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忘却の旋律の白夜岬の石化描写についての考察

はじめに

 この記事では忘却の旋律のアニメ版の白夜岬編(第3話~第5話)での赤い髪の少女(メデューサ)が生贄として男の子を集めて石化していたことについて簡単に考察します。完全に「固め」ジャンルとしての記事なので、そこも注意してください。間違っている箇所もあるかもしれない上、とっちらかっていますがそれでも良ければぜひお読みください。


基本情報

 メデューサは「赤い髪の少女」としてクレジットされていて、斉藤梨絵さんが演じられています。また、第3話で石化された男の子はクレジットされておらず、声優も分かっていません。他の役を演じた方が二役している可能性もあるでしょう。
 本記事では「赤い髪の少女」をメデューサと呼びます。また、「第3話で石化された男の子」は石像2、もしくは石像2の男の子と呼びます(理由は後述)。

生贄として石化された男の子たち

 映像ではっきりとわかる、赤い髪の少女が生贄として石化した男の子と考えられる石像は以下のとおりです(登場順)。

  1. 海が見える高台でライトアップされていた石像(ミッドナイトひよこに首を切られた石像, 第3・5話に登場)

  2. 劇中で石化された白いTシャツの男の子(第3・4・5・14話に登場 )

  3. 手をだらんとしてうつむく石像(観光協会の水槽の石像, 第3・5話に登場)

  4. 手の甲を見ながら固まった石像(観光協会の水槽の石像でアップあり, 第3・5話に登場)

  5. 走って逃げようとしていた石像(観光協会の水槽の石像, 第3・5話に登場)

 これら5つの石像は明確に区別できて、別の石像だとわかります。
 また、
これらを生贄として認定した根拠は、

  • 翼がつけられていたことがあるかどうか

  • 服を着ているかどうか

の2つです(石像2は着衣ですが劇中の描写から生贄だとわかります)。
 今後、上記の石像を番号で呼んでいきます

石像紹介

石像1

石像1
第2話より

 石像1は、第3・5話に登場し、海が見える高台に続く大階段の頂点に設置されていました。他の石像とは違い、唯一公共の場所に展示されてしまっていたようです。ただ階段の先には木が目立ち、森がちでビルなども見当たらない(第3話、ミッドナイトひよこからの逃走シーンより)ことから、町の外れにある公園なのかもしれません。
 また、台座に丁寧に備え付けられています。夜には四方の白い照明でライトアップされるようになっていました。石像たちの中でも最も、多くの人に鑑賞されるように仕立て上げられてしまった石像と言えます。その結果、戦闘に巻き込まれは頭部が破壊されるという、公共芸術特有の被害を受けました。

石像1の全身像
第3話より

・大きさと年齢
 都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインによると、石像1の近くにある手すりは85から75cm程度であるはずで、85cmだとしら石像1の高さは約118.74cmになります。ちなみに台座も約85cmです。
 また、5.5頭身ほどに見え、6歳で6頭身ほどに発達すると考える6歳前後くらいなのかもしれません。2004年の6歳男子の平均身長は116.7cmで、先程の値に近くなり辻褄が合います。ここから考えると石像1は120cm6歳くらいの男の子に見えます。この場合、5つの石像の中で際立って小さな石像になります

石像1を上空から
第3話より

 しかし、このカットでは約6.18頭身くらいに見えます。更に柵の位置も移動しており、もっと年上だと考えてることもできます

・ポーズ
 ポーズは前傾姿勢で、この姿勢は長く維持できないため、メデューサに抱き寄せられて石化されてしまったのかもしれません。彼の表情は他の石像たちと違い、かなり無表情に寄っています。第1話でボッカの友人のケイがされたような、一度洗脳で無気力にさせる能力が使われたのかもしれません。
 服を着ていないのは石化された際にそうであったと考えられるため、彼は生贄として献上されたと考えられます。なぜなら、前述のケイが第1話で類似の状況に陥っているため、同様のことがあったと考えられます。

・表情と髪型
 表情は無表情に見えます。悟り切っていたのかもしれません。しかし、顔のアップを見ると、何かに耐えて目を瞑っているようにも見えます。

石像1の表情
第3話より

 彼は整って意外と大人っぽい顔をしています。そこから考えるともっと年上だと考えても良いかもしれません。6歳説でも「年相応でない、凛々しいしっかりとした顔をしていた」と考えても良いかもしれません。
 髪型は石像2や石像4に似ていて、少しだけ長めです。耳も出ていて前髪も目にはかかっていません。
 落ち着いた印象のある表情や姿勢からして、早熟な真面目な優等生だったのかもしれません。

石像2

温泉旅館のロビーに展示された石像2
第3話より

 石像2は、第3・4・5話に登場し、港で人間から芸術品の仲間入りをした後、何らかの手段で浜崎家の経営する温泉旅館に運び込まれて1階ロビーに展示され、メデューサの船に運び込まれた後、腰から下を切り落とされトルソーにされ、最終的にモンスターたちの本拠地に運び込まれました。その後本拠地で、再び上半身と下半身を接合する修復を受けていました。
 5つの石像の中、唯一人間だったときの姿がわかる石像です。

直後に石像2になる男の子
第3話より

 自警団とともにメデューサに立ち向かったときは怯えていましたが声を絞り出すように叫びながら金属バットを投げつけ、バットはメデューサに空中に静止させられるまで2.6秒前後対空し、少なくともおよそ10m以上、激しく音を立てて回転させて飛ばされているように見えます。小学生向けの一般的なバットの重さが350g~650g、中学生で重くて850g程度なので、運動神経は悪い方ではないことは確かでしょう。なお、右利きです。

石像2とメデューサ。メデューサのほうがやや高く見える
第3話より

・大きさ
 
身長はメデューサと比較できますが、

  • 第3話では頭頂部がメデューサよりやや低い(カメラがローアングルなため、メデューサが高く見える可能性がある)

  • やや高い。メデューサの頭の約13.21%ほど高い。

  • 第14話では第5話より高い。メデューサが屈んだ姿勢でメデューサの頭の約79.41%ほど高い

 と一定しませんが、身長はメデューサより少し高い程度だと考えられます。メデューサの身長は約147.86cm、頭の長さは約24.04cmだと考えられるので(付録1より)

  • 第3話では2cmメデューサが高いとして、約145.86cm

  • 第5話では約151.04cm

  • 第14話ではメデューサがかがんで3cm低くなっているとして、約163.95cm

これらを単純平均すると、石像2は約153.62cmであると考えられます。

・年齢
 声はおそらく女性声優が担当なされてることから、声変わり前だと考えられます。声変わりが平均13歳だとすると、石像2は13歳以下だと考えるのが自然です。 全身像から見る限りおよそ6.5頭身であり、およそ6歳で6頭身、12歳で7頭身だと考えると6~12歳あたりであると思われ、年齢は上記の推測と矛盾しません。身長も2004年の男子の12歳の平均身長が152.6cmであり、本記事では石像2は12歳程度だと考えます。 身長も年齢も、石像たちの中で最も大きいことになります。 

 くわえて、5つの石像の中で唯一着衣している石像です。このことからも、彼は生贄としてイレギュラーであったことがわかります。半袖のTシャツに、膝上丈のジーンズ、靴下は履いておらず、紐もないスリッパのようなスニーカーを着用しています。このことからも、彼があまり格式張ったものを好まないタイプであったことがわかります。

石化する直前
第3話より

・ポーズ
 ポーズですが、彼は人間の状態も描写されているため、そちらも考察します。石化する直前の姿が一瞬第3話で写されています。彼のポーズは、この直前にバットを投げたときの体勢にほとんど由来することがわかります。また、右腕を除けばほとんど石像2とポーズは同じであり、このことから彼は石化される直前に右腕を挙げたことがわかります。右腕を挙げた理由はメデューサのヘビ花火が爆発した後、発生した煙を遮ったためとも思われますが、それにしては目を瞑らず開けているし、手の方向も煙を遮るように正面を向いていないので、煙を払おうとして右腕を掃くように動かして先を見ようとしたのかもしれません。もしくは、やはり突然の出来事で恐怖に怯え、誰かに助けを求めたのかもしれません。

・髪型と表情
 髪型は比較的髪が長いが前髪は目に掛からず耳を出しているという、後述する石像4に似ていますが、彼のほうが若干髪に癖があります。また、以上のような特徴から、しっかり服装を整えたい人間でもないが、学校で髪型を逸脱しようタイプではなかったこともわかります。

 表情についてですが、まず石像2が人間だったときはよく目を瞑っており、画面に写っているだけで驚きで2回瞑っています。そして、彼は最初の「バットが空中で静止して壊れ、スカートから蛇が出てくる」のには強く驚きますが、「その後の生首が飛んできて爆発する(ヘビ花火)」ではそれほどは驚かず、あっけにとられているような表情をしています。彼の表情が、後述の石像3のように絶望的だったりせずどちらかというと驚き寄りなのは、驚きが強すぎて恐怖が少し吹き飛んだのか、キャパシティがオーバーしてしまったのかもしれません。

・忙しい石像
 また、石像2は劇中で最も多く輸送され移動した石像でもあります。まず港で石化された後、浜崎家が経営する温泉旅館に移動されています。このとき誰が移動したのかはわかりませんが、第4話で浜崎けい子が残りの石化された人々の場所を知っていたことから、彼女が移動させた可能性があります。第5話では石像を温泉旅館から船に輸送しますが、船の近くに黒いセダンの高級車しかないため、これで運んでいるのかもしれません。
 ここから1階のロビーに展示される前の僅かな時間に翼を接合したと思われます。第4話で浜崎けい子は、「オーロラは夜が終わるこの時刻が一番綺麗なんです」「夜になると霧が出るんです」と白夜岬を説明しています。石像2の男の子が石化されたときにはすでに霧が出ているので、一晩のうちにその作業を終わらせたことになります。その後温泉旅館からメデューサの船に移動され、そこで腰から下を切断され、台座に載せられた後、船は出港します。

乙女っぽい指
第4話より

 トリビアとして、純朴そうな雰囲気に反して左手の指は乙女っぽく繊細な感じになっています。

石像3

観光協会の水槽に展示されている石像3
第3話より

  石像3は白夜岬の灯台の近くの観光協会会館の一室の水槽に水没させられた形で展示してあり、この理事長が食事していた部屋の入り口から見て右側の水槽に展示されていました。メデューサが岬を離れたとき、石像3が運ばれたかどうかは分かっていません。

・大きさと年齢
 水槽の石像たちについて特筆すべきこととして、これらが腰から下が見えないことが挙げられます。ボッカの立っている床と水槽の床の高さが同じだと考えると、石像3・4・5はかなりスタイルが良く、股下は5割を超えます。これを不自然だと考える人もいるでしょう。ここで2つ説を考えます。

  • 盛り床あり説
    水槽の方に「盛り床」があり、ボッカの立っている床より少し高いと考えます。この場合、石像2と同年代の男の子たちが石化されたことになります。また、外からでもちょうど腰のあたりを鑑賞できるように、わざわざ盛り床がなされたという高さに見えます。

  • 盛床なし説
    スタイルが良いか、もしくは石像2のようにつま先足立ちしていると考えます。この場合石像たちの身長は高くなるので、石像の年齢層が上がります。

 ボッカの身長や顔の長さと比較しながら(付録2)計算すると、水槽の中の盛り床は約27.86cmほどだと考えられるので(付録3)、盛り床あり説では石像3は約135.52cmとなります。身長からして9歳くらいの男の子でしょう。これは石像1の次に小さな石像になります。この歳でこれだけ腹筋を鍛えているとなると部活動をしていた子なのかもしれません。
 また、盛り床なし説では、163.38cm程になります。身長からして14歳くらいの、ひょっとしたら声変わりもした男の子かもしれません。さらに、これくらいの身長になってくると成人でもたくさんいるので、ボッカと同年代の高校生だったり、それ以上の成人男性が飾られていると考えてもおかしくありません。小柄でスタイルも良くて筋肉質なのがメデューサの眼鏡にかなってしまったのかもしれませんね……。

 石像3も裸夫像であることや、翼をつけられていることから、生贄として献上された男の子だったと考えられます。

・ポーズ
 ポーズは、下を見て俯き、少しだけ方に力を入れて腕を持ち上げています。目は開いています。
 身長を135cmだとした場合、劇中の描写では足元から徐々に石化するタイプの石化ではないので、美術品にされるとき、恐怖と困惑からメデューサの方を向かず、混乱の中で石像3になったのかもしれません。もしくは、背後から抱きつかれ重くのしかかられたままコレクションの一部にされてしまったのかもしれません。
 身長を163cmとした場合、メデューサを見つめていたのかもしれません。彼女に咳化される前、恐怖の表情を思いっきり見せてしまった石像だと考えられます。もしくは、メデューサに後ろから抱きつかれながら石像になった、とも考えられるポーズです。お腹やお腹の周りの際どい部分を後ろから抱きつかれたかもしれません。それなら腹筋に力が入っても当然でしょう。

・髪型
 髪型は短髪のように見えます。しかし、今作の石像の描写全般に関することについてですが、遠くから描写されると髪が簡略化されがちなので、実際にどうだったかはしっかりわかりません。第3話で遠くから石像2が描かれたときも、髪が簡略化されて坊主のようになっていました。そのため、石像3と石像5については、どんな髪型だったのかはっきりはわかりません。

石像2が簡略化されて髪が描写されていないカット
第3話より

・表情
 表情は水槽の中に入れられていてしっかりわかりません。しかし水槽の石像たちの中ではもっともぼやけているにも関わらず、大きく開けられた目と口で、最も強い絶望の表情が印象的です。自分がどのようにされるかしっかり理解していたのかもしれません。

謎の石像
第3話より

・謎の石像
 第3・5話には背中しか見えない謎の石像が存在します。これは入り口からみて右側にあるため、石像3と同じ水槽か、その水槽の上に存在する、画面に写っていなかったもう一つの水槽の中だと考えられます。美しい背中から石像3に見えますね。そうだった場合、石像3には襟足などはなく短髪だったのかもしれません。
 
 このシーンの視点の高さは盛り床あり説の根拠になるかもしれません。しかしそれにしても高すぎるので演出を優先したカットなのかもしれません。
 演出を優先したと思える要素はもう一つ存在し、このシーンはよく見るとこの一室に入る入り口の形も他のシーンと違い、ボッカが立っている場所も入り口より外となっています。

・観光協会会館
 また、水槽は左右どちらとも常に下からライトアップしていて、空気を下から送り込み気泡を楽しむエアーポンプのような設備もあります。しかしこの2つの水槽は大きさが異なります。右側の水槽のガラス部分は高さが最低でも約88cmですが、左側の水槽のガラス部分は最低でも約172cmあります。自動販売機の半分の高さとそのままの高さほど違います。ちなみに横の長さは、292.54cm以上です。「この水槽は左右とも同じ大きさで、遠近法の影響なのではないか」と思うものですが、そう仮定した場合石像3が2.5メートル以上になってしまう(付録4)ので、不自然ですが左右対称ではないと仮定しています。
 また、観光協会会館の石像たちが飾られていた一室は理事長が食事をしており、理事長室なのかもしれません。くわえて、窓の形から1階か2階であるはずです。また、観光協会会館はファサードなどからもわかるように、ギリシャ・ローマ式の建築です。今作ではモンスターは象徴としてギリシャ・ローマ的、特にギリシャ的な要素が引用される事が多いので、この観光協会会館も設立にモンスターやメデューサの関与があったのかもしれません。

石像4

石像4の顔のアップ
第3話より

 石像4は石像3と同じく観光協会会館の一室の水槽に水没させられ展示されていますが水槽は異なり、石像4は入り口から見て左の水槽です。石像3と同じく、どうなったかはわかりません。

・大きさと年齢
 盛り床あり説では約143.60cmになります身長からして石像4は11歳程度でしょう
 盛り床なし説では石像4は約171.46cmになります身長からして石像3と同じく高校生も十分ありえて、成人男性もありえます。2004年の成人男性の平均身長はちょうどこのあたりであり、メデューサの趣味が幅広いことがわかります。

 石像4も裸夫像であることや、翼をつけられていることから、同じく生贄として献上された白夜岬の男の子だったと考えられます。

・ポーズ
 ポーズは、虚空を掴むように見えます。指に力が入り、困惑していることがわかります。
 身長を143cmとすれば、メデューサのほうが高いのですが、この石像4も石像3と同じく下を見てうつむいています。同じようなシチュエーションで石化された可能性もあります。つまり、後ろからメデューサが来たのか、怖く手前を見れなかったのかもしれません。
 身長を171cmとすれば、石化された際にメデューサに抱きつかれた場合、ちょうど胸のあたりにメデューサの頭が来るはずなのです。石像3が腹筋に力が入ったとすれば、石像4は指に力が入ったのかもしれません。

・表情と髪型
 髪型はサラサラとした2004年としては普通なものです。しかし目にかからないように切っていることから、彼は真面目な生徒だったということが示されています。
 表情は大きく目を開けて口が半開きになっています。この口は、意図的に開けたものではないでしょう。ここは石像3と異なる点です。深い絶望の中芸術に消化された石像3と違い、驚きと困惑で頭が混乱しているうちに、その横に並ぶことにされてしまった方に近いのでしょう。

・石像2の弟説
 そして石像4には、石像2の弟であるという説があります。第5話で船が出港する直前 「そろそろ弟たちも年頃になったかな?」のモノローグとともに石像4が映る意味深な描写が含まれます。これは石像2の男の子が第3話で叫び、人間として最後の言葉になった「ぼくの弟たちをかえせ!」と対応しており、そのことがこの説がその根拠になります。この石像4は、石像2とはおよそ2歳違いで身長は約10cm違い。そうだとしたらとても良い兄弟と言えるでしょう。後述の考察で否定的に解釈されることがありますが、素直に演出を見ると明らかにそう暗示する描写でもあり、矛盾を様々な理由で解消することも可能です。

石像5

石像4(左)の横にある石像5(右)
第3話より

 石像5は、石像4と同じく観光協会事務所の入り口から見て左の水槽に水没させられ展示されています。石像3・4と同じく、どうなったかはわかりません。石像5の顔は配置された場所からして石像3と見つめ合っています

・大きさと年齢
 水槽に展示されている石像の中で最も大きい
です。
 盛り床あり説では約151.08cmになります身長からして石像5は12歳前後でしょう。身長も年齢も石像2に近く、人間だったときは石像2の男の子のような感じだったと考えられます。
 盛り床なし説では石像4は約178.95cmになります。これは高身長に分類され、メデューサとの身長差は30cm以上に及びます。たとえ体格が大きくても、少女のようなモンスターには手も足も出ないのです

・ポーズ
 ポーズが、石像5最大の特徴でしょう。逃げようと走り出しているようにも見えます。もちろん無意味でいまは静止しているのですが。石像2と同じく、彼は洗脳や無気力化は絶対されなかったように見えます。しかしここも石像2と同じように、ただの石になってしまったようです。これから石化される、というタイミングで迷わず逃げる決断をすることからも、活発な少年だったのかもしれません。

・髪型と表情
 髪型は前述の通り、簡略化されがちです。しかしあえて解釈するなら坊主とも、短髪とも取ることが出来ます。活発ではあったもの、髪型にはあまり興味を示さなかったのかもしれません。
 表情は目を大きく開き、口をとがらせ歯を噛んでいるように見えます。この表情は恐怖というより、緊張や意志といったものを感じます。彼は最後まで諦めなかったのか、もしくは逆に怖すぎて逃げ出してしまう臆病な部分があったのかもしれません。逃げられるはずは普通ありませんから、そのときに逃げるという選択肢を取ろうとしたことは、自らの体力をよく分かっていない、あまり運動しない男の子だったのかもしれません。今はこのように品評されることしか出来ませんが……。

石像たちのまとめ

 年齢と身長については表にまとめてみます。

$$
 \begin{array}{|l|c|c|c|c|c|} \hline
& 石像1 & 石像2 & 石像3& 石像4& 石像5 \\ \hline
身長(cm) & 118.74 & 153.62 & 163.38 & 171.46 & 178.95\\ \hline
年齢(歳) & 6 & 12 & 14 & 大人も可 & 大人も可\\ \hline
盛り床あり説の身長(cm) & & & 135.52 & 143.60 & 151.08\\ \hline
盛り床あり説の年齢(歳) &  & & 9 & 11 & 12\\ \hline
\end{array}
$$

 石像1が最も小さいことは確定的ですが、盛り床あり説か、盛り床なし説(なし説はただの身長と年齢の行に含めてあります)で大きく順番が異なります。

石像の技術的側面

精密な加工技術

 第3話で石像2に石化した後から翼を追加したり、第3話で綺麗に切断した下半身を第14話で継ぎ目なく完璧に接合した上でまた跡もなく翼を切断していることからも、メデューサたちは石像の切断・接合に極めて優れた技能を持っていることがわかる。

頑丈さ

 石像1はミッドナイトひよこに首を切られて落下しても、約237.48cm前後落下した時点では砕けていないため、そこそこの強度がある石像だと思われる。

重さ

 重さは、先述の黒い高級車のセダンに乗せて運べる程度だと考えられ、乗車定員を4人だとすると、260kg程度が安全な重さだとされる。ドライバーの浜崎けい子を50kgとすると、石像2は少なくとも210kg以下かもしれません。

弟たちはどうなっているのか?

 まず以下の引用を見てください。

「ぼくの弟たちをかえせ!」

石像2の男の子
第3話より 

 「そろそろ弟たちも年頃になったかな?」

赤い髪の少女(メデューサ)
第5話より

 石像2の男の子は献上された「弟たち」を返せと叫んでいます。つまり「弟たち」はすでに石化され、今回の第3~5話のように持ち帰られたと考えたくなりますが、赤い髪の少女の発言は矛盾を引き起こします。その場合、石像は歳を取らず姿形も変わらないので、年頃になりようがありません。したがって、弟に関しては以下の推測が成り立ちます。

赤い髪の少女は「弟たち」を生贄として受け取ったが、年頃になるまで待ってから石化している

 だとしたらどこで弟たちが育てられているのか、という疑問が現れますが、明確な答えは描かれていません。

「そのモンスターはどこにいるんです?」
「わかりません」

ボッカと若旦那
第4話より

 しかし、モンスターがどこにいるかは分かっています。第14話にモンスターの拠点が描かれていて、そこでは謎の子どもたちが花畑の中で遊んでいます。ここは、間違いなく候補のひとつとなるでしょう。ここでしばらく育てて、年頃になったら石化するのです

謎の子どもたちが遊ぶモンスターの拠点
第14話より

 その場合、石像2がここに運び込まれているので、彼の「弟たち」は石化した兄を目撃したかもしれません

普段の「赤灯台」のときにメデューサは何をしているのか

 メデューサは赤灯台の日に子どもを生贄として石化していると考えられて、石像2についてはいつも通りの「徴税」が行われたように思えます。

「あの灯台が赤く染まった時、モンスターがこの岬に来てるんです」
「そして、子どもを生贄にするんですよね?」

若旦那とボッカ
第4話より

しかし石像2には他の石像と大きく異なる点があります。

石像2は着衣している。

 石像2を除く石像はほとんどが服を着ていません。今作は石化すると来ていた服も石化するので、他の石像は石化されたときに脱いでいたと考えないと不自然です。しかし服を着ないで外を歩き人はあまりいません。可能性があるとすれば、第1話でホルが行った洗脳・催眠して服を脱がすというような行為を外で行うのかもしれません

赤灯台ルーチン


 しかし、「弟たちはどうなっているのか?」で書いた通りであれば、一つの仮説が描けます。

メデューサの船が到着

赤灯台が発生

子どもを発見

何らかの方法を使って船に乗せて誘拐

本拠地にて「年頃」まで育てる

「年頃」になったら服を脱がして石化する

という順序を踏んでいるという説です。「赤灯台ルーチン」ととりあえず名前をつけます。

ハンティング+徴税説

 しかし、普通に考えて赤灯台になったら子どもがさらわれるなら、赤灯台の最中に子どもを外に出すはずがありません。そうなってはそれだけでは子どもを手に入れられなくなります。そのため、赤灯台ルーチンは「徴税」ではなく、趣味でやっているハンティングである可能性もあります。
 赤灯台ルーチンとは別に第1話のホルのように、子どもを選び献上する徴税があるのかもしれません。
 また、白夜岬の住民ではなく観光客を襲っているのではないかという考えもあります。第4話に浜崎けい子が「モンスターは旅行者を襲いませんから」と言っています。しかし実際は第4話でメデューサとともに旅行者であるボッカを見た老婆がおそらく石化する予定で「いい男では」とメデューサに呼びかけているので、浜崎けい子が嘘をついた可能性があります。

なぜメデューサはなぜ石像1・3・4・5を持ち帰っていなかったのか

 「赤灯台ルーチン」を考えた場合、謎が思い浮かびます。石像2は石化した後に持ち帰られたのですが、石像1・3・4・5はなぜ白夜岬に置かれていたのかということです。これについては情報がほぼなく、ほとんどが推測になります。

別荘の彫刻

 白夜岬はメデューサにとって別荘のような場所で、そこに設置しておきたかったからそこに設置していたという説です。
 この場合、石像は本拠地から船に乗せて白夜岬にやってきて設置しているということになります。石像1が景色がきれいな場所に立地していることや、観光協会事務所の理事長室はメデューサへの応接間になる可能性があることなどを考えると、あり得るかもしれません。観光協会事務所は灯台のすぐ下で、船からのアクセスも良好です。
 メデューサは石像1を愛でながら街の景色を眺めることがあるのかもしれません。

置き去りにしている

 何らかの理由で置き去りにしているという説です。
 この場合、白夜岬のどこかにホルが持っているような「徴税施設」があり、別荘の彫刻と同じような理屈で外に持ち出さず設置しているのかもしれません。
 もしくは、気に入らなかったため持って帰らなかった石像たちなのかもしれません。
 最後に一つ、メデューサがルーズであるのかもしれません。石像2も、石化されてから数回赤灯台が発生しましたが、しばらく放置されてから回収されています。このように、石化してもすぐに持ち帰るとは限らないだけなのかもしれません。

そもそも何のために展示しているのか

 第4話では、ボッカが白夜岬の人に対して、「知っていますか?この岬で子どもが生贄になっていること」と聞いて追い返されるシーンがありますが、そもそもそんな状態なのに、なぜわざわざ石像を展示してあるのでしょうか?

メデューサの強制

 メデューサの権力に白夜岬の人間たちが立ち向かえない、という説です。この場合、石像1が少し外れた公園に設置してあったり、観光協会事務所といったような関係者しかいない施設に集中していた理由が説明できます。なぜなら白夜岬の人間は後ろめたいので石像見たくなく、メデューサの逆鱗に触れない程度に隠れた場所に置いているのでしょう。
 この場合、同級生がかつての友人が天使のような石像にされてしまったものを見ることがあるでしょう。もしかしたら、明らかな恐怖を感じていた石像3は、他の石像の誰かの同級生だったのかもしれません。第3話の若旦那いわく、メデューサが白夜岬を支配し始めたのが3年前なので、石像1はひょっとしたらかつての石像3の同級生で、初めの方に石化されてしまったのかもしれません。

ディスプレイのため

 石像2も、メデューサに献上される前に一度温泉旅館の1階ロビーに展示されています。そしてしばらくしてからメデューサに回収されています。
 もしかすると、メデューサが石化してからモンスターユニオン側が街にディスプレイして、気に入ったらメデューサが持ち帰るというようなシステムがあるのかもしれません。この場合石像1は近いうちに片付けられることになるかもしれません。

一時的保管庫として

 石像2がホテルに飾られていたのを、一時的な保管という解釈をすることもできます。この場合、石像3・4・5のいる観光協会の水槽の中というのは、人目につかず多くの石像を安全に一時保管できる優秀な倉庫となります。メデューサは彼らは大事に取っておいてあるのかもしれません

偽物である

 オーディオコメンタリーでは「石化された子どもたちかもしれないと感じてほしい」と制作陣が言っているという情報があります。この場合、白夜岬の石像は必ずしも石化した子どもたちではない可能性があります。
 あれは白夜岬の住民がメデューサの歓心を買うために自己隷属的に作り上げた石像である、などが理由として挙げられます。
 この解釈は、石像1に対してなどの破壊描写が苦手な方にはぴったりでないでしょうか。

メデューサが白夜岬を去った後石像はどうなったのか

未回収の場合

 まず、石像1は戦闘の余波で頭部が壊れてしまったので放置される可能性があると思われます。石像1は「破損した公共芸術」として処分されるか、外れの公園のため予算が下りず放置されるか、予算が特に逼迫している場合はサモトラケのニケのようにその姿の芸術として取引されるのかもしれません。
 石像3・4・5はどうなったのか不明ですが、放置された場合は以下のことが考えられるでしょう。
 この場合、白夜岬の人たちには再びメデューサが来て朝が訪れない街にしてほしい、という人はまだ多いでしょうから、その時のために保管しておくことが考えられます。白夜岬の景気が酷く悪化した場合、石像を売却することも考えられます。そして最後にもし白夜岬の人たちに人の心があった場合、埋葬するかもしれません。石化して死亡した人たちはあの世界にはたくさんいるので、例えば棺に入れて土葬するとか、砕いて土に埋めるとか、海に沈めるといった埋葬方法を持っているはずです。

回収した場合

 まず、石像2は第14話でモンスターの拠点にいる通り、回収されています
 石像3・4・5が回収されたのではないか、という解釈は存在します。
 第5話で船が出港する直前 「そろそろ弟たちも年頃になったかな?」のモノローグとともに石像4が映るので、彼は石像2の「弟たち」であり、兄弟仲良く運ばれてしまったという解釈もできます。兄弟説は前の方で否定しましたが、「水槽の中でいい感じに汚れた」もしくは「ボッカの中学校の友人のケイのように『殺されてもまだ意識があるパターン』のため精神状態を言っている」という意味であるという解釈があります。

メデューサが女の子も生贄にしている可能性

 第3話で赤灯台のときに浜崎家の妹のキュウちゃんが若旦那から電話を受けています。

「赤灯台?見たけど気にしない」
<中略>
「大丈夫だって!そんな心配しなくても」

キュウちゃん
第3話より

 この描写を見るに、若旦那は赤灯台のときに外に出ているキュウちゃんを心配しています。しかし、キュウちゃんは女性なので、男の子だけをターゲットにする場合、若旦那は心配する必要がありません。同じく第4話でキュウちゃんは「他の子どもはみんな部屋から出ないし」と言っています。女の子も部屋から出ないと受け取れます。そのため、メデューサが女の子も生贄にしている可能性があります
 しかし、第3話の描写を見ると、他の大人も窓を締めて隠れていたりするので、メデューサのターゲットが結構無作為である可能性があります。

メデューサが好む「年頃」とはいつなのか

「いい男では」
「まだ早い」

第4話, 老婆と赤い髪の少女

 メデューサが「年頃」を重視し、あえて石化のタイミングをずらすことは前述しました。この引用も「ボッカはまだ石化するには年頃ではないとメデューサが考えた」というように解釈できます。「石化したいが、今のタイミングでは負ける」というような、戦略的な提言ではないかとも考えられますが、メデューサは今回白夜岬に来たタイミングでボッカを襲う気配は見られなかったので、違うのではないでしょうか。

 第1話の描写から、ボッカは高校生で、かつ少なくとも第1話の5年前には中学生です。留年などはしていないと仮定すると、最低でも17歳の高2です童顔とは言っても身長も165cmあります。ここから考えると、メデューサの考える「年頃」は、成年より上である可能性があります。
 つまり、意外とメデューサの好む「年頃」は、想像より高い可能性があります。

 これは第3話の「そろそろ弟たちも年頃になったかな?」というメデューサの発言とも矛盾します。石像2は12歳程度で身長が153cmです。そうなると、石像1は更に幼く小さいです。

 この矛盾は、様々な解釈があります。答えはありません。なのでお好みの解釈を選ぶことが最適だと思われます。以下がその解釈の一覧です。

  1. 「年頃」は13歳前後である

  2. 「年頃」は18歳である

  3. 「年頃」は成年男性を含む

1. 「年頃」は12歳前後である。

  • メデューサは第5話で「弟たち年頃になった」と石像2(第2話で石化された男の子)を見ながら言っているので、石像2を基準にする。

  • 第1話でホルは中学生時代のボッカの友人のケイを「税」としており、作品内でも辻褄が合う。

  • 赤灯台のときも、子どもが危ないという話になっている。

  • 盛り床あり説を採用する。すると石像たちは6歳から12歳、118cmから153cmの範囲に絞り込める。

  • もしくは、メデューサは「苦しんで絶望してから」など年齢以外の理由で「まだ早い」と話した。

  • メデューサは白夜岬を支配して3年しか経っておらず、石像2の男の子の「弟たち」が年頃になるには3年程度で問題ないということは辻褄が合う。

2. 「年頃」は18・19歳である

  • メデューサは第5話で17歳165cmのボッカに対して「いい男では」との問に「まだ早い」と返している。

  • 第1話に17歳の園田エルが「税」にされそうになった通り、それくらいの高い年齢でも子どもと判断されて「税」にされることはある。

  • 2004年は成人年齢がまだ20歳以上なので、18, 19歳は子どもに入る

  • 石像1から5は実はメデューサは気に入っておらず、置き去りにして回収していないと考える。

  • なので、おそらくモンスターの本拠地などに18、19歳あたりの石像が大量に保管されていると考える。

  • メデューサは白夜岬を支配して3年しか経っておらず、3年で石像2の弟たちが「年頃」に育たないという問題は、メデューサが当然白夜岬以外からも「税」を取っているはずで、「弟たち」は「徴税」した人たちの総称とすれば矛盾しない。

3. 「年頃」は2つあり12歳前後と成年

  • メデューサは第5話で17歳165cmのボッカに対して「いい男では」との問に「まだ早い」と返している。つまり18歳以上、成年が「年頃」である。一方でメデューサは第5話で「弟たち年頃になった」と石像2(第2話で石化された男の子)を見ながら言っている。これだと年頃は12歳前後である。しかし「年頃」が2つあると考えると矛盾しない

  • 「ハンティング+徴税」モデルの場合、12歳前後は徴税でとれるため切らしていないが、とれない成年はハンティングで補う必要がある。そのため第3話で成人に近いボッカを見て老婆が「いい男では」と聞いたのだろう。

  • この説はこれだという一押しはないものの、ほとんどの問題を矛盾なく説明できる。

メデューサの税率

 忘却の旋律で、モンスターは子どもを「税」として生贄に捧げることを求めますが、税であればもちろん「どの程度取るのか」を決める必要があるのですが、メデューサはこの部分の描写が少し特殊です。

 第1話にて、モンスターのホルは「4年に1人」という間隔で税を要求しています。つまり1年に0.25人となります
 ではメデューサの「税率」についても考えてみます。人数と期間が必要です。上記の5つの石像を、「税」として石化された男の子の人数全員だと仮に考えましょう。
 また、温泉宿の経営一家の浜崎家の姉である浜崎けい子は3年前の高校を卒業する頃に白夜岬を日が沈まない岬に変えたので、5つの石像は3年間に納められた「税」だと考えられます。

 すると、メデューサの「税率」は最低でも1年に約1.67人となり、ホルの「税率」の約6.68倍になります。ホルと比較してメデューサが「税」をたくさん欲しがっていたことが良くわかります。

トリビア

 ずっと朝が来ないのは極夜なので、白夜岬という名称は変です。第3話で観光協会理事長が「ここはね、ずっと白夜で、野菜や果物の育ちが悪い」というセリフもあるので、制作陣が取り違えた可能性が高いと思われます。

終わりに

 このような記事をここまで読んでいただいてありがとうございました。


付録1:メデューサの身長

・メデューサの身長は?

  • 本人が所有する船の柵(船舶設備規程から柵は1.1m以上でなければならない)との比較から最低でも147.86cm前後以上(第3話)

・メデューサの頭の長さは?

  • メデューサは約6.15頭身なので、頭の長さは約24.04cmほど(第3話)

付録2:ボッカの身長

・ボッカの身長は?
 ボッカの身長は学校(身長がある程度無作為に子どもが集められる場所)で、

  • 同級生8人で並ぶと最も低い(第1話)。0%

  • 同級生10人で並ぶと6か7番目に高い(第1話)。35%

  • 同級生13人で並ぶと8番目に高い(第1話)。約38.46%

  • 同級生5人で並ぶと最も低い(第1話)。0%

となる。なので、上4つを平均すると全国の高2の中でおよそ18.37%くらいの高さだと考えられる。正規分布の母集団を想定するとー1標準偏差よりすこし高い程度だと考えられる(統計分かる人がいたら教えて……)。2004年の高2身長平均-1標準偏差は164.28cm程度なので、ボッカの身長は165cm程度と見積もっていきます。

・ボッカの頭の長さは?
 ボッカは設定画より約6.4頭身なので、頭の長さは約25.78cmになる。

付録3:観光協会の水槽の盛り床の高さ

 石像3・4・5の年齢や体型や頭身などはわからないので、同じく「税」としてメデューサが好んだであろう石像1と2の股下の平均値を出します。石像1の股下が約0.36、石像2の股下が約0.49なので、平均して約0.43ほどになります。これを仮の股下と考え石像3・4・5で計算します。
 これをボッカと比較したときの高さからそれぞれ引くと、石像3・4・5それぞれの仮の盛り床の高さが現れます。盛り床の高さは同じはずですから、これを単純平均します。すると約27.86cmになるので、これを盛り床の高さだとします。

付録4:左右の水槽の画面上の大きさの違い

 さらに、石像3・4・5は左右それぞれ2つの水槽に展示されていますが、この水槽の画面上の大きさが異なります。右側の水槽のガラス部分は高さが最低でも約88cmですが、左側の水槽のガラス部分は最低でも約172cmあり、約1.95倍と2倍近く違いがあります。本記事では高さの推測に、「カメラで撮影したと考えた時、かなり焦点距離の大きいレンズを使っているので遠近法の影響を無視できる」と仮定して算出しています。ただこの条件は不自然なので本記事の身長より石像が大きいことは自明でしょう。この条件が崩れると推測が複雑になるのですが、水槽の大きさの違いはその条件を壊しかねない事実です。
 2つの水槽が部屋で左右対称に設置されていて、大きさが同じだと仮定すると、左の水槽がよりボッカに近く、それと比較すると右の水槽はボッカから遠い、となります。
 左の水槽に先程の条件を当てはめ、右の水槽はその約1.95倍に見えるので、石像3の大きさを盛り床も含めて計算し直すと、盛り床なしでは約318.60cm、盛り床ありにしても約279.01cmと巨大すぎになってしまいます。
 このため、「そもそも左右の水槽が異なる」、という少し不自然な仮定で推測を進めています。しかし、第3話に左の水槽が到底172cmの大きさに見えない、というカットも存在し(ボッカを正面から写した背景に入り口が見えるカット)、さらなる研究が待たれます。

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