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鍋も終わり、二人はリビングのこたつへ
僕は洗い物を済ませ籠に並べる

酔い覚ましのアクアミネラーレを手にこたつへ
別嬪二人、ヨギボに凭れている

「涼次、呑み足りない!」
「足りない!」
カウンターを喰らった
「ブランデーにする?」
「日本酒ぅ、牡蠣剥いてないのが有るでしょ」

いつチェックしたんだ目ざといやつだ

僕はキッチンに戻りアイスボックスから殻付きの牡蠣を出し剥く
モミジおろしにスダチ、お福正宗 槽垂原酒を出してやる
グラスは江戸切子

間接照明にしたリビング、昼光色のライトに切子がきらきら光る

ちゅるっと牡蠣をすすり、かんっと殻をボォルに入れる
くいっと冷え切った濃い日本酒

「こんなに酔わせてどうするつもり?」
別嬪が桜色の顔でいろっぽいけどさ
「おまぃがそれを言うか? 良いよ泊ってけ」
「やったぁっアヤっぺととことん呑めるぞぉ」
2人で切子をちんっと鳴らした
僕は西川のマットレスを僕の仕事部屋に敷いた、毛布を敷き羽毛布団と枕

「やだ、寝室でアヤっぺと寝る」
「香織んと寝るぅ」
はいはい、僕が自室で寝ますよ
720mlの空き瓶が恐ろしい速度で出来上がっていく

「おい、涼次、居心地良いぞ、最高のホスピタリティじゃ」
香織が切子を差し出してきた、酒を注いでやる
「おまえも呑め」
切子を干した
「良いホストじゃのぉ」
「もう、脚を洗ったって」
「私も洗ったぞ」
「ご同慶の至り」
酒のピッチが上がる

「ねえ、アヤっぺ相談なんだけど」
香織はアヤに注ぎながら言う
「なに?」
「こいつさぁ、縦にまっぷたつにしない?」
「だめっ使えなくなっちゃう」
おぃおぃ使ってるのかぃ

「でもさ、斬ったら二つに増えるかもしれないじゃん」
オニヒトデですか?

「商売上がったのに、こいつこんなにまめなの?」
「うーんまめだね」
「女にもてようと想ったらまめじゃないとね」
僕は照れくさくて、くいっと切子を空けた

「こら涼次、もてようと想ってまめにしてる?」
「してねえよ」
「興味ない相手には無関心だもんな」
まぁね
「私にはすこーしまめにしてくれてる?」
そりゃねアヤの友人だし

「香織んがコーチしてくれたんだよ」
え?
「田舎出のもっさい私の気持ちに気付いて」
はひ?
「涼次の目に停まるように」
ふむ
「教えた通り出来るんだから、アヤっぺは頭良いし、私より涼次と合うと想ったからさ」
香織は笑いながら切子を空け、僕に突き出す

「ありがとさん感謝している」
「本当はなぁ私が欲しかったんだぞ」
「分裂は出来ない」
「しゃあないからロケットエンジン搭載の男を見つける」
うん、そうしてください

「アレだけじゃないんだよね、結局さもてない男ってホスピタリティが無いの」
「gentleじゃないのよね」
おっとガールズトーク

「変に構えてて、気を使ってやってるんだぞって見え見え、実はマウンティングしているのに気づいていない、おい、筋肉が多いからって何が偉いんだ?」
「そりゃ、おっぱいにはかないません」
「もてない男ほど、デカパイ求めるしさ、私が何カップだろうがてめぇに関係ないっての、関係ない奴の為に綺麗になろうとしてるんじゃない」
「そうだそうだ、良い男を捕まえるのに自分を磨いてるんだぞ」

「女の品評会したって、もてないやつには絵に描いた餅、匂いを嗅ぐことも出来ない」
「涼次の匂い好きだぁ」
「私も、今度貸してよ」
「考えておく」
おぃおぃ

人同士だからねぇ、それでいて差異がある。 まずflatにして、自分がどうしたら楽しいか考えている、女と言う綺麗で可愛い生命が喜んでくれたら僕は嬉しいから、どうしたら喜んでくれるのか考えている、思考のチャートが無限に伸びていく

やっぱり筋肉関係は僕たちより弱いから、そこでどんな思考をもっているのか考える、何を求めているか。 でも実は僕たちよりタフな身体だから、どのくらいのパフォーマンスなのかも調べて考える、身長、体型も観察する、どう動いているのかも

「やっぱ、涼次は天性のホストなんだな」
「うーんただの女好きだぜ」
「好きだから観察する?」
「そうだよアヤ」

「だいたいさぁ、なんで一人称が僕なんだよ、東京人アピールか?」
「産まれは御府外だしねアピールしてもなーんもねぇべさ、僕=しもべで居たいと想うからさ」
「今度女王様ファッションで来ようか?」
「遠慮しておく(笑) 大好きな女の子、猫にはしもべで居たい」
「執事みたいなものか?」
「そだねぇ」

「アヤっぺ、こいつ良い男だねぇ」
「私も良い女で居ないと」
「切磋琢磨? 今度ロードバイク買って体型磨こうか?」
「エレベーターに乗るし、玄関におけるかな」

はいはい、今度バイク、見に行こうね
「私にも買え」
先日の借りが有るから買うよ
「やったぁ!カンパニョーロね」
おぃおぃ


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