【音楽雑記】リー・リトナー & デイヴ・グルーシン with ブラジリアン・フレンズ featuring イヴァン・リンス
11月22日、高崎芸術劇場で「リー・リトナー & デイヴ・グルーシン with ブラジリアン・フレンズ featuring イヴァン・リンス」を観てきました。長い公演名が表すとおりの重鎮の共演です。
今年、リー・リトナー & デイヴ・グルーシンによる『ブラジル』がリリースされました。1985年の『ハーレクイン』から約40年、続編という位置付けとのこと。
そんなデイヴ・グルーシンも御年90歳、リー・リトナー72歳、イヴァン・リンスが79歳。このメンバーでの公演はもう2度とない貴重な機会かもと、思わずチケットを取りました。
高齢に関わらず北京や香港のツアーを経て、間を置かず日本のツアー。大阪、川崎、ブルーノート東京4日間、そして最後が群馬の高崎まで連続公演です。(元気すぎる)
既にブルーノート東京のライブレポートも上がってました。そんなのも予習しながらの参戦です。
カルテット編成でスタートして数曲、デイヴ・グルーシンのソロピアノ。そしてブラジルミューシャンを呼び込んでの大編成でのライブパフォーマンスという構成。
各ソロミュージシャンのアドリブ、ジャムセッションパフォーマンスもふんだんでライブ感溢れる素晴らしいライブでした。
イヴァン・リンスについて
個人的には、今回、このライブを見たいと思ったきっかけは、なんといってもイヴァン・リンス。来日の情報があるとチェックしているアーティストです。
イヴァン・リンスにハマったのが1990年ごろ。きっかけは「LOVE DANCE」というアルバムでした。それから全てのアルバムを買い続けてきた唯一のアーティストです。
今回のライブでは、個人的にも思い入れの深い曲「LOVE DANCE」も演奏されました。アルバムに近いアレンジで英語で歌う「LOVE DANCE」を生で聴いたのは初めてです。
新しいアルバム『ブラジル』には同じくイヴァンリンス80年代の美しい名曲「Vitoriosa」も収録されていて、今回のライブでも演奏されました。
「Vitoriosa」はカバー含め色んなバージョンがありますが、『ブラジル』に収録されているものは演奏もアレンジも素晴らしいものでした。
イヴァン・リンスと共にヴォーカル、コーラスを担当している女性ボーカルのタチアナ・パーハの歌声が彩りを添えています。
今回、そのタチアナ・パーハも”ブラジリアン・フレンズ”の一人として参加。「Vitoriosa」も聴かせてくれました。
タチアナ・パーハはアンドレ・メマーリやアンドレス・ベエウサエルトとの共演で好きになったアーティスト。以前に目黒パーシモンホールでライブを観たこともありました。そんな彼女も脇を固める贅沢なメンバーでした。
後半、イヴァン・リンスが登場して、自分の世界進出のきっかけをつくってくれたクインシー・ジョーンズへの感謝の言葉も述べられてました。
クインシー・ジョーンズのアルバムに収録されているイヴァン・リンスの曲で特に好きなのが「Septembro」。とても静謐で美しい曲です。(「Brazilian Wedding Song」という副題もついている曲で結婚式でも聞いたことがある)
そんなイヴァン・リンスをフィーチャリングしつつ、今回のライブのメインはリー・リトナー & デイヴ・グルーシン。
いろいろ80年代のころを思い出しました。
リー・リトナーについて
リー・リトナーを初めて知ったのは1978年ごろ。
当時流行っていたフュージョン。ギター雑誌を読み込んでいると否応なく目に入ってきたのがリー・リトナーやラリー・カールトンでした。
自分が初めて買ったフュージョンアルバムが「キャプテンズ・ジャーニー」。
カジキマグロのように吊るされたギブソンセミアコギターが印象的なジャケットです。デイヴ・グルーシンとともに後にAORの重鎮デヴィッド・フォスターや若きスティーブ・ガッドも参加していたアルバムでした。後のAORブーム、そして日本のシティポップに影響を与えたポップな仕上がりでした。
デイヴ・グルーシンについて
デイヴ・グルーシンのほうは積極的にアルバムを追いかけてはいませんでしたが、常にその名前を耳にしていました。認識した頃には既に大御所だったと思います。
映画音楽も数多く手がけていますが、特に映画とともに印象的だったのが1984年のロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープ主演の『恋におちて』(Falling in Love )の音楽。
映画もヒットしてテレビの洋画劇場でも放送されていました。デイヴ・グルーシンの音楽はニューヨークの舞台とあいまって、とてもお洒落で抒情的なものでした。
ダスティン・ホフマン主演の映画『トッツィー』の挿入歌、スティーヴン・ビショップが歌った「It Might Be You」も優しく美しい曲で大好きです。
デイヴ・グルーシンのつくったレーベルGRPにも思い入れがありました。
数多くのアーティストのアルバムがありますが、ブラジリアンポップス好きの自分として特に好きなアーティストは日本人として初めてGRPレコード契約したミュージシャンのYUTAKA(横倉裕)。ブラジルテイストの音楽と琴の演奏の融合はとても美しいものでした。
今回の公演は、余韻を楽しみつつ、脈絡なく昔をいろいろ思い出したライブでした。