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【オリジナル小説】VTuber探偵ミコが行く! 第10話

↓の続きのお話です。途中からでも大体読めます。

お好みでBGMをかけながらどうぞ(PCなら聴きながら読めます)。


登場人物

※イラストにのみ生成AI利用。文章にはAIは使っていません。

速水小石(はやみこいし。ハンドルネーム:ミコ)

女子高生VTuber。主人公の後輩で、過去に引きこもりだったところを助けられてから配信者のマネージャーの仕事をしてもらう関係だったがクビにした。配信で稲置がバックレたことにして、彼の顔を晒して指名手配した。副業で探偵をしている。今回はなんと……。

氷室稲置(ひむろいなぎ)

ミコ(小石)のマネージャーだったが無職になったがめでたく再就職した。19歳。高校時代は生徒会長をしていた。料理がそこそこできる。変人をなぜか吸い寄せてしまう人生を送っている。前回は小石と仲直りした。

第10話:VTuber探偵速水小石

「じゃあ俺はこの後用事があるからもう出るぞ。動画の編集は終わったし、晩御飯のチャーハンは作ってあるからレンジでチンして食べろ。あと夜更かしはほどほどにな。FPSログインしてたらこっちから分かるんだからな。昼夜逆転を一周して生活習慣をもとに戻そうとするのは無理があるからな。分かったな?」

「はーい。わっかりましたー。明日もよろしくねー」

「……本当に分かってんのかよ。ったく」

そうして稲置先輩は、私の配信部屋から出て行った。

今度の喧嘩は長引く気がしたけれど、思ったより早く仲直りできたな。先輩が私の知らないうちに大人になってしまったようで、なんだか複雑だ。あの女たらし、またどこかで知らない女といちゃついてきたのではないだろうな。

「今日は配信するとして、ゲームは新作のRPGだったね。準備だけしておこ。……あと例の依頼の報告だけはしておかなきゃ」

小石はPCのマルチモニターを操作し、最小化しておいたメッセージングアプリを開き直す。そこにはとある女性配信者とのチャット履歴が表示されている。

「例のセクハラしてきた取引先の社長、やっぱり他の女性配信者にもちょっかい出してたみたいね。配信で脅かしたら色々勝手に白状してきて、被害を受けてた依頼者の女の子が裁判すれば勝てるだけの証拠は揃っちゃった。最低でも示談に持ち込めるよね。私の探偵としての今回の仕事はひと段落」

そう。

速水小石は女子高生VTuberであるが、もう一つの裏の顔を持っていた。探偵という裏の顔を。

彼女はネットストーキング並びにセクハラを受けているという女性配信者からオンラインで依頼を受け、秘密裏に動いていた。それを仕掛けた社長にこちらから配信のスポンサーになるように持ち掛け、実際に同じようなことを仕掛けてくるかを観察。証拠を集めながら、依頼人の件でも訴えられるように遠回しに情報収集をしていた。

「稲置先輩には探偵業を隠してるから、事情を全部説明できないのがめんどかったけど、そこは何とかごまかせた。あんまり心配かけたくないのよね」

私がこんなことをしていると知ったら、きっと怒られるし、一緒になって危険なことに首をつっこみだすに決まっている。そうでなくても変人ばかり吸い寄せるんだから、あの男は。

ていうか結局シャネルのバッグは買ってくれなかったし、何かごまかされてない?! 淡野さんからも高校で先輩と会ったってDM来たし、知り合いの女に片っ端から声かけてヒモでも狙ってたんじゃないの?! そう思ったらなんか腹立ってきた! お腹もすいたー!

「……そういえばチャーハン作ってくれてたんだっけ」

レンジで温めて食べる。

「……仕方ない、許してあげるか」

美味しすぎた。なんかこーパラパラしてる。私は一回も使ったことのないタワマンのハイテクシステムキッチンはほとんど先輩の専用になっている。何か大きな中華鍋が置いてあるから、それを使ったのだろうけど、作り方は全く分からない。料理は魔法なんじゃないかと思っている。

一度だけマックのハンバーガーを袋ごとフライパンで温めようとしたが、それは直前で先輩に止められた。私の料理デビューは先輩のせいで止められたようなものだ。だから私には、先輩に料理してもらう権利がある。

「ともかく、当分はトラブルはやめてほしいわね」

小石はそんなことを思いながら、港区の夜景を横目にチャーハンを美味しく食べるのだった。


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