共同親権制度と家父長制は無関係
依田花蓮さんが次のように呟いています。
これは明らかに間違いです。
家父長制の元では、家長たる夫が家族全員に対する支配権を有しますから、離婚した場合、元妻が家族の外に出るだけです。つまりこの場合、家長たる元夫が子に対し単独で親権を行使することになります。そもそも、家父長制のもとでは、夫婦の婚姻中であっても、家長権を有しない妻は、子に対し親権を有しません。実際、旧民法は、
と定めていて、原則父親が単独親権者だったわけです。
旧民法の知識が素人にないのは仕方がないかもしれませんが、父母が共同して親権を行使する制度が「家父長制」と無縁であることは馬鹿でもわかる話だろうと思います。
ではなんで、共同親権と家父長制を結びつける見解がまことしやかに流れるのかというと、現代では、女性は優遇されて当たり前であり、男女を平等に扱う(共同親権というのは、その一環です。)ということ自体、女性の権利を侵害するものであるという感覚を持っている人が多いからでしょう。
現在の家裁の実務からすると、未成年の子がいる夫婦が離婚する場合、妻側が望めば、よほどの事情がない限り、妻が単独親権を取得することができ、養育費請求権を取得することができます。そして、離婚後は、元夫(やその両親)と子との接触を排除することができます。
その結果、元妻は、元夫に知られることなく、元夫の血が繋がっているその子を、単独で、または新たな交際相手とともに、虐待することができます(心中以外の虐待死においても、主たる加害者の約7割が実母です。)。そして、女性が家族、とりわけ実子を殺害した場合の執行猶予率は高いのが実情です。
このような、「元夫側の人間に干渉されることなく、夫の血を受け継いだ子どもを虐待できる事実上の地位」を女性の既得権として捉えてしまうと、その既得権を奪うことになる共同親権制度の導入は、男性優遇政策に見えることになります。
実際、共同親権制度導入に反対している人たちのほとんどが「実母による児童虐待」については何らまともな改善策を提案していない点に注目される必要があると思います。