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【オリジナル小説】VTuber探偵ミコが行く! 第16話

↓のお話の続きです。途中からでも大体読めます。

お好みでBGMをかけながらどうぞ(PCなら聴きながら読めます)。


※画像のみAI使用。文章は人力です。

登場人物

速水小石(はやみこいし。ハンドルネーム:ミコ)

女子高生VTuber。主人公の後輩で、過去に引きこもりだったところを助けられてから配信者のマネージャーの仕事をしてもらう関係。副業で探偵をしている。今回はようやく重要なポジションに。


氷室稲置(ひむろいなぎ)

ミコ(小石)のマネージャーだったが無職になったがめでたく再就職した。19歳。高校時代は生徒会長をしていた。料理がそこそこできる。変人をなぜか吸い寄せてしまう人生を送っている。殺人事件の捜査を開始した。


淡野瑞希(あわのみずき)

主人公の後輩の女子高生。剣道有段者。眼鏡が似合うショートカット。大阪出身で関西弁。稲置の懐刀(ふところがたな)。好きな食べ物はたこ焼き。たこ以外の具は認めないらしい。


第十六話:闇を打ち抜け小石砲

「というわけで聴いてたな、小石。お前の発信力が頼りの作戦だ」

「……昨日の今日で色々ありすぎなのよ。稲置くん、あなた呪われてるんじゃない?」

「それは今に始まったことやないやろ、小石ちゃん。時間がないんや。小石ちゃんの身の安全はあたしが保証したる。あたしの剣道の腕は知っとるやろ?
 戦闘の素人なんて相手にもならんわ」

「それは、信じてるけどね」

稲置のスマホの中で顔を出して喋る小石の顔は、既に冷静だ。池袋駅前、傍でナンパ目的のちゃらい兄ちゃんがこちらを伺っているのをけん制しながら、三人は話を続ける。

殺人事件の犯人をあぶり出すための、VTuberミコこと速水小石による、小石砲の出番だ。登録者数300万人のチャンネルで脅しをかければ、どんな人間でも焦るはず。そこを警察が捕まえるのならそれも良しだ。

「それにしてもノエルちゃんが、そんなことになるなんて。桜音ちゃんは大丈夫だった?」

「……大丈夫では、ないだろうな。今は警察病院でカウンセリングを受けてる。PTSDがどうとか言ってたな。今はカウンセラーに任せて、とにかく犯人を捕まえないといけない」

「そうよね」

犯人が捕まらない限り、被害者の心が真に癒されることはない。

「それにしても、犯人は今頃何してんのやろな。もう池袋から出てしまったんやろか」

「もしそうなら急に消えた人間を探せばいいことになるな。意外と自宅から動かない犯人も多いみたいだし、今は食べ物もネットで買えるからな。捜査は長引くかも……」

「氷室さん、この間はどうも。池袋署の青島です」

目の前に、先日見知った顔が現れた。

「青島……刑事?」

「覚えていてもらってどうも。それで先日の件で、少し氷室さんにお話を伺いたいと思いましてな。SNSをみていたらどうやらこの辺りにいると分かったので、寄ってみたら会えました」

「そうですか。いいですよ」

「ではそこのパトカーまで、いいですか?」

「……はい」

「あたしも一緒でええですか?」

「いいでしょう。でも楽しい話ではないですよ?」

「分かってます」

VTuberの専門的な話について後で聞かれるかもしれない、ということをさっきまで忘れていた。今回の事件には間違いなくこのことが絡んでいるだろう。しかし、稲置にもほとんどわかっていることはないに等しい。

「ではこちらへ」

稲置と淡野は青島刑事についていくのだった。


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