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[ep.19] 朝がまた来て、最後のチェックポイントへ

【メインテーマ】
100km歩こうよ大会 in 摩周・屈斜路 2019の実行委員がリアルに100kmを歩くことを決意し、実行したらどうなるのか?

【前回の記事とあらすじ】
[ep.18] 濃霧の摩周湖、黎明
第6CP「摩周第一展望台」に到着した。霧がすごい。

●摩周湖が霧に包まれるのは珍しい?

第7CP「摩周湖下り」へは、約5km程度です。そのうち3kmは上り勾配が続きます。「摩周第三展望台」から下り始めます。

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第6CPを出てすぐに青看板があります。この時には意識していませんでしたが、「川湯 17km」というのは、ほとんどゴールまでの距離と同じです。もう80km以上を歩いてきたんですね。

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北海道東部の朝は日の出が早く、晴れていれば3:00頃にはそこそこ明るくなります。この時は霧が発生していたので、3:30を過ぎた頃から空が明るんできました。

晴れない霧の中を進んでいきます。これこそ「霧の摩周湖」でしょうか。

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「霧」が枕詞になるくらいに摩周湖は霧の名所として認知されていますが、実際に霧の摩周湖に遭遇できる確率は、そんなに多くないという研究結果もあります。ただし集計期間が古いので、今とは状況が違う可能性があります。

摩周湖を見ようと、せっかく外輪山を登って展望台に着いても、あいにくの霧で湖面が見えないことがあります。「霧の摩周湖」というように、摩周湖では霧が代名詞のようになっています。ところが、第一展望台から湖面が見えた割合(1986年~2002年のべ3,510日)を長期間にわたって調べてみると、たしかに夏場には霧がかかることも多いのですが、年間を通してみると8割程度の日で湖面が見えることがわかります。

●流れる霧の中、雲海に遭遇することはできるのか?

あいぼん氏は、もしかしたら道中で雲海が見られるのではないかという期待を抱いた旨を幾度も話していました。

この大会が始まった2006年ごろには、雲海というワードはそこまでメジャーではありませんでしたが、全国そこかしこの雲海ブームが広まるにつれて、摩周湖界隈でも雲海観察が新たな観光資源としてニーズが高まったようです。

雲海が見られるような予兆は感じられなかったのが本音ですが、歩いている最中に面白い現象を目にすることが出来ました。

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道中で、霧が晴れたり再び霧に包まれたりします。よく見てみると、視界の右から左に霧が流れていく風景を目の当たりにしました。右側の緑の向こう側は摩周湖です。左側は崖になっています。

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部分的に切りが流れていく風景を見られたのは、図らずもこの時間を歩けたことが幸いしたのでしょう。

あいぼん氏の望んでいたような雲海の景色を見ることは出来ませんでしたが、左を見たら雲間からうっすらと顔を覗かせている山を見ることは出来ました。何の山かはわかりませんでした。

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●摩周第三展望台を通過する

摩周第三展望台」の入口に到達しました。道路脇に無料駐車場があるのですが、ほぼ埋まっているように見えました。想像ではありますが、恐らくは雲海を拝みに来た方と思えます。弟子屈町民の車のナンバーは「釧路」ナンバーなのですが、釧路以外のナンバーが多く見受けられました。

摩周第三展望台に至る階段が道路の右側にあるのですが、その辺りを観光客と思しき数名が歩いています。本当は、出来ることなら私も道中どこかで摩周湖の展望台に行きたい気持ちがありました。ただ、この時は展望台に立ち寄れる体力と時間と覚悟がありませんでした。第7CPのタイムリミットは5:30で、それまでに到着しなければなりません。

摩周第三展望台を過ぎて、下り勾配に変わります。残り2km程度です。いくつかの緩いカーブを進み、180°のヘアピンカーブを過ぎて少ししたら到着します。

下っていくに連れて、再び霧が深くなっていきます。そうか、摩周第三展望台は山の頂だったので雲よりも高いところにいたんですね。これからしばらくの間は霧が続きそうです。

●5:07、第7CP「摩周湖下り」に到着

第7CP「摩周湖下り」は、霧に包まれた道中に突然現れます。今までのチェックポイントとは異なり、道路脇の空き地を利用した場所です。そこにテントと簡易トイレを設置しています。赤丸の場所です。

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この場所から先には九十九折りのカーブが続くため、ここで英気を養ってから出発するための場所という位置づけであると思っています。

ここには顔見知りの面々がいました。リタイアしようか迷っていた休憩所「最栄利別分館」にいた後輩の羽島君がチームリーダーを担う場所です。その他にも、本部スタッフのドロンジョ様、美里さん(他の人からは「かわけん子」さんと呼ばれている)らもいらっしゃいました。

この場所はかなり冷える時間帯を歩くことから、ホットドリンクを多く用意しています。私はココアをお願いしました。しかも4-5杯程度、おかわりまでしてしまう始末です。

ここのテントのレイアウトは、道路側から「カウンター」「椅子」「布団」という順番になっており、休憩具合によって滞在場所を選べるのが特徴です。

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私は、奥の方にある布団スペース(上の写真で言うと後ろの方)まで行くのが億劫でしたので、椅子のスペースに滞在しました。椅子のスペースにはストーブも炊かれているので、座ってココアを飲みながら、冷えた身体を温めます。ゆっくり休んでいる最中に、私とあいぼん氏の後ろを歩いていた方々も全員、無事に時間内に到着されたようでした。

第6CPにて失念したトイレチェックを、ここではしっかりと実施しました。簡易トイレは第2CP「はなこや」にあったものと同じものですが、新たに消臭スプレーとアルコールハンドジェルが添えられていました。これは非常に素晴らしいおもてなしです。

あいぼん氏は奥の布団スペースで、本部スタッフのドロンジョ様にテーピングを施してもらったそうです。

●5:30、第7CP「摩周湖下り」を出発

山下りの気持ちが整った時点で、第7CPを出発しました。相変わらず霧が出たままです。

ここから次の第8CP「川湯駅前交流センター」までは、結構タフなスティントです。急勾配で九十九折りの下り坂が続き、下りきったら約3kmの直線道路があります。ゴールの前に徒歩参加者の身体をいじめ抜くサディスティックなコースです。

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第7CPを出てわりとすぐに、180°のヘアピンカーブがあります。こんな看板がいくつか出てきます。

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急カーブの都度、本当はよくないのでしょうが、カーブを楽しむことと体力温存を理由に、アウトインアウトのコース取りを繰り返しました。

6:00を越えて下りを繰り返していくと、雲の下に抜けたようで、視界が開けてきました。

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上の写真の左上の崖の部分にはエゾシカがいました。珍しいものではありませんが、今回歩いていて野生動物を見る機会がなかったことに気付きました。こんな崖っぷちにいなくてもいいのに、と思ってしまいます。

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摩周湖の峠の中で唯一、180°が2つ連続したS字カーブに差し掛かります。このカーブは一層急勾配です。

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タイヤ痕が、カーブのタイトさを物語っています。

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以前は夜間に走り屋が攻めているのを見たことがありましたが、今はどうなのかわかりません。少なくともこの時間は、100km大会関係者以外の車が通ることは、ほとんどありませんでした。

ある程度カーブを進み、下りきる少し前の左側にスペースがあります。私の記憶に間違いがなければ、このスペースは2006年・第1回大会のチェックポイントでした。立地が悪く、2007年以降は利用されることはありませんでした。

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●簡易トイレテント、他の徒歩参加者との合流、そして最後尾に

ここに至る前後に、前を歩いていた地元参加者の「立花姐さん」と合流しました。相当満身創痍の様子で、歩みもゆっくりとしたものでした。会話も交わしましたが、かなり疲れた様子です。立花姐さんは過去に何度かリタイアしたことがあり、リベンジの参加でもありました。ここまで来ていれば、ほぼ大丈夫でしょう。私は面識のある方との邂逅に嬉しくなり、心の疲れがほとんど回復したように思いました。

後ろから、別の徒歩参加者の方が追いつきました。一緒に歩いたり、後ろの方が途中で休んで離れたり、我々を追い抜かしていったり、各々のペースで和やかな雰囲気で歩いていきます。

ふと道路の左側を見てみると、場違いな色合いの「何か」があるのを目にしました。

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近づいてみてみたら、恐らくは簡易トイレのテントだと思われました。この大会を行う前にミーティングを重ねるのですが、簡易トイレテントの設置という話は耳にした覚えがあります。

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実は、この時点で第8CPのタイムリミット8:15に間に合うかどうかが怪しいところでした。時間の関係もあり、中を視察することは見送りました。中を確認できなかったのは遺恨が残リます。

とうとうカーブも終わり、長い直線道路に差し掛かりました。

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私とあいぼん氏が気付かないうちに、我々の周りにいた方や後ろを歩いていた方は歩くスピードを上げていたようで、いつの間にか我々は最後尾となっていました。最後尾の証でもある、地元警備会社「ユーカラ警備」さんの伴走車が後ろに迫っていました。

この直線道路を道なりに進んだ後、国道391号に合流するのですが、その前に道路右側にパーキングスペースがあります。

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このパーキングスペースも、過去にチェックポイントだった場所です。数年前に現在の第8CP「川湯駅前交流センター」に移転しました。今となっては過去の面影もなく、寂寞の風景が広がるばかりです。

パーキングを越えて左側を見ると、珍しい道路標識を見ることが出来ます。私は、ここ以外でこの標識を見たことがありません。

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●踏切を渡り、国道391号に合流し、最後のCPへ

国道391号に合流する交差点の直前に、青看板が出てきます。この看板から国道までは、もう数百メートルは距離があります。

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国道に至る前には、JR釧網本線の踏切があります。ダイヤの都合上この踏切は2-3時間に1回くらいしか遮断器が降りないので、遮断器が降りたらレアな場面に出くわしたことになります。

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国道に合流したら、道路を反対側に渡って右折します。国道の左側を北に歩いていきます。

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青看板で「川湯温泉 3km」という表記が出てきますが、100km大会徒歩参加者は注意しなければなりません。これは国道391号を直進した場合の距離です。実際にはゴールの川湯ふるさと館までは4kmくらいあります。

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青看板が出てきますが、この矢印に従って川湯温泉駅の方に向かいます。

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この先、川湯温泉駅に右折する時、押ボタン信号に従って国道を跨いでいきます。ちょうどその時、摩周の峠を共に登った奥野氏が前方から向かってきました。ゴールに向けて歩いていくにあたり、自分の歩くペースを考えたらゆっくりしていられないとのことでした。

奥野氏と別れ、私とあいぼん氏は最後に第8CPに到着する徒歩参加者として、川湯駅前交流センターに向かっていきます。ここは、本大会で最後のチェックポイントです。

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[ep.20] あと少しで大会が終わる につづく