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【IT技術者・必見!】こんなにも似ている多重下請け構造とマルチ商法 いったいどれぐらいの格差があるのか?

どのように似通っているか?


IT関連業界にいると2次請けとか商流という耳慣れない言葉を機会があると思います。そして業界のピラミッド構造についても頭の片隅で認識していると思います。しかし、マルチ商法との類似について気がついている人はそれほど多くないのではないか?と思ってあえて記事を書きました。

それでは次の図を見てみましょう。上が多重下請け構造、下がマルチ商法の概略図です。

https://www.shiftinc.jp/ir/esg/marketenvironment/

マルチ商法

https://yourbengo.jp/shohisha/11/

つい最近これをみた時に、あっ同じじゃんと思ったわけです。
これらの仕組みについて詳しくは触れませんが、似ている部分を簡単に説明します。

マルチ商法(ネットワークビジネス)においては、ピラミッドの下の層の人々から上の層の人へとポイント(お金)が上納されて、最終的にはトップへと至るのに対して、多重下請け構造においては、上から下へ順番にお金が降りてくる仕掛けになっています。上の会社と契約した金額より少ない額で下の会社と契約するわけです。お金の渡りかたは真逆ですが、構造としてはほとんど同じです。

多重下請け構造の場合は、上から下へ仕事を割り振るときの手数料や紹介料としてお金を得るのに対して、ネットワークビジネスの場合は、新規顧客を見つけて何らかの商品を販売したときにポイントが得られ、そのポイントを下から上へと納付する仕掛けになっています。そして後日ポイントは換金されます。

会社規模を加えて再掲

ここで、会社の規模をみておきましょう。中小企業の場合、5人以下が全会社数の半数以上を占めています。
請負ピラミッドの底辺の小規模な会社が全体の半数を占めています。

多重下請け構造の収益分布は?

多重下請け構造の場合、どのような所得分布になるのでしょうか?
そこで非常に単純化したシミュレーションを行いました。

合計1024人の人がいるものとします。
トップの人が2人を選びます(第2階層)。
トップの人は、その2人からそれぞれの収益に対して一定の割合のお金をもらうことにします。
その2人は、各自まだ選ばれていない2人を選びます(第3階層)。この第3階層の人から、それぞれの収益に対して一定の割合のお金をもらうことにします。
これを8階層にわたって繰り返します。
このとき全員定額の基本給をもらうことができ、下の階層からもらったお金を加えた合計金額が収益になります。そこから一定の割合の金額を上納(上に差し出すこと)します。
ただ、一番下の階層の人はさらに下からもらうことができないので基本給
のみになり、しかもそこから一定の割合のお金を上納する必要があります。

下の階層からの上納金の半分を取り分とし、半分を上納する

基本給を5万、一定の割合を0.5とした場合、全体のトップは30万もらえる計算になりました。収益の分布は次のようになりました。

収益分布
合計1024人、基本給を5万、一定の割合を0.5として計算

この収益データをもとにローレンツ曲線を描いてみると、次のようになり、ジニ係数を計算すると、0.318でした。
つまり、この多重構造の場合、トップ(社長)の給料は30万となり、一番下で働く人は、2.5万になります。そして、半数の人が最下層です。末端が半数を占めるのは、小規模な末端の会社が全体の半数を占めている現実と図らずも一致していて興味深いです。

ところで、ジニ係数=0.318なので、日本の所得格差0.38よりも少しましという結果になりました。

仮に基本給を5万、一定の割合を0.5としましたが、実データに合わせて計算するとどうなるのか気になるところです。

日本の所得分布と比較してみる

https://www.hitachi-hri.com/keyword/k037.html
同上
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190728-00134320
黄色い枠の部分がおおよそ全世帯の半数を占めている

日本の所得構造との関連は?

日本全体にわたって大小数多くの多重下請け構造が深く巣食っていると思います。それらが折り重なると、上の図のような度数分布に近づくようにも思えます。はたして「さまざまな多重下請け構造を重ねたモデル」により近似できるのでしょうか? 
門外漢の壮大な構想(妄想?)になってしまいましたが、厚労省が報告する所得分布の背後にある構造を、専門家はどのように説明しているのか、とても興味深いです。(つづく)


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