見出し画像

[ep.10]跳梁跋扈を喰らう己の弱さ

【メインテーマ】
100km歩こうよ大会 in 摩周・屈斜路 2019の実行委員がリアルに100kmを歩くことを決意し、実行したらどうなるのか?

【前回の記事】
[ep.9]至高のグルメとの邂逅、サテライト本部の真骨頂

●17:20、第3CP「道の駅 摩周温泉」に到着

弟子屈町商工会主催のビアガーデンを指を加えながら後にして、第3CPのタイムチェッカーがある「道の駅 摩周温泉」の敷地内まで歩いていきます。

建物が見えてきてすぐにタイムチェッカーがいるものかと思いきや、駐車場や建物の裏口を歩くように案内されます。あまり人の気配が感じられないようなスペースです。

道の駅 摩周温泉の建物の裏側に到着した時に、やっと蛍光緑のビブスを着たサポートスタッフが数名いました。実行委員長の松山氏、本大会発案者の幹事長の加藤氏もいました。主に片付け作業に取り掛かっていたようです。

ここのCPは17:45に受付終了で、我々は17:20に到着しました。何とか時間に間に合うことが出来ました。とはいえ、休憩ができる時間も25分しかありませんでした。

ここからは日が沈み夜間の歩行になっていくので、蛍光タスキの着用が義務付けられます。我々は、サポートスタッフから黄色の蛍光タスキを渡されました。

●陰の感情が、陽の感情を守りたい自分を殴りつけてくる

道の駅摩周温泉の店内で利用できる「150円割引券」を頂いたのですが、これから行う心身のケアのために、店内を物色する時間は全くありませんでした。

主に足の裏のマメの痛みのせいで、札友内寿の家で養った英気も、ほとんど使い果たしてしまいました。時間に余裕がないことで体力を削り、時間と体力が精神力を削っていったせいなのか、心がダークサイドに大きく傾いているような嫌な雰囲気を感じます。

「どうしてタイムリミット内に到着したのに、テントが解体され初めているんだろう、まだ我々はここにいるのに」
「どうして150円券をもらえたのに、これを使う時間が残っていないんだろう」
寂寥の大波に流されていくような気持ちになりました。

第2CP「はなこや」2回目の時も時間内に到着してテントが解体されていましたが、その時には何にも気にしなかったことです。正常な精神状態では瑣末なことでも、精神的に追い詰められると同じ形のものが違う形に見えてきてしまうことを学びました。大河となりかけている負の感情からでも、まだ疲労感の少ない両手両腕で、少しでも有益な思いを掬い出して残していくのが私の使命です。

●100km歩こうよ大会オリジナル商品「100キロ饅頭」

ここでは、今までの大会を通して初めて作られた「100km大会オリジナル饅頭」が振る舞われていました。白い饅頭と茶色い饅頭の2種類です。

正直いうと、札友内でチョコをたくさん食べたので空腹ではなかったのですが、せっかくの大会オリジナル商品ですので、多く残っている白い方を1つ頂戴しました。

大会のコース距離100.6kmに対して、この地点で52.0kmですので、このCPがほぼ折り返し地点となります。ここでしっかりと身体のケアを行うこととしました。

ここでも、今まで全てのCPでお世話になっている「ねぎぽぽ夫妻」の手ほどきを受けます。17:45にはここを出発しなければならないので、無理を言ってスピーディーに出来るやり方をお願いしました。隣では、あいぼん氏が施術を受けていました。

私も隣でマッサージを受けさせていただきました。「あれ、なんか足首の表側(脛の下)が赤く腫れ上がってない?」よく見ると、足の甲と脛の間の部分の足首が赤く山なりになっていました。曲げても痛い、押しても痛い、なんだこりゃ?恐らくは、サンダルで歩く時に無意識につま先を前に出すせいで、普段使わない筋肉や筋が酷使されたのではないかという話でした。

●「足」を増やす秘策、大会認定の竹杖を装備

そして施術の前後に、大会の資材運搬スタッフに一つお願いをしました。「竹杖を2本もらえますか?」トラックの荷室に格納してしまっていたようですが、開けて持ってきてもらいました。ありがたかったです。

この竹杖は、徒歩参加者の補助のために利用していただきたいという思いより「竹虎」さんから、この大会が始まった2006年前後に提供していただいたものです。

10年前にこの大会に徒歩参加したときにも、途中から両手2本分しっかりと使わせてもらいました。トータルで確か100本くらいあった気がしますが、一つとして高さ・太さ・太さ・重さが同じものはありません。この装備もまた巡り合わせです。

●17:39、第3CP「道の駅 摩周温泉」を出発

準備が整った時点で、17:39に第3CPを後にすることにしました。あいぼん氏はお手洗いに行かれていましたが、私は疲労回復に勤しむことに全力を尽くしていたためと、過去にここのお手洗いは何度か利用したことがあったため、トイレチェックは意図的に見送りました。

どこかから、我々2人が最後の参加者だと話すことが聞こえます。ここに入ってきた時には後ろに何人かいましたが、我々が休んでいる間に先に出発したのでしょうか。

タイムチェッカーに出発は告げましたが、敷地内は広く、まだ敷地の外に出るにはもう少し歩きそうです。

足の裏はマメだらけで、まるで剣山の上を歩いているようです。それでも先程借りた竹杖を両手で持って、杖にも力を入れて足の痛みを少しでも緩和させます。

この先は、休憩所「最栄利別(もえりべつ) 寿の家」を経て、第4CP「9○○草原」へと移動します。

そしてこれから、自分が想定したとおりのシナリオで進んで行くことが出来なくなるなど、この時にはまだ予想もしていませんでした。

[ep.11]非日常のランドマークと、テクノロジ過信へのアンチテーゼ につづく