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僕たちは家に戻った、まずは一安心だろう
エリが母親に電話している ごめんなさいと有難うを繰り返し
アヤに変わった 何か楽しそうに話していると想ったら
アヤが電話を僕に差し出した

「お母さんが変わってくれって」
「本当にお世話になりまして、有難うございます」
地元で高校教師をしているというアヤの母親は滑舌が良く丁寧に礼を言った
スピーカーから出るのはアヤにそっくりな声

「いえいえ、とんでもありません」
「阿玖吾さんが居て下さらなければ、どうなっていた事か」

「無事に収まって良かったです」
「エリも安心して大学に通えます」

「賢い人ですから、これからは変な縁が出来ないように、ご自分で注意なさるでしょう」
「そうなると良いのですが」

「大丈夫ですよ」
「阿玖吾さんみたいに良い御縁がエリにも在ると良いのですが」

「きっと有ります、僕が良い縁かどうかは、これから必死に努力しますので、どうぞ宜しくお願いします」
「いえいえ、アヤもお世話になりっぱなしで」

「とんでもないです、御挨拶を失念しておりまして失礼しました」
「主人とお礼に伺いたいのですが、ご都合は?」

「いえいえ、もう十分でございます」
「そうはまいりません、主人に叱られます」

「では、僕がアヤさんとお付き合いさせて頂いているご挨拶に、そちらへ伺います」
「まぁ嬉しい、いつです?」

「アヤさんと相談してご連絡いたします」

という事になった もう大学は行かなくて良いし、アヤも暫く研修の予定が無い

「お母さん、きっと宮島に宿取るよ」
とエリが嬉しそうに言う 2人の故郷は廿日市市 新幹線かな

で 3人で新幹線に乗った ちょいとお高い席、姉妹二人が並び、僕は離れている(泣)
安芸の宮島へ船で渡り、指定された旅館へ僕とアヤは同室、エリは御両親と5人で宮島を見て回り、鹿に御飯をあげて、もみじ饅頭を喰いしゃもじを買う

夜は牡蠣 かきぃいい♪ めっちゃくちゃ美味かったのだが
父上母上と同席だったのでかなり緊張していた

姉妹は母親似らしい、父親の面差しも有るけれど、動きと雰囲気がほぼママのコピーなのに笑った

父上は公務員をなさってるそうで、ざっくばらん。 娘に手を出しやがってと内心はお思いだろうが、おくびにもださず、酌をされて恐縮至極、返杯もそこそこに 手酌が江戸前だからと勘弁してもらった

翌日は父上の車でアヤの実家へお邪魔して、御親戚筋に軽い御挨拶、のち墓参りなのだが、墓に笹が蔓延っているそうで、それの駆除及び塩で予防

そして夜は宴会 あれこれおいしいものを おごっつおになって、けっこう酔っぱらった アヤとの仲を冷かされても動じないproモード 夜は客間に寝かされて寂しかった

翌々日エリを残し、広島市内へ 路面電車に乗り ドームと記念館を訪れた、中学の修学旅行以来だ

アヤのお勧めの店で おいしいお好み焼きをたらふく喰い、ビールを楽しみ もう一泊

アヤが生まれ育った街を見て感謝した、こんなにステキな女性がここから来たんだと感慨にふける

アヤは左側の窓際に座っている、ちょいと良い席だからゆったりだ
手を握り合ってる だって寂しかったんだ

「あまえんぼうモードなの?」
「うん」

「アヤと一緒に居られない時間が、すごーく切ないんだもん」
「ガキか?」

「そだよ」
「否定しないのが凄い」

「アヤと居る時は素で居たいもの」
「私もだけど、普通はもう少しカッコつけない?」

「カッコつけて見透かされるほど惨めな事は無い」
「確かにね」

「アヤを尊敬してるから素で居るんだぜ、そんだけ賢い女性だもん」
「私なんてバカだよ」

「僕もバカだ」
「あんたかてアホやろ、ほなさいならしてやらんわ♪ 帰ったらいっぱいしようね」

「気合入れてパウダーブルー(バイアグラ)使おうかしら」
「それは止めて乗り殺される」

「ご親戚から出てた元カレって?」
「耳ざといなあ」

「アヤにはすごーく関心あるもの」
「けっこう好きだったよ」

「ほぉ」
「頭の良い人だと想ったし、優しいと想った」

「大事にしてくれた?」
「してくれた」

「ふぅん」
「でも最初だけ」

「へぇ」
「やりたがる、でも受験が終ってからって言ったら、急に態度が変わった」

「目の前のニンジン、今すぐ喰いたいってか」
「ねぇ、そういうところだよ」

「なに?」
「涼次は私がそういったら、それをニンジンにして励むじゃん、彼はふてくされた、威張り散らすようになった」

「そうなんだ、ユキオちゃんみたいにやらせない女は価値が無いとか」
「愛してるなら許す筈だって」

「TPOがあるじゃんね」
「我慢できなかったんだろうね」

「そっかぁ」
「顕著な所ではファミレスで自分がソファに座りよる、びっくりしたけど、そういう人もおるんじゃと思ったんよ」

「あらら」
「父も母を大切にしてて車道側歩く、ソファと椅子が有れば椅子、涼次もそうじゃない?」

「常識だ」
「常識が違うの で、別れを告げたら周りを巻き込んで復縁を迫るわ、悪評を散らすわ」

「あー恋愛パニックか」
「結局別れて私が東京へ出たら、売女、淫乱、悪魔だって」

「女を魔にするも女神にするも男次第 でもそれは男も同じだよね くっだらね、パートナーが淫乱な方が楽しいのにw あ そうか自分に淫乱じゃないから妬いてるんだね」
「涼次には淫乱で居たいもん、偶に悪魔になろうかな」

「welcome」

新幹線がひた走る、左側に富士山、冠雪して美しい
「綺麗」
「アヤほどじゃない」

「そういうところ臭いよ?」



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紅=猫の瞳に恋する執事 Ti amo♡ #キジトラ #note #小説 #エッセイ #猫がいる幸せ
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