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日記(2022/09/14-16)

水曜日。退勤後、新宿シネカリテ。高橋洋『ザ・ミソジニー』見る。中原翔子が召喚した「地獄に堕ちた女たち」(ムッソリーニの愛人とかケネディ暗殺支持したベトナムの大統領夫人とか)に俄然興味が湧く。ムッソリーニの死体を見た河野知美がつぶやく「ムッソリーニ顔変形してる」の言い方がなぜか笑いを誘う。

木曜日。『失われた時を求めて』岩波文庫10巻読み終わる。第五篇『囚われの女』の前半。ここからはプルーストの死後刊行ということと関係しているのか、積み重なる膨大な文章のなかで、かつて死んだ人が何事もなく甦ったかのようにしれっと登場していたり、逆に今も生きてその場にいるはずの人の死が既に起こったこととして語られたりするというミス、推敲の手抜かりが散見されるが、それはむしろ「豊かな矛盾」というべきかもしれない、何か小説が魔法にかかったかのような。

金曜日。退勤後、渋谷シネマヴェーラ。ジョン・フォード特集『誉れの一番乗』。アイルランドものであり、後半は渡米もの。『血涙の志士』や『静かなる男』でも出てくる馬の障害物競走。相変わらず落馬が派手で凄い。馬も人も絶対に無事では済まされない転び方をしている。今こういうのは動物愛護的に撮れないんだろうか。サイレント映画って無茶やってても無茶に見えないような映り方をするなあ。恋人との一時的な別離のときも彼が落馬するときも、ジャネット・ゲイナーは安易に駆け寄ることなくただ遠くから眼差しを送っている、というこのあくまでも控えめであることがむしろ思いを強くしていて、演出やな〜と思ったり。

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