東京クロノスという革命をまだ知らないかつてのゲーマー達へ
記事を開いていただき、ありがとうございます。
フリーランスエンジニアのベナオと申します。最近はPythonを中心にTwitterで情報発信したり、エンジニア志望の方の相談を受けたり、赤坂のバーで月一でエンジニア交流会を開いたりしています。
というわけで、今回のお話はVRゲーム業界で今起きている革命についてです。
この記事を読み終わった後にあなたが東京クロノスとOculusGoを購入していなかったら、それはおそらく僕の語彙力が足りないということです。その時は私はライティングについて一から勉強し直すことになると思います。
1. 僕らの夢見たVRの未来は未来ではなくなりかけている
ソード・アート・オンラインというアニメ作品をご存知でしょうか? VRオンラインゲームの中に大勢の人々が閉じ込められ、その中で脱出に奮闘する主人公達を描いた近未来SF系のストーリーで、元は個人のWebサイトに掲載されたネット小説ですが、アニメシリーズが三期続いて2017年に劇場版も作成され、全世界興行収入43億円突破、その内中国で8.6億円。全世界累計動員数292万人突破しました。
その原作小説の第1巻が刊行されたのは2009年だったにも関わらず、VRが日常に浸透した世界をあたかもタイムスリップして見て来たかのようなリアルさで描き切った本作ですが、その世界観に時代が追いつこうとしています。
それまで私はVRの着実な進歩をTwitterで見てはいながらも、何かこのソフトを遊ぶ為にVRゴーグルが欲しい! というようなVRの代名詞のようなタイトルが無いなと感じていました。
しかし東京クロノスが発売され、ハイスペックPCに繋ぐ必要のない安価なOculusGoに対応したことでVRに手を出さない言い訳が跡形もなく破壊され、気付けばアマゾンのボタンが押されていたのです。
私はそれが届くまでの間、子供の頃に新作ゲームハードを待ち望んでいた気分を思い出していました。あの他にも何も手につかなるような、誰もが覚えのあるやつです。
2. 東京クロノスというもう一つの世界の中で
SAO(ソード・アート・オンライン)の世界をずっと夢見てきた私の過度に増長された期待に、東京クロノスのクリエイターは十分すぎるほどに答えてくれました。
舞台は渋谷。VRゴーグルをかけたその瞬間から、私は誰もが一度は目にしたあのスクランブル交差点の中心に立っていました。確かにそこに立っていたのです。さっきまで部屋の中にいたはずなのに。
そして顔を右に向ければそれに合わせて風景が変化し、上方を見上げれば空が見渡せる。そんな現実と何一つ変わらない感覚を私にもたらすのでした。
その間だけは現実世界の私の散らかった部屋も、回復の兆しのない日本経済も、うまく行くかわからないブログ業の不安をも忘れることができました。そんな感覚は生まれて初めてでした。
主人公達はある日、誰もいない渋谷に突如として置き去りにされ、幽閉されてしまいます。8人の幼馴染でもある高校生の男女は戸惑いながらも、クロノス世界と呼ばれるその見慣れたはずの異質な空間の謎を解き明かし、現実世界への帰還を目指すというミステリーアドベンチャーです。
これから購入する可能性のある読者さんのために、ここでは詳細は省くことにします。でもストーリーのネタバレありで深く語りたい気持ちも抑えがたいのでそれはそれで別記事で書くかもしれません笑
物語は8人の視点を行ったり来たりしながら複雑に絡み合い、いくつかの分岐や条件を満たすことでトゥルーエンドに進むことができます。世界観は非常にダークで、最初は明るかった彼らは徐々に牙を剝くクロノス世界の前に平静を失っていきます。
このゲームを通して私たちは、人間の普段なら目を背けたくなるような負の側面について、例え背けても逃れられないVRゴーグルによって直視させられることになります。ゴーグルを外せば簡単にそこから逃れられるけれど、それでも一度そのゲームをプレイした人は、その世界の真実を知らないままではいられなくなります。
3. VRの最大の敵
そしてそんな奇跡のようなゲームがなぜ生まれたのか、なぜ今まで生まれなかったのかという話もここでしておきたいと思います。
今までこのような革命的なゲームが生まれなかった理由は大きく二つあると思います。
・スマートフォンという最強のゲームハードの存在
新しいゲームソフトを作るときの最初の選択は、実際にどのハードにインストールして遊んでもらうかですよね。ハードによってボタンの位置だったりCPUの性能だったり最適なゲームシステムが変わってきます。
そしてそのハードが広く普及しているに越したことはありません。一からハードを作ってそれに合うゲームを作ってハードを売ってソフトを売ってとするより、みんなが持ってるニンテンドースイッチのソフトを作って売る方が簡単なわけです。
そうです。スマートフォンより普及しているゲームハードはありません。スマホゲームに予算がつきやすく注目も集まりやすい昨今の市場では、これを上回って予算を集めたり市場を奪うことがとても困難です。
ましてや、日本で普及していない全く新しいハードの為のソフトを作ることのリスクは計り知れません。
よって革命的なゲームハードとソフトを作ることは困難でした。
・TVモニターの中でできることはもうやり尽くした
一箇所に固定されたモニター画面で表現できることは、既に大方やり尽くされています。画質やゲームシステム、シナリオ等で差別化しなければならないわけですが、もう既視感の無い新作ゲームを随分と見ていません(これは私が大人だからかもしれませんが)。
これを脱却するには、上で書いたような全く新しいゲーム体験を与えてくれる新たなゲームハードの登場が必要となるわけですが、それが困難な理由は既に書きました。
4. 新たなる世界の誕生を望んだ人たち
ならばなぜ、VR東京クロノスはこの世に生まれることができたのか。
それは、その誕生を望んだ人たちの願いが形になったのです。
クラウドファンディングというサービスをご存知でしょうか? 最近だとキングコングの西野さんが有名ですが、一般の方から事業資金を募れるサービスです。
一口の加入代金は少額から自由に決めることができ、それに対するリターンも自由に決められます。
これが全ての始まりでした。
東京クロノス製作陣はこれに目をつけ、資金調達することにしました。少額から支援を受け付け、リターンとして支援者の名前をゲームのエンドクレジットに載せることにしたのです。
そしてツイートの通り、東京クロノスの製作資金は1800万円集まりました。当初の目標金額は1000万円だったそうです。
全く新しい形のゲームを望む人は確かにいたのです。その人たちの気持ちをすくい集めて、一つにしたのがこの東京クロノスだったのです。
私はゲームそのものを超えて、それが生まれた理由を知ってよりこのゲームが好きになりました。
既存のルールに縛られ続け、既視感から解放されることはないと思っていたこの世界で。
まだここに無い全く新しいものを見るためにお金を払える人が、世界にこれだけいるのだという事実に勇気付けられました。
5, 現実世界に戻ってきたこれからの私
東京クロノスを遊び終えてゴーグルを外した私には、普段通りの日常が戻ってきました。
けれどOculusGoを被る前とは何かが違っています。心のどこかが満たされ、そしてこの革命を誰かに伝えなければならないと思いました。
私はそんな思いでキーボードを叩いています。
少しは伝わったでしょうか?
もしかつてのゲーマーだったあなたが、変わり映えのしない日常に絶望しているのなら、有給でも取ってこのゲームを遊んでみてください。
きっと前向きな気持ちを取り戻せると思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました! 読んだけどVR買う気にならねえぞっていう方は申し訳ありません@benao_blogこちらのTwitterまでクレームをお寄せください。
もちろんお褒めの言葉もお待ちしております! 喜んですぐ次の記事書きます!
それでは!