ビールと共に歩むベトナム

ガオー、虎だぞ？

タイガービールって知ってる？
タイガービールとはシンガポールだかどこかの会社で作っている非常に美味しいビールであり、たぶんベトナムでも作られているビールである。

最近アジアのビール飲み比べという企画がそこかしこで催されているのを目にする機会が多いので、たぶん多くの方は知っているものと思う。

ビールなのに青いラベルで、なぜか虎がマスコット。
なぜよりによって虎なのかは一般的には知られていないが、噂によるとタイガービールの創業者がペットとして虎をペットで飼っていたことがその由来らしいという話をどこかで聞いた気がする。

おぼろげな記憶を紐解くと、
創業者がある日ペットの虎（名前をチンパイという）と草原を歩いていると、チンパイがある木の根元を前足で掘り出したそうである。

チンパイがあまりにひたむきに地面を掘りだすものだから、創業者の彼はチンパイを置いていくこともできず、地面に腰を下ろしてその様子を眺めていた。

五分、十分と経つもチンパイはずっと地面を掘り続けており、その姿は半分ほど地中に隠れて見えなくなっていた。
穴の隣には掘り出された土が小山のようになっていた。

創業者の彼はチンパイのその姿を不思議に思うものの、最近忙しくしていたこともあり束の間の休息をとれたことに少し喜んでいるようにも見えた。

三十分は経っただろうか、さすがにチンパイのことが心配になった創業者はチンパイのもとへと向かった。
チンパイは相変わらずひたむきに木の根元を掘り進めているようだ。
いまや全身が穴の中に入っており、穴から掘りだされる土だけが見える。

創業者は穴に近づき「おーい、チンパイ」と呼びかけた。
するとチンパイが穴の奥からこちらを振り返った。
なぜかその目は潤んでいた。

そしてその直後、穴の底から猛烈な勢いで水が噴き出した。
まるで石油を掘り当てたかのように、冷たく透明な水が穴から噴水のように立ち昇ったのである。

チンパイはびしょぬれの体を震わせて、喜びを抑えきれない犬のように創業者の足に体をこすりつけた。

創業者は長い時間外で時間を過ごしていたこともあり、のどの渇きを潤すためにその水をすくって飲んだ。

「この水良い感じ！ビールが作れる！」

激しいインスピレーションが創業者の脳天を突き抜けた。
これだ、これしかない。この水でビールを作ろう。

居てもたってもいられずチンパイと共に家に戻り、それまで蓄えた全財産を元手にその湧き水のほとりに醸造所を設けた。

近所からありったけの麦芽やホップといったビールの原料を集め、木の根から湧いた湧き水とまぜて様々な工程を経て生み出されたビールは、すぐに好評を集めた。

しっかりした苦味に軽い飲み口、そして何よりもその独特の甘みが人々を虜にした。
美味しい、そして重くなく飲み飽きない。何倍でも美味しく飲める。
そして氷を入れてもなお旨みを感じられるその密度。
創業者とチンパイは一躍時の人として有名になった。

その噂を聞きつけた某大手ビールチェーンが創業者の元を訪れ、そのビールを世界中に拡販したものが、いわゆる「タイガービール」であると一説によると伝えられているそうだ。

チンパイと創業者が生んだ伝説のビール、タイガー

タイガービール、実際に非常に美味しいビールである。
これまで世界中のあらゆるビールを飲んできたが、かすかなフルーティな香りと甘みを感じつつ同時にしっかりとした苦味も味わえる絶妙なバランスを感じさせるビールである。

そして本当に飲み飽きない。何倍飲んでも美味しく飲める。
そしてベトナムでは基本的にビールに氷を入れて飲むが、氷との相性も実に素晴らしい。

ベトナムに住む前はビールに氷を入れて飲むなど考えられなかったが、今やビールと言えば氷、タイガーと言えば氷というのはもはや常識であり当たり前のこととなった。

タイガービールは氷を前提で作られているのかは知らないが、氷を入れても十分な密度、クオリティを感じさせる。
全く水っぽさを感じさせず、むしろ氷と混ざることで混然一体となり、初めてタイガービールが本当の姿を見せるとも言える。

昔日本でタイガービールを探したことがあるが、ベトナム料理屋かどこかで見つけたときは600円だか800円だった気がする。
最近はどうだか知らないが・・・

しかしここベトナムでは、タイガーは約16000ドンであり、日本円にしてたったの「80円」である。

世界最高峰のタイガービールが80円で飲める国、ベトナム

ますますDX（デジタルトランスフォーメーション）が進む昨今において、ビール党にとっては良く知られる事実だが、ベトナムは世界で一番ビールが安いらしい。

世界最高峰のタイガービールが約80円、ローカルピープルが安くビールを楽しむ際にチョイスするサイゴンビール、RUBYビールなどは50円くらいで買えたりする。

はっきり言って、ビール党だけれどちょっぴりビールを買うのに値段を気にするような方にとって、ここベトナムは間違いなく楽園に最も近い国の１つであると言えるだろう。

500円でビールが10本買える国は、たぶん世界でもベトナムくらいであろう・・・

コロナが明けたらまずはベトナムに！

ここベトナムは上述の通り経済発展も著しく、いろんな意味でとんでもなく良い国なのだが、様々な要因によりあまり面白い人がいないのがマイナスポイントの１つである。（へんなおじさんは大勢いるが）

ので、取りあえずコロナが明けたらまずはベトナムへ来てほしい！
面白くて若い人にたくさん来てほしい！
しなびたおじさんももちろん大歓迎！

タイガービールはそこらのコンビニで常飲できるし、ベトナム（特にホーチミン）にはクラフトビールの醸造所やクラフトビールが飲めるバー、飲食店が豊富にあるのも最高である。
今はロックダウンで全て閉まっているが・・・

とりあえず、コロナが明けたらまずはベトナムに来るのが賢い一手と言えるでしょう。
ベトナム、ホーチミンでお待ちしております。

アディオス！