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【オリジナル小説】VTuber探偵ミコが行く! 第19話
下のお話の続きです。途中からでも大体読めます。
お好みでBGMをかけながらどうぞ(PCなら聴きながら読めます)。
登場人物
※画像のみ生成AI使用。文章は人力です。
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速水小石(はやみこいし)
女子高生VTuber。主人公の後輩で、過去に引きこもりだったところを助けられてから配信者のマネージャーの仕事をしてもらう関係。副業で探偵をしている。
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氷室稲置(ひむろいなぎ)
ミコ(小石)のマネージャーだったが無職になったがめでたく再就職した。19歳。高校時代は生徒会長をしていた。料理がそこそこできる。変人をなぜか吸い寄せてしまう人生を送っている。
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シュレディンガー・ルナティックソルト・セレナーデ
正体不明のネット歌姫。
第19話:終わりゆく夜空色の序曲
場面は引き続き港区のタワマンの一室。騒がしい絵師と執事は去っていた。
「皿さんってあんな性格だったのか? 良く仕事頼んでた絵師さんがいたのは知ってるが、チャットだと普通だったぞ」
「仕事でやばいことなんて言うわけないでしょ。皿ちゃんは最初からあんな感じよ。この前一緒に池袋のアニメイト行った」
「あのやたら階数が高い店か? 体力がつきそうだな」
「エレベーターあるでしょ。てかそもそもの話なんだけど、ノエルちゃんの配信乗っ取りはほんとに犯人がやったの? 人を殺した後にそんなことする暇なんてあるのかなあ? そもそも目的は何? 第一発見者を驚かしたかったとか?」
「俺は少なくとも驚いたけどな。まあ配信っていっても録画だったのかもしれないし、第一発見者の動揺を誘って逃げる時間を稼いだりとか、色々あるんじゃねえか? とにかく全くの無関係な人間がやってるとは思えない」
「わかりました。とにかくそれはこっちで調べるとして、配信で犯人に呼びかける準備もしないといけないのかあ。チャンネルの数字は稼げるかもしれないけど、その後SNSが荒れそうね。まあ仕方ないけど」
「すまないな。全部終わったら北海道に蟹でも食いに行こう」
「それで手を打ちますか~。それで淡野さんは?」
いつの間にか姿を消していた淡野のことを聞いてくる。
「道場に帰って準備してくるってよ。竹刀でも持ってくるんじゃねえか? でも港区のタワマンならセキュリティは完璧だから、用事で外に出るときについてくるくらいで良いと思うけどな」
「引きこもってるだけだから大丈夫だと思うけど。稲置君の方を守ってもらえば?」
「誰かさんのせいで全国に顔割れてるからな。誰かさんのせいで」
全国指名手配。登録者数300万。マネージャー冤罪。
「しつこい男はモテないわよ? 北海道旅行は奢ってあげるからもう忘れなさいよ」
「それもこれも、この案件が無事に済んでから言い合うとしよう」
「そねー。……あ、ソルトちゃんの配信始まった」
小石の配信部屋の27インチモニターから、月が夜空から降ってきたかのような神聖な白銀色の輝きと共に、この瞬間だけイギリスのオペラとこの部屋が繋がったかのような高音域の広い歌声が二人の全身を包み込んだ。良いスピーカーを置いている。
「シュレーディンガー・ルナティックソルト・セレナーデ、ね。正体不明のネット歌姫か。こんな日に配信が被るとは。これを利用するなら、この配信が終わった直後に始めるのがいいかな」
「なら準備をはやくしないとね。ご飯作ってよ」
「任されよう。今日は特別にハンバーガーにしてやる」
「やったあ」
運命は万事を尽くす者の頭上にしか降ってこない。寝て待つ者に降ってくるのはぼた餅くらいのものだろう。