5.ワークライフバランスに自治体はどう取り組むべきか。(1200~1500字相当)
ワークライフバランスとは、「仕事と生活の調和」を意味し、働きながら充実した生活をおくれるように職場や社会の環境を整備することを指す。その推進が望まれる背景には、非正規雇用の増加による労働環境の悪化、少子高齢化に伴う労働力不足、男女雇用機会均等法の考え方の浸透、働き方に関する価値観の多様化などがある。こうした現状を踏まえて、現在のわが国において課題とされているのが、労働時間の改善、育児・介護休暇の取得促進、テレワークの導入といった働き方改革だ。では、自治体はこうした課題にどう取り組むべきだろうか。わたしは、人、情報、物、金、仕組みなどをうまく組み合わせ、より大きな効果が期待できる施策を作り出すことが重要だと考える。まず、人、情報、仕組みに関してだが、それらをうまく活用した事例として挙げられるのが、「愛知県内一斉ノー残業デー」だ。これは県、市町村、民間の事業所が連携し、特定の日(11月第3水曜日)に定時退社することで、趣味や家族との団らんの時間を増やそうという試みだ。その普及・啓発のために専用ホームページが設けられ、賛同事業所名が公表されるとともに、労働環境改善に関わる情報も随時発信されている。行政の担当者・職員、民間の雇用主・従業員が情報を共有し、連携して行動することで、ワークライフバランスに対する社会意識は高まるはずだ。次に、物(施設)、金(助成金)、仕組み(制度)の活用だが、たとえば働き方改革と空き家問題をうまく結びつけている事例がある。地方のある自治体はその地域で介護職に就くことを条件に、移住したシングルマザーに格安で空き家を貸し出している。さらには空き家にテレワークの設備を備えることで事業所の誘致を行っているケースも見られる。これらの施策は、労働環境の整備を図りながら、少子高齢化や女性の社会進出、地域活性化といった課題にも対応していると言えるだろう。また、今日、社会的な関心が高まっているSDGsは、その8番目の目標に「働きがい」を掲げている。自治体がその助成金制度を働きがいがある労働環境のために活用することは、SDGsの実現に向けた取り組みにもなるはずだ。そして、こうした付加価値や相乗効果を生む施策は、自治体職員のワークライフバランスの推進においても求められる。財政難に悩む多くの自治体にとっては、省予算、省スタッフの実現は十分に価値がある。一人ひとりの職員が担当部署以外の職務に精通すれば、代替要員を雇う人件費を削減したうえで休暇を取得しやすくなるだろう。ITやAIを活用すれば、職員不足を補いながら、迅速で細やかな住民対応が期待できる。職員のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)をあげることは、行政サービスの質の向上にもつながることを自治体自身が示すこともワークライフバランスの取り組みにおいては重要だと考える。(1177文字)制作2022.12/28
※文字数を減らすなら、SDGsについての文章は不要(105文字減ります)。
※「働き方改革」について自治体はどう取り組むべきか、という出題の場合は冒頭部分を以下のように差し変える。
働き方改革は、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を推進することで、人々が働きながら充実した生活をおくれることを目ざしている。(2019年から適応が開始されている)その関連法案には、残業時間の上限や有給休暇の取得義務が定められている他、正規雇用と非正規雇用の格差の是正、高齢者の雇用促進などが盛り込まれている。出産・子育てや介護と両立できる働き方の実現は、少子高齢化による労働力不足への対策としても有効だ。では、自治体はこうした課題にどう取り組むべきだろうか。
小論文弁当レシピ(調理の流れ)
①ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和」意味している。その背景には、このようなものがあり、その推進のためには、このように働き方を改革する必要がある(具体例を示す)。
②自治体はその課題に、人、情報、物、金、仕組みをうまく組み合わせ、効果的な施策を行うべきだ。
③その効果的な事例としては、このようなものがある(具体例を示す)。
④こうした付加価値や相乗効果を生む取り組みは、自治体においても求められる。ワークライフバランスの推進は、行政サービスの質の向上につながることを自治体自身が示すことも重要だ。