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アヤと暮らしていて不満は何もない、至極上手く行っている
原因はきっと五十嵐あたりが茶々を入れて来るからだ

外に恋を阻害する要因があると
2人の気持ちは害を排除しようと内側に向く

お邪魔虫五十嵐は 恋のキューピッドだったのかと笑う

或る日、伊勢丹で五十嵐に遭遇した、いやストーカー?
1階のコスメコーナー、アヤは顔見知りの店員と、あれこれ試している

僕はコスメの香りや雰囲気が好きなので、なんとなくぼぉっと見ていた
「おい」
声に振り向くと五十嵐が居た
「あらま、こんなところで奇遇ですね」
「金でアヤを買いやがって」
「はて」
「とぼけんな!」

五十嵐の声にアヤがこちらへやってきた
「ゆるっと選んでおいでよ、終わったらSMSして」
僕はアヤに笑いかける
「五十嵐、お茶でもしましょうか、ケーキのおいしい店が有る」

伊勢丹で騒がせて堪るか、子供の頃から通ってた店だ
当時は、そーんなでもなかったけど新宿で遊ぶときはスニーカー
銀座へ行く時は革靴

スニーカーで遊べるデパートが好きだった
三越と統合して少しだけ敷居が高くなった気がするけれど 今でも好き

ニューヨークチーズケーキとブレンドコーヒー
ここのブレンド好き、ブラジルベースにモカハラリの微妙な酸味

カップはベッキオホワイト

「で、どうしたの五十嵐?」
「アヤから手を引け」
「僕がアヤを金で囲っている?」
「そうだろうがよ」
チーズケーキおいしい、コーヒーもおいしいからバニラアイス頼もうかな
たしか小島屋のアイスだった筈

「おい、聴いてんのか?」
「お金で囲ってる? アヤは花魁? 太夫、それとも妾?」
「アヤをバカにするな」
「バカにしてるのは五十嵐じゃん」
「なんだと」
「売女言ってるんだぜ、判んない? じゃあさ、アヤが僕のお金に惹かれてるとして、それの何がいけないの?」
「人の気持ちを金で買うなんて」
「買えないよ、少なくてもアヤは」
「現にお前は」
「僕が稼いだお金を楽しく使ってるけど、それは僕が頼んで使って貰ってる、今でも彼女はバイト代を僕に渡そうとする、最近やっとお金は唯の力の数値でたいしたもんじゃないと理解してくれた、あれば便利なだけだ、お金がある方が楽しめる幅が広がる」

「女と付き合うのに金に物を言わせて」
「金はものを言わない、でも無いとつきあいも続かないよ? 夫婦だって下手すりゃ続かないんだから」

「阿玖吾」
「五十嵐はさ、すっぱい葡萄じゃん、金、稼いでみたら良いじゃん、そうしたら環境も変わるし視点も思考も変わるよ? 今の五十嵐の思考は江戸時代、半島から輸入したひん曲がった儒学ベースの教え、大陸の拝金主義に対して、半島が金を汚れとする事でマウントするための思想」

「おまえなんか金しかないくせに」
「五十嵐は金もないじゃん」
「道場なら1分と立ってられないだろう」
「良いよ、道場で遊ぼう、ついでにこないだの黒澤と濱田も連れておいで、明日、どう?」
「良いんだな、吠え面かくなよ」

「あのな、五十嵐」
「なんだ怖気づいたか?」

「僕の邪魔をするな、僕にはアヤが必要だ、彼女が居るから楽に息が出来る、笑っていられる、毎日が楽しい、彼女が嫌な思いをしたり怯えたりするなら、僕は原因を排除する駆除する、今、決めた」

「涼次」
アヤが店に入って来た、ちょっと怖い顔をしている 五十嵐を睨む、大した眼力だ。

「大丈夫だよ、買い物途中だろう、茶々が入るといけないから外商さん頼もうか?」
僕は伝票を手に立ち上がった バニラ喰い損ねた

「出直す、お腹空いたから地下へ行こう?」
「美味い物有ると良いねぇ、冷えてきたから熱燗に合うの買おうか」


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紅=猫の瞳に恋する執事 Ti amo♡ #キジトラ #note #小説 #エッセイ #猫がいる幸せ
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