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【オリジナル小説】VTuber探偵ミコが行く! 第15話

※サムネだけAI

↓の続きのお話です。途中からでも大体読めます。


第十五話:空中戦

「結局決定的なタレコミは無かったな。一応一人目のフォロワーが言ってた経営者風の男は気を付けるとして、あとはただの不審者がほとんどか。さすが池袋だ」

「言ってる場合やないよ。このままやと日が暮れる。流石に素人二人で深夜うろつくのはあかん。探してる相手が相手やしな」

「そうだな。最後の一件行ったらラーメンでも食って帰るか。池袋なら無敵〇とかな」

「ええけど、そこめっちゃ並ぶやん。先輩と一緒やったらええけどな」

二人は池袋サンシャインシティを歩いていた。男女のカップルや家族連れが多く見える。訪れかけている夏の陽気から、薄着の人も目立つようになってきた。あまり見すぎても迷惑なので視線を淡野に戻す。

「剣道部の練習を考えたら捜査に使える日はあたしはあと2,3日ってとこやな。困ったらあたしんちの道場から腕の立つ若いもんを行かせるで」

彼女、淡野瑞希の家は剣道の道場である。

「悪いな。なるべくそれまでに片づけることを考えよう。今夜、小石砲を使う」

「……ついにあれが放たれるんか。こないだのはえげつなかったなあ」

「小石砲を直撃したおれがいうんだから間違いない。効果は抜群だろう」

しかも完全に逆恨みでだ。平常心を保っている自分が逆に怖い。

「でもどんな内容で?」

「詳細は伏せて、"池袋で起きた殺人事件について決定的な証拠を持っている"と小石に配信させる。SNSにも投稿する。今名乗り出れば、配信のネタにする代わりに警察には引き渡さないってな」

「またエグいこと考えるな」

「エグいのは向こうの方だ。アウトサイダーには真っ当な手段では勝てない」

「当然警察に引き渡すんやろな。ていうかそんなんで本当に名乗り出てくるん? 普通にスルーするんじゃ」

「そうだとしても犯人は必ず観てるだろうし、何らかのアクションを起こすだろう。それでボロを出したり、焦って証拠を残すようなことがあれば好都合」

「まあええやろ。一つだけ懸念があるとすれば、小石ちゃんの身に危険が及ぶパターンやな」

「ああ。そこは俺たち2人で守り切る」

東長崎の揉め事スイーパーと、難波(なにわ)の懐刀(ふところがたな)。

「そんなことやろうと思ってたわ。警察にはこんなこと頼れんわな」

 「ああ。高校生がそんな危ないことすんなって言われて終わりだ。でも黙ってみていられない。オレの後輩が泣かされたんだからな」

「先輩、もしかして桜音ちゃんのこと」

「……他意はねえよ。俺は元生徒会長だ。お前らの人生を守る責任はまだ終わってない」

「本当に、難儀な人生やな。しゃーない、最後まで付き合ったるわ」

これからは空中戦だ。お前が敵に回したのは警察だけじゃないということを、思い知らせてやる。


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