【第3CP→第4CP】テロリストはポケットの中に潜んでいた

記事初回入稿日:2009.07.23
改訂開始日:2017.07.16
最終改訂日:2019.08.04

2009年6月27日(土)
13:08 第3CP到着

第3CPは、今までのCPに比べると、だいぶ人も多くいました。参加者チェックしているスタッフにチェックインを済ませ、お茶やソーセージ、バナナをいただきます。

大会開始前の受付で貰えるコースマップには、ここが「おまんじゅう」のお食事処であることが記載されています。

「おまんじゅう」って、食事…???

早速、私のバイブルであるWikipediaで調べてみました。なになに…?

饅頭(まんじゅう)とは小麦粉などを練って作った皮(生地:きじ)で小豆餡などの具を包み、蒸した菓子である。和菓子の一種。漢字は「万十」「万頭」「曼頭」などと書くこともある。

※Wikipedia - 「饅頭」より抜粋

やっぱり食事じゃない!

まぁ食事の定義付けをどう行うかによっても変わっては来るのでしょうが、お茶菓子ですから、主食とするには多少難があるでしょう。

ちなみに以前の記事で何遍も書いていますが、このコースマップを作ったのは、何を隠そう、この私です。結構ツッコミどころが満載です。チョイチョイツッコんでいきたいと思います。

ということで本編に再度流入いたしましたが、ここに置いてあるおまんじゅうは、ただのおまんじゅうではありません。

そう、川湯温泉名物、「川湯まんじゅう」です。

どんなものかを写真付きで説明しようと思ったところ、私としたことが写真を取り忘れるという、何とも情けないこととなってしまいました。ぜひとも現地で御覧ください。

で、写真を撮り損ねた肝心の川湯まんじゅうを地元の年輩の方に頂きました。

これ、生地と餡が滑らかに混ざり合って、なかなかおいしいです。和菓子であることは間違いないんですが、一般的な饅頭とは、見た目も舌触りも違います。紅白2種類あったので両方いただきましたが、味は同じでした。

手に取ったものを抱えながらブルーシートへと向かい、今回も例に漏れず、ドスンと腰をおろします。

ここのCPには、今までなかったテントの施設があります。

ここまで来ると、すでに20km以上歩いているせいか、テントの下でマッサージを受ける方が多数出てきていました。スタッフの方々も今までに比べると、やや忙しくなってきたようで、談話をしている光景がなくなってきたようにも思います。

とりあえずいただいた食べ物を口にいれ、お茶を飲み干し、根津さんと今後について話してみました。

「…チェックポイントの方たちと絡むのも難しくなってきましたし、 もっと人数がいるCPに早めに移動してゆっくりします?」

といったような結論に至りましたので、まだ全員が出きっている状態ではないですが、出発することを決めました。

この時、自分には不安要素がありました。予てから記していましたが、足の指にマメが出来始めていたのです。

セロテーピングを辞退してからそんなに経ってはいませんが、右足の小指は、痛みがやや強くなっていました。そのため、ここのCPにて「ニチバン ジェルプロテクター」なるものの使用を決めます。

これは、マメを防ぐための絆創膏みたいなものらしいのですが、ピップさんの提供で、今年初めて本大会にお目見えしたものです。

まぁこれも、今まで頑なに拒んでいたテーピングといえばテーピングなのかもしれませんが…。自分の中では「付けて仕舞え」と腹を決めました。ここら辺は、ホントにダメ人間です。

で、この装着を済ませると、徒歩中に食べるためのバナナ・川湯まんじゅうをツナギのポケットに入れ、みなさんの出発を待たずして自分と根津さんはこのCPを後にします。

ポケットに入れた川湯まんじゅうは、この後に自爆テロを起こすとも知らず・・・。

ここから第4CPまでは、本大会の区間最長となります。この区間は箱根駅伝で言うところの「花の2区」ですかね。

過去3年間の参加者からのお話だと、第3CPを出た後にあるアスファルトから摩周の山の上の第7CPまでが一番、心身ともに堪える区間だ、ということです。

さあ、いざ自分も、その苦行に立ち向かわんとしているところなんですね。どんなものなのか、存分に体験してみようじゃありませんか!

途中からアスファルトになるとは言え、第3CPを出てまだしばらくの間はジャリ道が続きます。その間も自分と根津さんは、とどまることのない談義を愉しんでいるのでした。

ただ、このあたりで初めて出てきた話題といえば、この先のCPをどのように過ごして楽しむかというところでした。

こんな感じで文字にすると一見真面目そうですが、具体的な内容は聞くに堪えないようなことでしたので割愛します。

当たり障りのないところで内容を記すと、

 ・第4CPは、ゆっくりしたいけど根津さんの知人が多いと思われ、グダグダしすぎていると白い目で見られる恐れがある(今更ですか)。
 ・しかも第4CPは、今までのパーキングエリア的なCPではなく、サービスエリア的なCPなので、たくさんの人が長期滞在する恐れがあり、サポートスタッフがてんやわんやではないだろうか。
 ・実際に第4CPに行って判断するべきだが、第4CPの混雑状況によっては、あまり長期滞在せずに第5CPまで行き、第5CPでゆっくりするのも一つの手かもしれない。
 ・実は心の中で、我々は第4CPに行きたいんじゃなくて、第5CPを目指しているんじゃないのか?
 ・よし、第5CPを目指して進んで行こうじゃないか!

こんな結論に至ったわけであります。なんともはや。

アスファルトが近くなると、ジャリ道の幅が次第に広くなっていきます。

このあたりでは、去年・一昨年の実行委員長である巡回の成田さん、道外カメラマンとして参加されたKさんと遭遇しました。

とうとうアスファルトの道が直前になると、ジャリ道の右上の方から車が通る音がしてきます。次第に、それは肉眼で確認できるようになってきます。

「ココをめくってね」を躊躇なくめくると、確か「あと6.4km」くらいの表示だったと思います。つまり、半分近くは歩いたということになります。結構早いなぁ、というのが率直な感想です。

そしてとうとう、ユーカラ警備のスタッフが見えると、コースの1/4以上を占めるジャリ道は終わりを迎えるのです。

本大会、歩道がない道は右側を歩くのがルールです。右側を歩かない方がいると、本部が警察から注意され、最悪の場合は大会が中断されます。誘導を担当するユーカラ警備の方が、車道の右側に誘導してくださいます。

アスファルトの道・国道243号に入ると、ほとんどまっすぐな道です。この光景こそ、まさに北海道そのものと言えるでしょう。

国道243号、徒歩参加者を苦しめる長いアスファルト。車やバイクならば快適なこの道も、徒歩だと無限ループのような錯覚に陥り、精神を狂わすほどというこの道。いざ出陣あるのみ!

このあたりで、たいしてお腹が空いていたわけではないのですが、第3CPでストックしておいた川湯まんじゅうを食べようと思い、ポケットから取り出してみました。

すると・・・・何と、潰れてビニールからアンコがはみ出て、コースマップにべっとりと付いてしまっているではないですか!

まさに内部テロ!ポケット内でクーデターが生じていました。

「ポケットの中にはビスケットがひとつ」とかいう歌だと、ポケットを叩けば叩くほどビスケットは増えていくそうですが、今、殊更にそんなことをしたら、より一層被害は甚大なものになります。

俺のポケットの中のテロリストは、さらに過激さ、凶暴さを増して攻撃を繰り返すに違いありません。そんな核弾頭を国道243号に遺棄できるはずもなく、自分の口の中で鎮圧を試みたのでありました。。。

途中、畑にはシカ除けのゲートがあったりしました。弟子屈町内の至る所で散見されるシカ除けゲート、農家さんからすれば、エゾシカの被害は本当に死活問題なのでしょう。

このあたりで、残念だったことがあります。道路に、川湯まんじゅうを包んでいたビニールが落ちていたのでした。

ゴミが落ちていた理由はわかりませんが、自分にできることは、ただこのゴミを拾うことだけでした。そして自分もゴミを落とさぬよう、注意しようと決めたのです。

ここから少し進むと、右側にパーキングがあります。そこで他の参加者の方が2組くらいいらしたのでご挨拶し、お先に失礼しようとしました。すると、前にいたグループの方がアメをくれました。

いやー、ありがとうございます!僕、甘いものがないと生きていけないんです。甘い人生、甘い生活、甘い人脈、甘い意識、甘いことからは、自分の人生は逃れられないのです。

そこには少なからずも「人生」と「(物理的にも抽象的にも)甘いこと」という2つの事情の因果律から免れることがないと、些か悟らざるを得ません。

その時、頂いたアメを舐めながら、決してドグマに陥ることはなく、ごく自然に一体化していく様を客観的に見つめられるほどに恐ろしいくらい自らを神格化してしまうくらい崇高な一時であったことは、今になって気付かされました。

少し悟りを開いたおかげで、あと数十年は生き永らえることができるでしょう。感謝、感謝。

先程のパーキングから少し歩くと、屈斜路プリンスホテルが見えてきます。それと同時に、左側に歩道が出てきます。

すると、またユーカラ警備さんが待機していました。右側を歩いていた参加者を歩道に誘導するためです。

ちなみに先程のパーキング辺りからは天を遮るものがなくなるため、直射日光が参加者の肌を焼きます。

そんな中、ユーカラ警備のスタッフは、長袖の警備服を着たまま、ずっと待機されているのです。本当に頭が下がります。しかもこの方、われわれの姿が見えると、わざわざ近くまで100mくらい近づいて歩いてきてくださいました。本当に、本当に頭が下がります。

歩道に入ったら車の危険が少しは和らぐので、多少は安心です。倫理的にまずくなければ、何でもやり放題です。いや、それは違うな。

少しばかり歩くと、「クッシー街道」という看板が出てきます。

屈斜路湖畔を歩いている間は、ボチボチ出没する看板で、名所の行き先までの距離の記載が、それぞれ異なっています。ちなみにクッシーとは、屈斜路湖にいるとされる恐竜みたいな生き物です。

ここからしばらくは、本当にまっすぐの道です。たぶん実際は遠いんでしょうが、参加者の方々が前方に見えます。

歩いていると左側にパーキングたいなところがあったのですが、そこで再度、川湯で民芸品を作って販売していらっしゃる栗田さんにお会いします。

栗田さん「あと4.6kmだよ!」

栗田さんの伝える距離は、非常に信憑性があります。今後も、これにどのくらい救われることになるでしょうか。

少しばかり歩くと、自分の携帯が鳴りだしました。地元の友人からです。

徒歩参加中なので、大会が終わってから掛け直そうと思っていたのですが、2~3回くらい頻繁にかかってくるものですから、渋々出ることにしました。

内容は友人のプライベートにかかわることなので割愛しますが、10分くらい話していました。

1人ならまだしも、隣に根津さんがいる中で10分電話するということは、とても申し訳なく思います。すみませんでした。今後は、TPOを弁えて電話対応を心がけたいと思いました。

もう第4CPまで残すところ1km切ったあたりで、幹事長である加藤敏明氏と子供たちが車を我々の前に横付けし、いきなり降りてきました。

何なんだろう?と思っていたら、子供たちはペットボトル(大五郎みたいなデカイやつ)を持っています。

子供たち「頭出してよ!」

根津さんに、屈んでもらうようにお願いしています。

頭を出した根津さんに、子供たちはペットボトルの水をジャバジャバとかけ始めました。

根津さん「うぉーーーーーー、すっげぇ気持ちいい!」

子供たち「湧水を汲んできたんだよ!」

そう、炎天下の中をずっと歩いていたわけですから、水をかけられると、とても気持ちいいのです。

私も少しだけかけてもらいましたが、気持ち良かったです。(自分の時は500mlのペットボトルだったのが残念)

後ろから来た参加者の方にも勧めてみたところ、

「おおおぉぉ、これはすごい!!」

と、感嘆の声を上げていました。

そんな感じで頭を濡らしてほんの少し歩いていたら、

さぁ、見えてきました。第4CPのスタッフが、歩道から手を振っています。

15:29、第4CPにチェックインを果たしました!

いやー長かった!

コースが?

いえいえ、この記事を書きあげるまでです。この記事を仕上げるのに、1週間くらいかかりました。

ここのCPは歩道から左に曲がったところに設置してあり、「屈斜路ウォータースポーツ交流公園」の駐車場を利用しています。今までのジャリの上のCPに比べたら、相当良い設備です。

さて我々、今回はここでのんびりする予定は立てていません。既にモチベーションは第5CPに向かっていました。第5CPでは、きっといいことがある・・・と信じて。

これから先わかっていくことは、モチベーションのコントロール一つで、何もかもが思い通りに動かす可能性を秘めているということでした。

【第4CP→第5CP】スーパー海物語 in 摩周・屈斜路 につづく