
日記(2022/07/25-26)
月曜日。ジョン・フォード特集のためいつも以上に即退勤。渋谷に向かう電車でローベルト・ヴァルザー『盗賊』読み終わる。「彼はあなたのことを滅茶苦茶に、阿呆のように、この上なく敬虔に、やんちゃに愛しています。」訳文も素晴らしい!ヴァルザー再読フェス開催したい。
小走りを混じえながらシネマヴェーラぎりぎり到着。渋谷で同じ方向に早歩きの人たち全員ジョン・フォード特集行くように見えた。一本目『砂に埋れて』。ハリー・ケリー主演作品初めて見たが、どっちかというと悪人顔の人なのか。酒場の前で馬たちが雨に打たれながらご主人を待っているときにカメラに尻を向けているのが官能。あと動物が文字通り濡れて輝いていることも大事なことに思える。フォードに限らず、白黒映画の動物は濡れていることが多い、犬にしても。濡れ感。雨とは正反対の砂もまた官能的!終盤なんか砂によって濡れている。砂の女。
二本目『誉の名手』。現存するフォード作品最古らしいが、めちゃめちゃ綺麗なプリント。100年以上前の映画だが風やそれによって揺らされる草木、そして陽射しがまさしくいま目の前にあるかのように感じられるリアリティで次々と生起する。眼福画面。まずそのことに感動。馬に乗った悪党たちが丘を越えて次々にやってくる場面の「音楽性」が絶品。サイレント映画にこそ音楽が宿るということを改めて思う。この辺の画面の連鎖はトーキーになっても全然変わってないし、初期からずっとこうだったことに驚く。この頃すでに完成されていた。ラストでハリー・ケリーが入植者の娘と結婚するかどうか迷った末に決断に至るまでを溜めて溜めて語るのが何か面白い。ベタすぎる引っぱりというか。ベタすぎて異様に思える。
火曜日。中公文庫のアウグスティヌス『告白Ⅰ』読み終わったので帰りに神保町・東京堂書店『告白Ⅱ』買う。アウグスティヌスおもろいー。