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Luna2022 19頁 エデンへ
シヴァの国、一通りの作業が一段落してヒルダは書庫に居た、神話の続きが読みたくなった。
ルナは朝から支度をして出かけた。マリアは兵たちと、木剣を振っている。 踏み台を移動させ、お目当ての羊皮紙の本を見つけ出した。
お気に入りのテーブルにハーブティを持ってきて座り心地の良い椅子に座る。
結界に閉じ込められた美女を英雄が、救いに行く話はいくつかある。 エッダのスキールニルという英雄が、揺れる炎を乗り越えられる馬を、神から貰いゲルズという美女を助ける、ゲルズの別名をヒルデガルドと言う。
目をあげる、私も結界の美女なのね、そっと微笑んで、窓から見える青さを見通す描いたような雲、名も知らぬ小鳥が横切る。
ヒルダはお茶を口にしながらページをめくる、読んでいた本をテーブルに置き次の本を開いた。
一番好きな英雄譚、ジークフリートとブリュンヒルドの恋物語。 浮気もののジークフリート最期まで一途だったブリュンヒルド
好きなのは、ヴァルキューレ・ブリュンヒルドの言葉
「あなたはヴァルキューレの瞳を見てしまいました、もはや運命から逃れようがありません」
ジークフリートが腹に居る母ジークリンデを一緒に自害しようとする、その夫から護って
「やめなさい、ジークリンデを殺さないで貴方も生きなさい、共に運命を変えましょう」
父、オーディンに逆らい
「私は間違ったことはしていません、あの人間が、一人の女を心から一途に愛するのを見て愛を感じたのです、永久に生きる神が持たぬ儚い命の中の輝きを」
炎と茨を乗り越えた若者に
「あなたを愛しています、あなたが生まれる前から」
死するジークフリートに
「たとえ、この身が離れても私たちの絆は誰も断ち切れない」
ブリュンヒルドから夫を奪ったとするクリエムヒルドに
「哀れな人よ、貴女は妻ではなかった彼はあなたのなかの女に惹かれていただけ、妻は私です、私たちは永久(とわ)の契りを交わしました。 遥か、いにしえのことです」
ヒルダはそれぞれの台詞が出てくるくだりを読み、それぞれに、鼻の奥をつんとさせた。 布を目頭に押し当て、鼻をかむ。 男って仕方ない。
マサカドの館の2階に小さな足音が響く、開け放したドアに小さな姫が駆けてきた。
「おじちゃまぁ」
黒髪をひらひらさせ、大きな瞳をきらきらさせて
「こら、お仕事だからって言っているだろう」
マサカドが言う。
「あら、おとうさま、おじちゃまのお迎えなのよ」
聞きなれた足音、ルナが入ってきた。
「こんにちは、マサカドさま」
その後ろから、マサカドの奥方が入ってきて姫を抱き上げる。
ルナとマサカドが挨拶を交わす。
「ロッソさま、表情が明るくなられましたよ」
マサカドの妻女がからかうように言う。
「あはは、うれしいもん」
「まぁ、素直な方、うらやましいわ、うちのは照れ屋で、そんなときは暴れますわ」
「客人の前で余計なことを・・」
ルナはロッソの前に立った。
「お疲れ様、旦那様」
「ありがとう、それで、わざわざどうした?」
「お留守に仰せつかった仕事も片付いたし、私もマサカドさまのお国を見せていただこうと思って、この後、都のシヴァ屋敷へご一緒しましょう」
「エデンの都か」
「久しぶりでしょう」
「良いね、行くか」
「おじちゃま、お帰りになっちゃうの?」
「うん、おばちゃまと御用ができた」
「誰がおばちゃま?」
ルナが柳眉を逆立てた、つま先がロッソのふくらはぎに食い込む。
ロッソの目が大きくなった、右目から涙。
「おねえさまと旅に行かれるのね」
姫がロッソに言った。
「うん、そうだよ」
ロッソは眉をしかめながら、姫を抱き取った。
「おじちゃま、痛い?」
「うん、痛いけど、うれしいかも」
「痛いのにうれしいの?」
「蹴りが入る位そばにいるのが嬉しいのさ」
「ふぅん、へんなの」
「姫もおっぱいが大きくなったらわかるよ、いてて」
ルナの指がロッソの頬をつねった
「ルナおねえさま、だっこ」
姫がルナに移る、シグムントが部屋に来た。ロッソは指示をして、マサカドと奥方に挨拶をする。
「じゃあ、行くわ、途中で悪いけど、マサカドよ、後を頼む」
「承知、このままシヴァへ帰るのか?」
「いや、エデンへ行く」
「おまえ直接か、護衛は?」
「いらん、夜にはエデンに着くだろう」
ルナとロッソは、ちょっとそこまで出かける雰囲気で部屋を出て行った。
グラーネとスルスミが街道を南下する。轡を並べて並足で歩く。
「グラーネはロッソがいると絶対に背中に乗せてくれないの」
「そうなの?」
「私の興いれのときに連れてきたのに」
「あはは、居ないときは?」
「自分が運動したいと乗せてくれるわ、でも私だけ、他の人が乗ろうとしても断固拒否」
「へぇ、知らなかった」
ぽくぽくと街道を歩いていく。 ところどころにマサカドの兵やテンプルの警備兵が居てロッソを見るとびっくりする、ロッソは気軽に手を上げて挨拶して通り過ぎる。
渡河して、タウゼント領を通り抜け、また、何本か大河を渡って丘を登り降り、シヴァ・クロノスへとエデンへの追分。 エデン方面の右へ行く
ここまで、誰何を受けなかった途中の関所も夫婦の旅行で通した。
まさか、クロイツェラーの指揮官が妻と2人旅とは誰も思わない。
「兵を率いて行かなくて良いの?」
「率いていくと、ハドリアヌスがびびっちまうし俺とルナだけで行けば驚くから面白い」
「驚くだろうけど」
「殺されるなら、兵を率いても多勢に無勢だし、かえって、2人のほうが逃げやすい」
「やっぱり・・」
「うん、ルナとなら冥界への旅も楽しかろうさ」
「うれしい」
都の出入り口の大門が閉まる前にエデンに到着した。 エデンはタイムズ川をエデン湾から東へ13キロ遡った平地に広がっている。
城壁に囲まれた人口100万の大都市だ、神皇帝国の首都で、宮殿はタイムズ側を背に黄金の威容を誇る。
シヴァ家のエデン屋敷に到着した二人は旅装を解き、小さな風呂に入った。 シヴァからベルが数人連れて2人の世話をするために来ていた。
風呂から出て、2階の窓から外を見ると、目の下には運河が流れている
ここから500mでタイムズ川だ。
屋敷の裏には荷物の運搬をするため運河が引き込まれ、門がついている。
屋敷を警備する兵は50名ロッソの考えで、兵は全て騎兵、屋敷の中に厩もある。
今夜は50名のグレートデーンも屋敷の兵舎に居た、いつもと違う身体のでかい顔ぶれがうろうろと・・・
「でも、あの人たち、身体は大きいけれど素朴で可愛いんですよ、うちの兵とも仲良くしているし」
食事を終わった食器を片付けながらベルがにこにこと言う。
「いろいろありがとう、ベル」
「いえ、お嬢様、さぁさぁ、明日は宮廷でございましょう朝からお支度もありますから、今日は早くおやすみなさいまし」
2人はせかされて、3階にある寝室へシーツをまくってベッドにはいった。
ルナはロッソに抱きつく。腕を首に廻し、長い脚を腰に巻く。
「どうしたの?」
応えずに力を込めて更に抱きつく。ロッソも太い腕で抱きしめてきた
痛いくらい抱きしめられてロッソの胸に鼻をうずめて、ふぅっと息を吐く
「久しぶりで、ほっとしたの」
背中にまわった手が暖かい。髪に頬をあてられて、ほおずりされている。
慈しまれている、気持ちが暖かくなる。
「貴女が居なくて、凄く寂しかった」
「私も」
「2~3日の仕事なのにな」
「片時も離れたくないと思うときがあるわ、でも、遠くに居てもロッソを感じているの離れていても傍に居るのよ、ずっとずっと私を思っていたでしょう」
「思っていたよ、他の誰にも目もくれないで」
「わかっていた」
「うん」
「私の男」
「俺の女」
気づいたらそのまま眠っていた。
翌朝、ロッソは紅いローヤルスチュアートのキルト、ルナはドレスアップの正装で馬車に乗った。
エデンの街を行く、エデンは元々商人の都市だ、商人が稼いで街をつくり、そこへ神皇庁が乗り込んできた。
当初、寺院だけだったのに坊主が皇帝を名乗り出し、兵を蓄え、宮廷を造ったものだから市民から非難轟々、未だに宮廷と市議会は仲が悪い
税金をかけようと企んでは、市民の理論的な反対に会い潰え、戦争をすると言っては反対される。
ルナとロッソの乗った馬車は艶の有る黒塗りで、甲冑同様踊るイノシシがドアに描いてある。
ざっくばらんで陽気なロッソは、この街で人気があり、ロッソの馬車で有る事が判ると市民が手を振ってくれる。
馬車は程なく宮殿に着いた、宮殿と言っても先ほどのような理由でエデンのそれは小さなものだ。
白い石造り4階建ての館周囲は槍のように突き立てた柵で囲われている、一辺400m程の正方形、正面をメインストリート後ろを運河に接している。
この他に神皇庁のヘッドオフィスは、エデン湾の港町にある、カウントベリーの大聖堂で軍勢のほとんどもカウントベリーに駐屯している
ロッソの馬車が停まると皇帝のバトラーが迎えに来た、怪訝な顔をする。
「ロッソさま、家来衆は?」
「軍勢ですか?」
「はい」
「お褒めの書状ではなく、出頭命令だったので、なにか粗相があったのだと思い、軍勢を引き連れるのは遠慮いたしました、本日は妻と2人でまかりこしました」
バトラーも乗せて馬車がゆっくりと門内に入っていく、馬車の中でロッソはバトラーにワイン色の布に包まれた何かを渡した、バトラーは一礼して受け取りポケットに入れる。
金属の内門が左右に開き、100m程行くと玄関。 バトラーが降りロッソが降りてルナをエスコートして降ろす。
3段ある大理石の階段を上がり玄関と休憩の出来る小広間、ドアが3つ有りセンターの大きなドアは大礼拝堂、左と右は宮殿内部への廊下になっている。 バトラーに誘われて左のドアから入る。
天井の高い回廊、美術品が飾られ天窓からの光で見えるようになっている
絵画、彫刻が美しい。
皇帝の執務室前まで歩いた。
「こちらでお待ちでございます、御用がお済になりましたら
お迎えにまいります、皇妃さまが、お目にかかりたいと おっしゃっておりますので」
ロッソが頷くと、バトラーはドアをノックした。
「どうぞ」
中から声がかかる。 バトラーがドアをゆっくり開けて
案内される。
「シヴァ王さま、王妃さまがお越しになりました」
「皇帝陛下、まかりこしました」
ロッソとルナが一礼する。 ドアが閉められる。
黒檀のオーバルのテーブルが水平方向に置かれている同じ材質の椅子に窓を背にして普段着で皇帝が座っていた。
向かって右に聖歌隊のブルーの服を普段着代わりに着ている中年の男、
ロッソもルナも嫌な予感がした。
「どうぞ、おかけください、ロッソさん、ルナさま」
ロッソより年若い皇帝は椅子を勧めた。2人は皇帝と向かい合って座る。
ハドリアヌス皇帝は、赤ん坊がそのまま大きくなったようなピンク色の肌をしていた。
窓から入る日の光に手の甲もぴかぴかしている。
栗色の髪に灰色の目をしている。 体型も赤ん坊を拡大したような感じで
思ったより肥えていなかったとロッソは心で笑う。
「元気にしていたかい?」
ロッソが気軽に言う
「はい、おかげさまで、少々太りましたが」
「巷じゃ、ヘロダイとどっこいの太り方だって言う
噂が流れているよ」
「ひどいなぁ、私はあれほどじゃないですよ、
お腹に段はついていますけど」
「稽古と乗馬をサボっているんじゃないのか」
「いろいろ執務が多いのですよ、いらいらするから、つい食べてしまうし
この、ハインツが、くれる薬を飲むと落ち着いて食欲がわくんです」
聖歌隊の男が目礼をした。
「そのうち、シヴァにも行きますから乗馬と剣術の稽古つけてください」
「良いよ、カモのシーズンだから美味い焼き鴨食って、風呂に入って、身体動かそうハドリアヌス陛下、動体視力は凄くよいのだから」
「んっぐっほっ」
聖歌隊の男が咳払いをした。
「これは失礼、摂政様」
「ハインツ、ロッソさんは剣術道場の師範もなさっていたから、つい・・・」
皇帝のほうが気遣っていた。
「シヴァ王、王妃さまには別室においでになることを、お勧めしますが如何でしょうか?」
蛇のような目がきらりと光った。
「せっかくのお申し出ですが、お邪魔でなければこちらに置いてくださいませ、私もお話をお伺いしとう存じます」
ルナが言うと、ハドリアヌスが頷いた、聖歌隊服の男は舌打ちしそうな表情だったが納めて言った。
「本日、おいでいただいたのはクロイツェラーにおける貴方の所業の理由をお聞きしたいと」
ルナは正面を向いてにこにこしている。皇帝と目が合うと目礼し、場を和らげている。
「はて、所存と申しますと? ハインツ フォン ブルーダー・フィッケン摂政さま」
彼はフリッツ フォン フィッケンの兄だ。
「クロイツェラーの命令書に都またはカウントベリーにて異端審問のため
スロンの異端と思われるものを捕縛することと有ったはずですが」
「承知しております」
「ウォータードアのセイワー公爵より申し出のあったスファラディの異端審問の件とご理解か?」
「はて、異なことを、スファラディとは一言も・・・先ほど仰ったように、
スロンの異端と思われるものとありましたので、調べましたところ、
そのようなものは居りませんでした」
「もう一度同じことを申し上げたほうがよさそうですな」
フォンは嘆息しながら言う。
「何度でも同じ答えですよ、フォン摂政」
「貴方は神皇庁の命令が聞けないと」
「いえ、命令どおりに致しました」
「命令書の行間を読んでいただかないと困る」
「命令であれば捕縛するものの指定と罪状を書いていただかないと困ります」
フォンは真っ赤になった、目が爛々と光っている、まるで赤い悪魔だ。
「おのれ、愚弄するか」
「指示は具体的に詳細に・・・賢い商人はそうしています。それが出来ない店は、まず長続きしないし、あの命令書は解釈の幅が広すぎて、最善を尽くすと私の行動になりますが」
ハドリアヌスがはらはらしながら見ている。
「商人と帝国では運営が違います」
「同じですよ摂政さま、人を動かすのに規模の大小は関係ない」
フォンのヤギの目が目一杯ひらかれ、こめかみに青筋が浮いた。 だが、気を取り直し、深呼吸する。
「それで、シヴァ王の解釈では神皇庁に忠義を尽くし、異端を告発した
セイワー王を討つことになるのですか?」
「私が討ったのは異端を告発したセイワー王ではなく」
「なんですと?」
「法度を犯して、陣中の評議中に剣を抜いたセイワー王です」
「そっそれも、若輩が頭を下げてことを収める不文律が・・・」
「明文化された法度には切り捨て御免とありますが」
「あなたは降家した名家を滅ぼしたのですぞ」
「ですから私も斟酌して騎士の情けで一度お引取り願い王権下賜状を頂戴しようと追いかけたところ、ウォータードアに向かう途中で刃向かわれたので、やむなく討ち果たしました」
「目付けに送った、ヘロダイとその家臣も・・・」
「あれはクニカーのカンムーですよご遺体をご覧になりましたでしょう、私の軍はロングボォを使っています、通常のものは使いません」
「なにゆえ、カンムーの本家とも事を構えられました」
「ヘロダイさまを殺されたからです演習のはずだったのに」
「演習ですと?」
「えぇ、ヘロダイ様が難に遭われたとき、私の隊は徒だったのですよ、儀仗礼をするつもりで、川原に散開していました、カンムーがヘロダイさまを矢ではりねずみにして、騎馬で渡河してきました。 私と兵は命からがら土手の上へ逃げ、弓兵が気を利かせて演習用の矢から実射の矢にとっさに変えて援護してくれなければ、今、ここに居りませんね」
フォンの歯がぎりぎりと鳴る。
「ロッソさん」
ハドリアヌスが発言した。 ロッソがそちらを見る。
「セイワーより奪った下賜状ですが」
「ここにございます、皇帝陛下」
ロッソは羊皮紙の下賜状を差し出した。
「北スロンに野望はないのですね」
「どうぞ陛下の御裁定を」
ハドリアヌスがほっとした顔をした。
「ありがとう、ロッソさん貴方と戦わないで済み、ほっとしました」
「私もです陛下,むやみに人のものを欲しがるなと教えられて育ちましたから」
ロッソがにっこりした。
「私も、そうなりました」
「そうか・・・」
「はい、あなたに剣術でさんざん叩かれて鍛えられて性格が直ったんですよ
しごかれましたもんね」
「よかったな、もう人のものは欲しがらないのか」
「そのように心がけています」
「じゃあ、あと二つ心がけたら良いと思うよ」
「二つですか?」
「身体を締めること」
「はい」
「フォンの薬を飲まないこと」
フォンが大きく目を見開いた、ハドリアヌスが頷く。
「ついでに、摂政ってのは半人前の皇帝を操る操り師だからな。 まだ一人前じゃないのか? そんな奴に頼っていないで自分のおつむで考えろ、おまえならきっと良い政ができるさ」
「シヴァ王」
フォンが怒号をあげた。
「んふふ、怒鳴ったって怖くないもんね」
「今に泣きを見ますぞ、ご家族や、可愛い3万の臣民が」
「どうにも悔しいらしいな、フォンの兄貴」
フォンの顔色が真っ蒼になった。
「弟の仇は必ず」
「はて、なんのことでしょう、摂政さま弟君は我が領土内の神皇区にて盗賊のため果てられましたが・・・我が領土内のため私が仇ですか?」
「おのれ!!」
「そういうのを逆恨みて言うんですよ、更に言えば、筋が通らない、もっと言えば、たとえばスファラディ」
ハドリアヌスもロッソを見る。
「今ある財産を全部没収して金の卵を産む鶏を食っちまうのは筋違い、ひとつも良いことは無い、ならば、人頭税という卵。 彼らのネットワークと言う金の卵を享受したほうが帝国のためでございますよ」
「そうですね、ロッソさん」
ロッソがにっこりする。
「さて、お暇しようか」
ロッソが立ち上がり、ルナの手をとる、ハドリアヌスがベルを鳴らすと
ドアが開いてバトラーが入ってきた。
ロッソとルナは挨拶をして退出した。 バトラーに案内されて廊下を暫く行き、階段を上がる。 ロッソはルナの手をとりエスコートする。
「歩きにくそうだな」
「慣れないし、あちらこちら締め付けるし靴も高いし」
「辛い?」
「でも、やっぱり、うれしい」
「綺麗だよ」
「ありがとう」
いいなと思ったら応援しよう!
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