インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方に関するパブコメ

総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課が「インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方」について意見を求めていたので、下記の通り意見を述べました。

「3 権利侵害情報(違法情報)と権利侵害に至らない誹謗中傷(有害情報)の相違への留意」について

 特定の個人に対してその人格を貶めるような表現が集中的に投稿されることがある。この場合、個々の投稿については、虚偽の事実の摘示を含んでいなかったり、虚偽の事実を前提としていなかったりなどの事情で違法な名誉毀損とはならないものであったとしても、ターゲットとされた個人に多大な精神的苦痛を与えるものとなりうるものである。このような集中的な人格毀損投稿については、名誉毀損とは別の、一種のハラスメントによる人格権侵害が成立しているものとして、一斉削除や投稿者のアカウント削除、発信者情報開示がなされるような法制度が求められる。なお、学校や職場等でなされる言葉によるハラスメントは、個々の表現が違法な名誉毀損でなくてもこれを禁止したり、実行者を処分したりすることが許されるものとされており、そのような処分をすることが不当に表現の自由を制約するものとは捉えられていない。したがって、インターネット上で特定の個人に対してなされる、人格を貶める表現を用いたハラスメント等について上記のような措置がなされるような法制度を採用したとしても、不当に表現の自由を制約するものとは言えない。

「5 プラットフォーム事業者の役割の重要性」について

 プラットフォームサービス上での誹謗中傷について、とりわけ外国企業であるプラットフォーム事業者による真摯な取り組みをなさしめるために、相当数の国内利用者がいるプラットフォームサービスの運営事業者に対しては、会社法817条1項に基づく日本における代表者を定める義務を履行するように強く求めるとともに、会社法933条1項に基づく外国会社として登記をする義務を履行するように強く求めるべきである。

「7ー(2)透明性・アカウンタビリティの向上」について

 プラットフォーム事業者が第三者の名誉を毀損しまたは第三者の人格を貶める投稿を削除したりそのような投稿を繰り替えす利用者のアカウントを削除する等の措置を迅速に行うことができるようにする場合に生ずる「過剰削除」「不当なアカウント停止」に対応するため、その投稿を削除されまたはアカウント停止処分を受けた利用者が迅速に異議申し立てをできる仕組みを設けることが必要である。モデルとしては、ドメイン名紛争における日本知的財産仲裁センターにおける裁定手続きと同様に、法律専門家が最終的判断をするものでありつつ、主張立証自体はオンラインのみで行える仕組みを用いることが望ましい。
 なお、自己の名誉を毀損しまたは自己の人格を貶める投稿についてプラットフォーム事業者に対し削除等の対処を求めるにあたっては、whoisデータベース等により、プラットフォーム事業者の氏名(名称)や連絡先を知ることができることが必要である。しかし、現在、ドメイン名代行取得事業者が自己のサービス名をドメイン名の登録者の名称としてドメイン名登録をすることによって真の登録者の氏名等を秘匿するサービスが広く提供されており、その結果、上記のような投稿の削除等をプラットフォーム事業者に要求したくともできない事例が頻発している。したがって、上記のようなサービスを提供して真のドメイン名取得者の氏名等を秘匿したドメイン名代行取得事業者に対しても一定の責任を負わせる法制度を導入することが必要である。

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