2023年春アニメ 超個人的ランキングTop5 【第13号】
【約6000文字】
リアルでイベントが重なって1ヶ月ぶりの更新となります。べなおです。
月刊アニメ語りnoteに改名するかどうか真剣に悩んでいましたが、そうなると自分の性格を考えた時に更新頻度の更なる低下につながりそうだったので、しばらくこのままにさせてください。
社会人が毎週20分のアニメを何本も継続視聴しながら毎週投稿のための執筆時間を確保することの難しさを語ろうとすれば、それだけで記事一本分書けてしまいそうな気がします(ただの言い訳ですね)。好きなことを趣味にし続けられている人はそれだけで尊敬ですね。
というわけで今回は、最近更新していなかった分を取り戻すべく、今までやってきた企画の中で一番書くためのエネルギーを必要とすることでお馴染みのアニメランキングまとめ記事をお届けします。
春アニメも最終回ラッシュを迎えているので丁度良いですね。
もちろん個人的な偏見に満ちた独裁的なランキングですし、視聴しきれていない作品の方が多いのが正直なところです。今期に配信されている全てのアニメ作品を全話視聴していると、自分の影分身が少なくともあと4、5体は必要になるためです。
「あの作品が入ってないなんてお前は分かってない!!」のような意見があるのは当然でしょう。その場合はコメント欄でぜひ教えてください。
前置きが長くなったのでそろそろ本編にGO!
第5位 女神のカフェテラス
週刊少年マガジンに連載中の女神のカフェテラスが第5位にランクイン。原作の作者は、過去にラブコメ漫画をマガジンで6作品連載し、そのうち4作品をアニメ化させたというラブコメ界の神様こと瀬尾公治先生です。
それもあってか、このコンプライアンスの厳しく、少し尖った表現をするだけであっという間にTwitterで炎上してしまう現代のアニメ業界では中々見ないような色々とぶっちゃけたアニメです。一言で言うとハーレム物です。
作品の雰囲気は公式のオープニング動画を観てみてね。
この作品をただ語るだけだと、「お前は一夫多妻制のステマでもしてるの?」とか「女の敵なの?」といったような言葉の矢が飛んできそうなので、少し言い訳させてください。この作品は第一印象では男の願望100%で構成された、少年誌の客寄せパンダ的なアニメに見えるかもしれませんが、実は私たちにとっての学びになる要素も多く混ぜ込まれている実用的な作品でもあるのです。
この作品は僕のnoteでは初登場なので簡単にストーリー設定を語ると、主人公の粕壁 隼(かすかべ はやと)が亡き祖母から受け継いだ潰れかけの喫茶店を復活させるために従業員の女の子たちと奮闘するという内容になります。意外と内容は真面目なんですよこれ。
週刊少年誌で人の死を描くことは、さまざまな事情から今では非常に難しくなってしまいました。しかし現実に避けては通れない問題を無かったことにして描かれた作品ばかりが増えすぎることは、アニメ文化の広まった現代では生死の問題が日常から過度に忘却されてしまいかねないという懸念があると思っています。
こういったアニメを作れる作家さんやアニメーターさんはもう少し評価されても良いのかな? と個人的には思います。
もちろんこの作品には、分かりやすいフェティシズムや性的な表現が多く盛り込まれています。視聴者層の性比率は大きく偏っているかもしれません。しかし僕も女性の心理を知りたいという思いでBTSについて調べて記事を書いたこともありますし、思い込みで自分自身がターゲット外であろう作品を選択肢から完全に排除することもないのかなと個人的には思っています。
アニメは人の願望を映し出す鏡、なのかもしれませんね。
言い訳終わりです。何も考えなくても見られる癒しアニメです。主に男性の願望を満たしてくれることは保証します。従業員5人が全員美少女で自分のことが好きとか最高に決まってるだろ。
第4位 トニカクカワイイ
第4位はまたもや週刊少年誌の週刊少年サンデー発、トニカクカワイイがランクインです。こちらもサンデーで過去に複数のラブコメ漫画を連載&アニメ化させている畑健二郎先生が原作の作品です。
以下ネタバレありです。一応取り消し線引きます。
一言でこの作品を伝えるなら、「いちゃラブ夫婦生活ラブコメだと思ったら妻が不老不死の人外でした」です。何を言っているのか分からないと思いますが、本当にそうです。
この原作者の過去作品であるハヤテのごとくでも見られた作り方なのですが、どこにでも広がっていそうなあるあるな日常を時間をかけて描いた後、突然ちりばめられた伏線が回収されてストーリーの盛大なちゃぶ台返しが起こってジャンルそのものを変えてしまうという物語の作り方をするのです。
有名な作品の中で上のような作り方をしている作品を挙げるとすると、魔法少女まどか☆マギカ辺りになるでしょうか。今期の推しの子でもそういう要素がありますね。
幸せそうにいちゃつく夫婦の織りなすラブコメを目当てにやってきた読者を一気に、想像外の異次元へと連れ去っていきます。人は選ぶかもしれませんが、僕はとても好きです。
主人公(由崎 星空:CV. 榎木淳弥)も今時のITエンジニアのリモートワーカーという設定なので、理系の方には特に共感が得られそうです。とはいえ難しい専門用語が入ってくることはほぼないので文系の方でも十分楽しめます。竹取物語の要素が入っているので、古典が好きな人にもおすすめです。
ヒロイン(由崎 司:CV. 鬼頭明里)についての説明を全くしなくても可愛さが伝わることの凄さがお分かりいただけると思います。それにしてもこのタイトル、内容への期待のハードルを自分から上げに行ってる感がすごいですが、さすがは週刊連載で20年近く生き残っている作家のメンタルは違いますね。僕も見習いたいです(ならもっと更新頻度げろ)。
第3位 僕の心のヤバいやつ
このアカウントでも過去に解説したことがある僕ヤバが第3位にランクインです。上位3位からはTwitterの公式アカウントの紹介もしておこうと思います。
https://twitter.com/boku__yaba
初めて見たという方は、以下のnoteでストーリー概要を語ってますので合わせてお楽しみください。
大昔から存在する王道の学園ラブコメという枠組みを使っていながら、ここまでの話題性を生み出した作品は他にないという点を評価して第3位にランクインです。
物語の作り方に特色は無いように見えるかもしれませんが、そのことは、それを補って余りある魅力的なキャラクターの存在を裏付けていると言えます。この手の日常漫画で人気が伸びなくて消えていく作品なんて数えればキリがないわけですからね。
今までの作品に少なかったような特徴を一つ取り上げるなら、この作品は男女問わず広い視聴層を獲得することに成功しているという点があります(Twitterのタイムラインを眺めていても、女性の視聴者を何人か観測済みです)。この手の学園物ではしばしば、男性受けする方向に過度に誇張された女性キャラクター像ばかりが強調され、リアルな女子同士のやりとりまでは描かれないことが多いです。
しかし本作では主人公(市川 京太郎:CV. 堀江瞬)を取り巻くクラスの男子グループでの昼休みの雑談パートが描かれたかと思えば、ヒロイン(山田杏奈:CV. 羊宮妃那)が女子メンバー同士だけで恋バナをしたりする描写がメインになる回があったり、細部を観察してみると複雑に構成が練り込まれていることがわかります。
既存の作品を眺めていると、少年漫画と少女漫画が明確に区別されてきた時代が長かった気がします。性別の垣根を超えて一緒に楽しめる作品が増えてきたのは良いことですね。
祝、TVアニメ二期制作決定! おめでとうございます!!
第2位 機動戦士ガンダム 彗星の魔女
このランキング記事を書くためにここまで時間がかかった元凶がこの作品です。本当はこれだけで記事一本書けそうです(褒めてます)。
アニメ本編に大量に出てくる固有名詞の説明がほとんどと言っていいほどありません(ディスってません)。なのでこの記事を書くために公式HPと、我らがWikipedia先生の力をお借りしています。
設定の膨大さがどの程度か、各作品のWikipediaのページ文字数で比較するとわかりやすいです。
・水星の魔女:92227文字
・僕ヤバ:16284文字
・トニカクカワイイ:24477文字
Wikiは恐らく熱心な作品ファンが編集しているのだと思いますが、一体どこからそんなエネルギーが湧いてくるのでしょうか(正直分けてほしい)。
基本設定や製作陣については過去のnoteをご覧ください。
ガンダムのTVシリーズは1979年から続いていますが本作で最も特筆すべき点は、初の女性が主人公であることでしょう。水星育ちのスレッタ・マーキュリー(画像左:CV.市ノ瀬加那)が本作の主人公です。彼女がミオリネ・レンブランド(画像右:CV. Lynn)の窮地を救うことで親しい関係となり、共にガンダムが戦争の道具として利用される世界を終わらせるという理想を掲げて闘争の中に身を投げ出していきます。
こんなに優しく笑う女の子が、下のような激戦を繰り広げます。
ここまでネタバレに気を遣う作品も他にありませんが(熱心な作品ファンからの無言の圧を感じる)、その中でこの作品の魅力を語ろうとするならそれは「戦争という生々しいテーマを身近な問題として考えさせてくれる作品である」という表現になるでしょう。
作中ではまるで戦時中の日本のように、若い学生たちがモビルスーツ同士の争いに巻き込まれていき、何人ものキャラクターが命を落としていきます。そしてその闘争の引き金を引くのは、総じて権力を持った大人です(どこかで見たような話です)。
スペーシアンと呼ばれる宇宙移民者と、アーシアンと呼ばれる地球居住者との対立が様々な争いを引き起こしていくという設定になっていて(現実でも宇宙に行けるようになったら実際に起こるんだろうな)、そこに宇宙や軍事産業を巡った大企業同士の競争も絡んでくるという、現実社会の問題の写し鏡のような作品と言える内容になっています。
昨今のTVアニメではキャラクターグッズの売り上げが重要視されている中で、そのようなビジネスモデルと相性の悪い「キャラが死ぬ話」を作ることは様々な葛藤があるかと想像します。しかし個人的には「世界のどこかで今も人が死んでいる」ということを思い出させてくれる作品は、いつまでも印象に残っているものが多いと感じています。
話が重たくなってきたので、ファンアート紹介のコーナーで一旦締めたいと思います。配信が終わってもファンアートが出続ける作品はいつまでも楽しめるので好き。
第1位 【推しの子】
まあこのnoteのサムネに出してるのでみなさんお気づきだったかと思います。でも今期は正直、この作品を推すしかないということで反論は出ないでしょう。第一位は推しの子です。
配信開始前の注目度、音楽の完成度、ストーリーの中に混ぜ込まれた数々の仕掛け、誰かに語りたくなるような重層的な厚みを持った作品に仕上がっています。
既存にあるようなアイドル物だと思って入ってきた読者・視聴者を良い意味で裏切り、そこに現代のSNS社会が生み出している光と闇を描き出すことに成功している作品と言えるでしょう。
ストーリー概要は以下のnoteで書いてます。
今回取り上げたいのはアニメ第5話〜8話までで描かれている恋愛リアリティーショー編についてです。アイドルとは直接関係の無いように思えるこのテーマが持ち込まれたということに注目すると、原作者がこの作品で仕込みたかった企みが見えてくるような気がします。
この話は主人公の星野 愛久愛海(ほしの あくあまりん:CV. 大塚剛央:画像下段左から2番目:芸名 星野アクア)が役者として活動する中でタレントとして恋愛リアリティーショーに出演する、という内容です。
女優、ユーチューバー、ファッションモデル、アーティストと個性派揃いのメンバー達と共に疑似恋愛を繰り広げていくという展開です。
そこで女優の黒川 あかね(くろかわ あかね:CV. 石見舞菜香:画像ではアクアの右隣)が番組で中々目立てないことに悩み、視聴者に自分を印象付けるためかもう1人の女子と言い争いに持ち込む中で相手の顔を傷つけてしまうというアクシデントが起こってしまいます。
これによってSNSで大炎上が引き起こされます。恋愛リアリティーショーとSNSの相性の良さが裏目に出ることが、ネガティブな方向に被害を加速させてしまいかねないという教訓を思い出させてくれる内容となっています。
傷つけられた少女はあかねのことを許しますが、SNSの炎上は止まりません。もともと思い詰めやすい性格の彼女は自分を深く責め、歩道橋から身を投げようとします。そこでこのイケメン、アクアが登場。
現実では、ここで助けが来ずに悲しい結果となってしまった事件があることは皆さんご存知だと思います。人によってはトラウマになっているかもしれないことを、大衆娯楽でテーマとして扱うこともまた勇気のいる行為だったと私は想像します。けれどこういう救いのある終わり方にしてくれたことで、少しだけ悲しい記憶の整理がついたような気がします。原作者の方がどのような意図でこの話を作ったのかは知る由もありませんが、アニメが人々の心に希望的な教訓を与えてくれるということを強く裏付ける例であるということは、声を大にして言いたいと思います。
最後に一言、アニメ第二期制作決定おめでとうございます!!
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