Darling』へと繋がれば、今度は松崎がギターアンプを向いてしゃがみ、ギターを思い切りハウラせて雪崩れ込むは『Hope』。
「ぼーっとしてるとあっという間に1日終わってしまうぞ!」
そんな庵原の曲振りからは『Extreme』。この1年でこの曲のライブでの登場回数が著しく増えたことが個人的にとにかく嬉しい。最終ブロック前、庵原が話始める。
「HEY-SMITH、いつも大事な時に呼んでくれてありがとう。HEY-SMITHは別に止まるわけじゃないから、そんなしけた顔しないで。かなすがかっこいいお母さんになって戻ってきたらまた乾杯しましょう!ありがとうございました!」
最終ブロック、まずは『My sweet universe』。直前の庵原の言葉があってか、いつもよりも切なく聴こえるようだった。そして耳で聴くのではなく、身体全体で曲を受け止めるよう、そんな感覚でこの曲を聴いていた。そして、『Surface』からラストは『Steady』。最後に「Gotta keep on moving」、前進し続けるんだ、と歌うこの曲をこの日の最後に持ってきたのは、もしかしたらSHANKなりのメッセージかもしれない。
Gotta keep on moving.
《SHANK》
1.Grimy window(Horn : HEY-SMITH)
2.First Light Anthem
3.Smash The Babylon
4.Life is…
5.Set the fire
6.Rising Down
7.620
8.Phantom
9.Can't keep them down
10.Good Night Darling
11.Hope
12.Extreme
13.My sweet universe
14.Surface
15.Steady
転換を終え、暗転した場内に「Villans」が流れ、猪狩秀平(Vo, Gt)を筆頭に満を持してHEY-SMITHのメンバーがステージに登場。そしてライブは『Living In My Skin』で幕を開ける。高らかに鳴らされるこの曲のオープニング感たるや。そして『I'M IN DREAM』が続き、猪狩が「踊れ!!」と促せば、バンドはすかさず『Still Ska Punk』を投下。更にまだまだと言わんばかりにヘビーな『Be The One』、そして『WE ARE…』を立て続けにプレイ。
「大阪!、歌えー!踊れー!騒げー!」
次なる『Into The Soul』を筆頭にライブの勢いは更に激しさを増していく。
「俺たちの一番大切なライブへようこそ!もう皆さん仕上がってますね?今日はどんな曲がきたって大丈夫ってことでいいですよね?タイトルコールしなくても大丈夫ですよね?!」
そう言うように、先に書いてしまうが、この日のライブでは本当に1曲もタイトルコールをすることがなかったのがとても印象的だった。いつも「じゃあ、次は「〇〇」っていうアルバムから演ろうかなあ!」と健さんばりの曲振りがある種恒例のように思っていたところがあったので、逆にタイトルコールのない進行がとても新鮮に感じた。と同時に、この日は客席を煽る言葉もいつもに比べ少なかったように感じる。それは、もう客席を信頼していた証かもしれないし、それと同時に、この6人で演奏する現状一旦ラストの日だけあって噛みしめるように演奏するためだったのかもしれない、なんて思ったりもした。
そして前述したMCに続いて、バンドは『California』を投下。サビの高らかなシンガロングは、まるでゴリラホールの天井を突き破るように伸び、とても心地よい。そしてアルバム「14 -Fourteen-」の海外版にしか収録されていない『Everlasting』でも大歓声があがるのは、本当にどんな曲がきても構わないという証。そして続く『DRUG FREE JAPAN』、『OVER』の流れの盛り上がりは、もはや説明不要だろう。そんな中、バンドは更にダメ押しと言わんばかりに『PULL YOUR TRIGGER』を投下し、このブロックの演奏を終える。あと、『PULL YOUR TRIGGER』、この曲はSHANKの庵原将平が好きな曲ということで、実はひっそり演るんではないかと期待してた。ありがとうございます。
次のブロックに入る前に、客席でちょっとしたハプニングがあったらしく、少し時間を空けた方がいいという判断になり、Task-n(Dr)の叩くドラムに合わせ、イイカワケン(Tr)の即興セッションが始まる。更にそこに満(Sax)がフリースタイルダンスを合わせれば、「お前なんでそんなんできるん(笑)」とは思わず猪狩。
やがて、『Say My Name』でライブが再開すれば、『Say My Name』の1音目から地鳴りのような歓声とシンガロングが場内に鳴り響く。そして、『Fellowship Anthem』、『Go Back Home』と続き、満が「1! 2! 3! 4!」とカウントすれば始まるのは勿論『No Worry』。そして勢いそのままに『We sing our song』に突入していく。
ここで止まらないのが今のHEY-SMITH。そのまま更に『Dandadan』を投下し、もう何回沸点を超えたのだろうかと思えば、続く『Radio』では、ゴリラホールの天井に吊らされたミラーボールがここぞと言わんばかりに場内を照らす。そして各楽器のソロパートになり、かなす(Tb)の番が来ると、楽器の名前ではなく、「かなすーーーーーーー!!」と叫んでかなすに繋いでいた猪狩の姿もとても印象的だった。
そして、次の曲はTask-nの叩くドラムとホーン隊から曲が始まる『Like A Gentleman』なのだが、『Radio』の終わりに自分の定位置とは程遠い位置にいて、案の定、曲の出だしに間に合わずやり直すことに。「絶対に間に合わないところにいたよな(笑)。」とツッコまれ、「いやー、あなたのフレーズなかなか重要だと思うねんけどなー。」とも猪狩に言われる満。仕切り直して曲が始まり、更に続く『The First Love Song』では、無数もの ♡ が客席の頭上で舞っている光景はこの曲ならでは。
次のMCでは、この日共演してくれたSHANKに対して、猪狩が感謝の言葉を述べる。
「さっきSHANKが『大事な時に呼んでくれてありがとう』って言ってたけど、こちらこそです!SHANKも去年オリジナルメンバーが抜けて。で、オリジナルメンバーが抜けることの辛さっていうのは俺らもすごくわかってる。でも、SHANKはこの1年間ですごい勢いで活動してきてると思うし、なんなら前よりパワーアップしてると思う。」
そして本編最後4曲を演奏する前に、猪狩が話す。
「俺たち、あと4曲で帰ります。いつもはお前たちに向けて歌ってるけど、ここからの残り4曲は俺ら自身のために歌います。」
そう言い放ち、歌うは『You Are The Best』。ただし、この日違ったのは、歌詞に出てくる「You」を「We」に変えて歌っていたこと。これまでこの曲を歌う時には「お前は最高だ」と聴く側の全肯定ソングとして歌っていたわけだが、この日は「We」に変えて歌うことが、この6人でHEY-SMITHなんだという確固たる意思表示のようなものに感じる。
「この先辛いことも苦しいことも沢山あると思う。そんな時はパンクロックを聴け!!そしてお前に刻んで帰れ!!」
そう言われて演奏される『Rest In Punk』を胸に刻まずにはいられない。そしてそのまま『Free Your Mind』が続くのだが、この俺ら自身のために歌う4曲の中にこの曲が選ばれるあたりも実にHEY-SMITHらしく思う。そして本編最後の曲の前に改めて猪狩が話始める。
「この先、不安じゃないって言ったら噓になる。でも、俺たちはもう頑張るって決めたから。これまでできる可能性をたくさん話し合ったし、できない可能性も沢山話し合った。でも、できる可能性の方を沢山話し合った。そして結局は頑張るしかないんだ。だから、俺たちも頑張るからまたライブするようになったらお前たちのその顔を見せに来いよ!!」
「最後の曲は、この曲しかないよなあ!!」
そう猪狩が話し、Task-nのカウントから猪狩がイントロを弾き始める。この日、この会場にいた誰もがあの曲しかない。そう確信していたと思う。ツアータイトルにもなっている『Goodbye To Say Hello』。間奏では、満がイイカワケンとかなすのもとに駆け寄り、ホーン隊3人が横並びでいる風景はもう言葉にできなかった。
アンコールを待っている間、1階客席を囲むようにあるスクリーンには、「We are waiting for Canasu to come back!!!」という言葉が表示されるというゴリラホールのなんとも粋な計らいも。
「さすがに今日くらいは少ししゃべってもらいましょうかね。」
と、猪狩がかなすにMCを振ると、かなすが話し始める。
「こういう所で話すことあまりないので、あまりまとまってないんですが…」
と話すと、「絶対まとまってないやんな」とすかさず猪狩にツッコミをいれられつつも、話を続ける。
「活動休止前にこんな素敵なツアーを用意してくれて本当にありがとうございます。SHANKは、私のバンド人生の中でも1番関わりの長いバンドなので、とても嬉しいです。」
「ジストニアの克服も、子供のことも簡単ではないけれども、私がいない間、〇〇さんが頑張ってくれると思うので……」
と、まだ公になっていない、サポートの人物の名前を言ってしまう大ハプニングに、猪狩もすかさず「いや、最後にえぐいの置いていくやん!!」と思わず。しんみりした雰囲気も一瞬にして消えてしまうのは、らしいと言えばらしい。「ほんとにごめんなさい(笑)。内緒にしといてください。」とすかさずかなす。
「沢山迷惑をかけることになると思うけど、私も自分自身との戦いを頑張るので、これからもよろしくお願いします。」
アンコール1曲目に『Don't Worry My Friend』が来たのも何か必然のようなものを感じる。そして、「俺たちはこの曲から始まった!」という言葉から演奏されるは、『Longest Day』。
「今演った曲は俺たちの一番古い曲。そして、いまから演るのは、俺たちの一番新しい曲!」
そう言って満を持して演奏されるは、ここゴリラホールでPVが撮影された『Feel My Pain』。サビでは、ギターテックのミツル氏がステージダイブするほどの熱狂ぶり。そしてとどめに『Endless Sorrow』を投下し、アンコールは幕を閉じた。
しかし、鳴りやまない歓声、コールに再度メンバーがステージに登場。
「やっぱり俺たちは俺たちらしく最後演って終わりたいと思います。あと2分間で4曲演って帰ります!」
と言えば、『20SECONDS』、『Summer Head』、『TEENAGE FRUSTRATION』とショートチューンを連発、最後は『Come back my dog』で大団円。
HEY-SMITH TOUR "Goodbye To Say Hello"
2024/12/30 大阪 GORILLA HALL OSAKA
Guest : SHANK
SetList
1.Living In My Skin
2.I'M IN DREAM
3.Still Ska Punk
4.Be The One
5.WE ARE…
6.Into The Soul
7.California
8.Everlasting
9.DRUG FREE JAPAN
10.OVER
11.PULL YOUR TRIGGER
12.Say My Name
13.Fellowship Anthem
14.Go Back Home
15.No Worry
16.We sing our song
17.Dandadan
18.Radio
19.Like A Gentleman
20.The First Love Song
21.You Are The Best
22.Rest In Punk
23.Free Your Mind
24.Goodbye To Say Hello
Encore
25.Don't Worry My Friend
26.Longest Day
27.Feel My Pain
28.Endless Sorrow
W Encore
29.20SECONDS
30.Summer Head
31.TEENAGE FRUSTRATION
32.Come back my dog
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