1 はじめに
今回は Microsoft Bing Chat の「より厳密に」のGPT-4で、商標の指定商品又は指定役務から、商品又は役務の区分を判定させてみました。生成AIは、こういう定型的業務が得意な筈ですが、どこまで出来るでしょうか。
2 調査方法
(1)できるだけランダムな選択条件で特許公報をピックアップするため、
第6000000号から順番に調査しました。母集団に技術分野の偏りがあるといけないためです。また、商標登録を受けたものに限定しました。
(2)bing Chat(GPT-4)には、「・・・、それぞれの商標法の商品区分」または「役務区分」とプロンプトに記載しました。・・・には、商品名または役務名を記載しています。
(3)Microsoft EdgeからGPT-4 を搭載した Bing チャットを開き、「より厳密に」を選択して、新しいトピックにプロンプトを入力しました。(以下参照)
2.1. 商標登録第6000000号
商標登録第6000000号の第9類の各指定商品は、40商品中39商品まで正しく判定しています。
商標登録第6000000号の第16類の各指定商品は、24商品中15商品を正しく第16類と判定し、1商品を第20類と判定し、8商品は判定不明としています。
商標登録第6000000号の第41類の各指定役務は、16役務中8役務を正しく第41類と判定し、6役務を第35類,第42類と判定し、2役務は判定不明としています。
商標登録第6000000号の第41類の各指定役務をもう一度チェックしました。16役務中14役務を正しく第41類と判定しました。チェックする度に回答がぶれます。GPT-4では、乱数などを使って回答をぶらしているのでしょうか。
2.2. 商標登録第6000001号
商標登録第6000001号の第33類の各指定商品は、15商品中10商品を正しく第33類と判定しました。
2.3. 商標登録第6000002号
商標登録第6000002号の第41類の各指定役務は、7役務中5役務を正しく判定しました。なお、2回目の判定でも変わりませんでした。
商標登録第6000003号の指定商品または指定役務は、上記と同様です。
2.4. 商標登録第6000004号
商標登録第6000004号の第14類の各指定商品は、7商品中5商品を正しく判定しました。
商標登録第6000004号の第15類の各指定商品は、5商品中3商品を正しく判定しました。
商標登録第6000004号の第21類の各指定商品は、全て正しく判定しました。
2.5. 商標登録第6000005号
商標登録第6000005号の第43類の各指定役務は、全て正しく判定しました。
商標登録第6000006号から商標登録第6000009号までの指定役務は、商標登録第6000005号と同一です。
2.6. 商標登録第6000010号
商標登録第6000010号の第41類の各指定役務は、全て正しく判定しました。
2.7. 商標登録第6000011号
商標登録第6000011号の第45類の各指定役務は、全て正しく判定しました。
2.8. 商標登録第6000019号
商標登録第6000019号の第41類の各指定役務は、全て正しく判定しました。
商標登録第6000019号の第44類の各指定役務は、全て正しく判定しました。
2.9. 商標登録第6000020号
商標登録第6000020号の第9類の各指定商品は、全て正しく判定しました。
商標登録第6000020号の第16類の各指定商品は、16商品中14商品について正しく判定しました。
商標登録第6000020号の第35類の各指定役務は、42役務すべてについて正しく判定しました。
商標登録第6000020号の第36類の各指定役務は、55役務すべてについて正しく判定しました。なお、トークン数が多すぎたせいか、一度では回答しきれませんでした。
商標登録第6000020号の第38類の各指定役務は、10役務すべてについて正しく判定しました。
商標登録第6000020号の第41類の各指定役務は、13役務すべてについて正しく判定しました。
商標登録第6000020号の第42類の各指定役務は、35役務すべてについて正しく判定しました。
商標登録第6000020号の第45類の各指定役務は、11役務中8役務について正しく判定しました。
2.10. 商標登録第6000021号
商標登録第6000021号の第11類の各指定商品は、正しく判定しました。
3 結果
上記より、指定商品については163商品中142商品の商品区分を正しく判定しました。正答率87%です。
指定役務については225役務中212役務の商品区分を正しく判定しました。正答率94%です。指定役務の方がやや正答率が高いという結果となりました。
4 おわりに
bing chat の「より厳密に」は、GPT-4を組み込んでいるという触れ込みに違わず、無料ながらもなかなか使えます。bing chatのGPT-4は、クライアントが希望する指定商品又は指定役務から、指定商品又は指定役務の区分を推定する助けになりそうです。