[ep.9]至高のグルメとの邂逅、サテライト本部の真骨頂
【メインテーマ】
100km歩こうよ大会 in 摩周・屈斜路 2019の実行委員がリアルに100kmを歩くことを決意し、実行したらどうなるのか?
【前回の記事】
[ep.8]土瀝青の罅、善人面の罅
●15:58、休憩所「札友内 寿の家」に到着
大きなモチベーションとしていたチョコがあると聞いていた休憩所の札友内 寿の家に到着しました。
顔見知りの地元本部スタッフである、あだ名「おもち」と「せなちゃん」がいてくれたおかげで、消えかけていた元気の灯火を再び燃え上がらせることが出来たように思います。
ここでは、数名の徒歩参加者も休憩していました。私は早くチョコを食べたかったので、本部スタッフのおもちに「チョコちょうだい!」とせがみました。
●弟子屈町の新しい名物、摩周ラムネ
すると、「氷で冷やしたラムネもありますよ!いかがですか?」というので、一緒にもらうことにしました。
空模様は太陽が顔を隠して薄暗くなり、気温は涼しくなってきていますが、歩いていると汗をかくので、冷たい飲み物は非常に助かります。ましてやキンキンの炭酸飲料は、今の自分にはもってこいです。
おもちの「ッッううっしゃゃあああーー!」という声とともに、ラムネの瓶の口から勢いよく飛沫が飛び散ります。受け取ったラムネを飲む前に、写真に収めておきました。
このラムネは、弟子屈の新しい特産品「摩周ラムネ」です。ネットで詳しく紹介している記事があまり見当たらなかったので、カタログデータを添付します。
このチラシの人物真ん中の黄門役をしている方は、私の過去の記事、スタート前にも登場した「第8CPリーダーのタカシ」さんです。摩周ラムネ発案者の一人です。
大会中に摩周ラムネを味わえたのは、非常に良い経験でした。発泡スチロールの中に氷を敷き詰めてキンキンに冷やしておいたのも、その画だけでも涼しげで心を洗われるようでした。
●100kmを歩くための下履き選びにこだわった結果
先程の写真の中で、もう1つ触れておきたいことがあります。それは、私が今回歩くためにチョイスした下履きについてです。
以前の記事で「クロックスのようなサンダルを履いている」と書いたのですが、この靴こそが私が今回歩くために準備した靴です。大会の2日前に、女満別にあるニコット(※)にて、30分くらい色々なサンダルの履き心地を比べて購入しました。
※ニコット…北海道ではわりとよく点在しているホームセンター。もともとはホーマックという名前でしたが、最近はブランド名をニコットに変えて運営されているみたいです。私が行った女満別店は、ここ最近開店した店舗のようで、ホームセンターにも関わらず生鮮食品や飲料なども販売されていました。近隣住民の方には非常に便利な施設になっていると想像できます。
この靴を選んだのは理由があります。
1.足の指が容易に動かせること
2.踵の両脇に圧迫感を感じないこと
3.脱いだり履いたりすることが容易であること
この3つが最低条件でした。あとは履き心地やソールの厚さ、重量感が決め手になりました。
1と2の理由は、足にマメを作らないようにするためです。10年前に歩いた時に、比較的タイトな履き心地のトレッキングシューズを履いて歩きました。結果、足の指を含む足の裏全体にマメができ、歩くのが大変でした。
3の理由は、チェックポイントや休憩所で土足禁止のエリアに入る際、脱着しやすい靴でないと時間もかかり、そのことで精神的ストレスさえも助長する恐れがあったためです。
結論から言うと、この靴のチョイスはほぼ失敗でした。足の指のマメが出来にくくなったのは想像通りでしたが、母趾球?(足の指の付け根あたり)と踵にマメができやすくなりました。かつ脱着しやすいことが祟り、小石が簡単に中に入ってきます。始めの方は足を上げてサクッと取れていたのですが、このあたりの体力では足を上げるのも億劫になってきました。
ただ、この靴を選んで歩くことを決めたのも自分自身の決断です。道中であいぼん氏が「途中で靴を買いますか?」と提案してくださっていたのですが、毒を食らわば皿まで、いっそこのサンダルで心中することにしました。
●至高のグルメ、氷水で冷やしたバナナ
ラムネを飲みながらチョコを頬張っていると、地元本部スタッフのおもちから「1本しかないんですけど、冷やしたバナナがあるんで食べます?」と声をかけられました。ラムネを冷やしていた発泡スチロールの中に入れていたようです。せっかくなので冷やしたバナナをもらいました。
冷やしたバナナ、めちゃくちゃ美味かったです。とりあえず、この道中では今のところ一番美味しい。
冷やしたバナナがとんでもなく美味いことを伝えたら、たじろいだ雰囲気でした。まさか私がこんなに感嘆するとは思っていなかったようです。外気温が寒いときには勧められないですが、気温18℃前後くらいで雨が降っていない大会であれば、冷やしたバナナは徒歩参加者にとって嬉しい食事だと感じます。
●トイレチェックを失念した便艦の成れの果て
本当はもう少しここでゆっくりしたいのですが、いかんせん第3CPのタイムリミットが迫ってきていますので、そろそろ出発しなければなりません。
強い焦燥感が災いし、便艦である私が、あろうことか札友内 寿の家のトイレ撮影を失念してしまいました。トイレを利用したのは間違いないのですが、どのような雰囲気、構成であったのかすら、完全に失念してしまいました。(「トイレを撮影する」という行為自体だけを言葉にすると、本当にド変態クソ野郎ですね)
心が折れてしまった私を体現するべく、地元本部スタッフの2人にこのときの私を撮影してもらいました。これぞ「The Art」。
とりあえず、この程度にふざけられるくらいには回復できたようです。サンダルで47kmくらい歩いてきて頭も多少ポンコツになってきているためか、この写真を見て笑いすぎて、良い腹筋のトレーニングになりました。
●コース前半の時間配分について、再度考察する
心身ともにリフレッシュが出来ましたので、急いで第3CPに向かわなければなりません。
7時にスタートし、第3CPに17:45までに到着しなければならない、かつ17:45着では休憩もできないので、せめて17:30くらいには第3CPに到着したい。ということは、休憩も含めてスタートから10時間半で52kmを歩く必要があります。
第3CPからゴールまでは、途中のチェックポイントを考慮しなければ、48.6kmを15時間半かけて歩けます。後半の疲労というファクターはあれど、第3CPまで辿り着ければ、後半のコースは比較的余裕を持つことが出来るようになります。
スタートする前から、出来る限りの時間の余裕を持って第3CPに到着することが、最初の大きなミッションでした。そのミッションをクリアするまでに、あと5.2km。最初の関門を突破するために、改めて一歩を踏み出し始めます。
●16:16、休憩所「札友内 寿の家」を出発
名残惜しさを振り払い、札友内 寿の家を後にしました。
寿の家に残っているのは1-2名だったと思います。我々よりも後ろで時間配分が問題ないのか心配ですが、恐れ多くもお先に失礼しました。
ルートは、交差点をいくつか曲がるものの、比較的シンプルなコースです。
国道243号を南下(地図でいうと下の方)していくと、美羅尾(びらお)という地域に向かうルートの道道717号との分かれ道があります。道道717号を南下すると今度は国道241号に交差し、国道241号を東(地図でいうと右の方)に向かえば第3CPの「道の駅 摩周温泉」に到着します。
道道717号への分かれ道の少し手前までは歩道があるのですが、100-200mくらいだけ歩道のない道があります。ここでも地元警備会社のユーカラ警備さんに誘導され、右折するまでの少しの間は右側を歩いていきます。
それにしても、本当に罅の多い道ですこと。夏は35℃・冬は-30℃と気温差65℃であることと、重量車の往来が多いのでしょうから、通れる道が維持されていることだけでも感謝する必要があるでしょう。
国道243号を右折して道道717号に入ると、右側に歩道が出てきます。歩道があることが、こんなにも安心感のあるものなのですね。
●本部徒歩スタッフの本領発揮、リアルタイムで情報伝達するファインプレー
この道を歩いている時に、サポートスタッフのグループMessengerが鳴りました。
「ビラオスキー場にてリタイヤの方がいます」
「(札友内にいた地元本部スタッフの)おもちが迎えに行きます」
などとやり取りされているのを確認しました。
あれ、ビラオスキー場って、ちょうど今、我々が歩いているあたりじゃないかな?
予想通り、ビラオスキー場の看板が見えてきました。
ビラオスキー場の入口に、一人男性が立っていました。徒歩参加者のような雰囲気ですので、声をかけてみました。
me「すみません、本部スタッフなんですけど、○○さんですか?」
参加者「はい、そうです」
me「これから地元本部スタッフのおもちという人が迎えに来ますので、もう少しだけお待ち下さいね」
参加者「わかりました、ありがとうございます」
このビラオスキー場入口にいた参加者の方は、どんな思いで私の話を聞いていたのか気になります。「何で迎えのことを知っているの?」とか「お前誰やねん」と思っていたんじゃないかと想像すると、良いことをしたのか否かわからなくなります。
さて、ビラオスキー場を右折して過ぎたあたりで、牧草を右折して包んだビニールが見えてきました。
これは黒いビニールですが、白いビニールの場合もあり、どのように使い分けているのか未だにわかりません。
●道道717号から国道241号に合流、そして釧路川を渡る
そんなことをぼんやりと考えているうちに、国道241号に合流する交差点に到着しました。
左側の横断歩道を渡って向こう側に渡るのですが、横断歩道に足を踏み入れたあたりで歩行者用の青信号が点滅し始めてしまいました。私とあいぼん氏は、少し不自由になりかけている足を鼓舞しながら少し駆け足で渡っていきます。
国道241号を東に進んでいくと、釧路川に掛かる橋を渡ります。
釧路川の南側を見てみると、少しわかりづらいですが、向こう側にアーチ状の橋がかかっています。この橋は、第3CPを出た後に渡る歩行者専用の橋である「なんだろう橋」です。
●憧れのビアガーデン!・・・参加できず!
いよいよ第3CP「道の駅 摩周温泉」の看板が出てきました。ただ、タイムチェッカーまではもうしばらく距離があります。
この写真の右側では、弟子屈町商工会主催のビアガーデンが催されています。
本大会開会式の時に、実行委員長の松山氏から「飲酒はNGなので、雰囲気につられて飲んでしまわないように気をつけてください。ノンアルコールならOKです」と事前に案内されていたイベントです。
時間さえ許すのであれば、立ち寄って楽しみたいイベントなのに…。タイムリミットのもどかしさが不快に絡まりついてきます。
BBQの香りと賑々しい雰囲気に少しだけ英気を養い、第3CPのタイムチェッカーのもとへと向かいます。
[ep.10]跳梁跋扈を喰らう己の弱さ につづく