【国際親善試合】日本対ウルグアイ【国立競技場】
第二次森保ジャパンの初陣の相手は南米の古豪ウルグアイ。結果は1ー1のドロー。
【得点者】
38分 フェデリコ・バルベルデ
75分 西村拓真
システムは前日会見の公言通り4ー2ー3ー1
GKはシュミット・ダニエル
最終ラインは右から菅原由勢、板倉滉、瀬古歩夢、伊藤洋輝
ダブルボランチは遠藤航と守田英正
二列目は右から堂安律、鎌田大地、三笘薫
ワントップには浅野拓磨を配置した
まず、ピッチコンディショニングが雨が降りしきってベストからは程遠かったのが憎かった。
ボールを持って試したいことがあると、W杯後は監督も選手も似たようなことを言い続けていたし。雨粒が落ちてしまうと、どうしても普段以上にボールコントロールが難しくなるだけでなく視野も確保しづらい。途中でボールが止まらないか、ロングボールを蹴ってもいつも以上に伸びていってしまわないか、余計な神経を使うとともに、何よりピッチ状態が悪いと試合中に筋肉系の怪我のリスクも高まる。
経験の浅いメンバーで古豪ウルグアイと戦うという挑戦的なシチュエーションのなかで、もっと整ったピッチコンディションで試合を見たい、サッカーをさせてあげたいという残念な気持ちがあった
「初っ端からツイてないなあ」
28日のコロンビア戦はもう少しポゼッションサッカーを試すのに最適なピッチであってほしい。
そんななか、経験の浅いメンバーがほとんどながらもウルグアイに対してよく戦っていたと思う。
この試合に関しては主に三つの楽しみを持って見た
【主体的にボールを握って挑む戦い】
この試合で56%の保持率を90分通して残したらしい。良し悪しは別として、森保体制になってからは、よほどの格下でない限り、50%を5%以上上回るボール保持率は残していなかったから、新鮮な感覚を持った。
最終ラインから、或いはボランチからもっと中央で縦パスを入れる回数が多ければ良かったけれど、そういうシーンは少なかった。トップ下の鎌田や中に切り込んだ堂安にもっと縦パスを付けて欲しかったけれど、相手を潰す、相手の好きにやらせない術に長けているウルグアイに簡単に許してもらえるはずはなくて、気合いも工夫も勇気も足りなかった。久保がトップ下ならファウル貰ったりして削られながら、ポゼッションを前進させてくれたんじゃないかな。
縦パスがつけれないと左サイドの三笘に良い位置、有利なシチュエーションでドリブルを仕掛けさせることはほとんど不可能だろうし
では、日本の試みが全然ダメだったかというとそういうこともない。
試合開始から両サイドバックの伊藤菅原がインナーラップして開いたスペースにボランチの片方が降りてきたり、堂安と菅原が内外を不規則に動くことにより、ボールを前進させていこうとする姿は過去の試合でなかなか見られなかったから、とりあえず変わっていきたい、進化していきたいんだな、という気持ちは伝わってきて好感が持てた。
【ビルドアップ①②③】
片方のサイドバックが絞ったら、逆サイドのサイドバックはセンターバック化してカウンター対策するのが定石だと思うけれど、この試合は伊藤と菅原の両方が中に絞って中盤化するシーンが多くて元々の中盤の遠藤や守田が被らないように、ポジショニングの交通整理に戸惑っていた印象はある。そのゴチャゴチャ感がまた初々しさがあり面白かったけれど
伊藤も元々中盤の選手だったとはいえ、サイドバックからボランチ化するロールはセルティックの旗手のほうが何となく器用にこなしそうだ。ポゼッション向きのFWとはいえない浅野の先発起用といい、守備力を考慮したか、キメラのような中途半端さを残した選手起用は保守的な森保監督らしい采配だった。
伊東純也が投入された前後から、何となくウルグアイのMFとDFの間の空間が延びはじめ、西村拓真の同点シーンに繋がったと思う。
森保ジャパンはとにかく先制されたら勝てない。逆転どころか追いつくことすらままならない。こういう展開を嫌というほど見せられてきたから、序盤からボールを持つ性向を高めていたことでタフなウルグアイ守備陣にも多少の綻びを生むことが出来たかな。とポジティブな印象を残してくれたのは収穫だった。
【経験の浅い選手の奮闘】
・菅原由勢(87分までプレー)
これで代表2キャップ目。過去2シーズンのヨーロッパでの活躍を踏まえれば、もっと経験を積んでおかないといけない選手だったが、招集の前後で怪我をしてしまったりして、アピールが出来なかった。W杯前の大事な6月シリーズでも途中離脱してしまったり。だが、新しいサイクルの初陣では順当にスタメン起用されて攻守に置いて素晴らしい働きを見せてくれた。
エールディビジの強豪AZの右サイドバックのレギュラーとして、公式戦35試合に出場、4ゴール9アシストの実績を残した攻撃力は余り心配していなかったが、守備でも内田篤人ばりのスライディングでピンチを摘んだり、安定感のある選手だな、と思った。最終ラインではディフェンスリーダーの板倉滉に次いで安心感があった。剽軽なキャラクターも相まって、長友佑都以後のムードメーカーとして、代表のロッカールームも盛り上げてくれそうだ。右サイドバックは橋岡や半田、いずれも特徴の違う若い実力者が揃っている。森保監督も試合毎に誰を起用するか頭を悩ませるポジションになって欲しい
・瀬古歩夢(フル出場)
日本代表には何度か招集されていたが、吉田麻也、冨安健洋、板倉滉、谷口彰悟の厚い壁に弾かれて、(伊藤洋輝もセンターバックでプレーしていたし)なかなかデビューする機会が得られず、ベンチを温めたり、スタンドから観戦する試合が多かった。瀬古の実力を考えたら不当な扱いに思えたし、腐ってしまわないか心配にもなったが、ようやく掴んだデビュー戦で及第点以上のプレーを見せてくれた。ボール保持でのミスもほとんど無く、空中戦も地上戦も相手に負ける場面はなかったし、後半に集中力が切れてポカする気配もなかった。
ただし、三笘薫や伊東純也の、現日本代表の両サイドのアタッカーを活かすのであれば、左右のセンターバックからのフィード力、配給力は戦術の肝になってくる。ブライトンのルイス・ダンクのように三笘の裏抜けに合わせてスルーパスを出せるパス精度を備えてくれれば日本代表の武器になる。デビュー戦は無難な印象も残ったので、持ち前の左右両足のキックでチャンスの起点になって欲しい
【三笘薫は新生日本代表の中心に君臨しそうか】
これまでは、やや吉田麻也や長友佑都ら、ベテラン選手の影に隠れがちだった三笘薫が初日の公開練習のランニングから遠藤航と並んで先頭を走っている姿は頼もしかった。自分が新チームの中心としてやっていくという過信のない自覚と自信が感じられる。三笘には代表に招集されたら全ての試合でスタメンで出場して、得点かアシストを残すような選手になって欲しい。前線の選手だが、スタメンから外されない選手になってほしい。それだけの重責を任せられるほどの実績とプレーをブライトンで残しているのだから、監督からシードされる権利はあるだろう。三笘がそれに応えてくれるかだけが不安だったが心配は無さそうで安心した。三笘が出るなら代表の試合を見る。そういうサッカーファンも多いだろう。過去四年間はそういう選手が前線に伊東純也しかいなかったのは恥ずべきことだと思う
プレーに関して言えば、観客を沸かせるプレーが2、3あったが、全体的には消化不良だろう。そもそも三笘がハーフウェーラインまで降りてきてボールを受けにおりてくるのはエネルギーを消費するだけで勿体無い。日本代表は三笘薫を軸として攻撃を構築していくべきだし、三笘は相手PA陣付近でドリブルを仕掛けてこそ輝く選手なのだから、日本代表はそのアドバンテージを囮に使って逆サイドをフリーにさせる、ところまで視野に含めて攻撃を作っていくべきじゃないかな。コロンビア戦は久保建英も帰ってくるだろうから、三笘と久保の連携でどのような化学反応が生まれるか楽しみだ。
【その他雑念】
・権田も吉田も長友も酒井も不在による弱体化を感じさせなかった。このまま世代交代を進めていってほしい
・鎌田はW杯明けからずっとボヤけた印象。あと、ゴールキーパーにパスするだけのアイディア無しのコーナーキックは蹴らないでほしい
・堂安には三笘や伊東にあるスピードが無いから、やはり最後のフィニッシュの点で物足りない印象が残る。自分はスーパーサブとして堂安を使うのが、彼の勝負強さが活きて良いと思うけど。堂安が納得するわけないだろうし。ウルグアイ戦みたいに久保不在なら鎌田をボランチに下げて堂安のトップ下起用もアリだと思った
・浅野にはもうこれ以上の伸び代を感じない。現在の浅野をスタメン起用しているようでは日本は次のステップには行けまい。森保監督はいい加減学習するべきだ。浅野をスタメンでテストするのは時間の無駄だと。この二連戦は上田絢世又は町野修斗のどちらかがスタメンで浅野のスタメンはないと思ってたからスタメンを見た時、残念だった。浅野を後半やリード時の逃げ切り要員として使うならまだ納得出来るし、そのために古橋を呼ばなかったんだと思ってたんだけど
・板倉滉は完全に吉田麻也の後継者にというのが森保監督の抱く構想だろうから、コロンビア戦はどうせなら勲章巻いて欲しいな
・シュミットはやっぱハイボール処理をウルグアイ相手でも安心して見れるから良い。反面、足元の技術はキックミスもあって意外と不安定だったけれど。カタールでサブだったシュミットが初陣でゴールマウス守ってるのは感慨深い。まあ、同じことをずっと川島のサブだった権田がスタメンに使われたときにも感じたが。コロンビア戦は谷晃生がゴールマウスを守りそうだから、これも楽しみ
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