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考え事

仕事や趣味、遊びなどで日々を過ごしていると少し文章を書きたくなる時がある。今日がたまたまその日だった。

 今日は朝から当直が免除になり、早く仕事を終わらせて帰ってしまおうと思っていた。いつもの通り式の進行を行い、客を見送り後片付けを行う。
 客が置いていった荷物を火葬場まで届けなければならなかったので、唯一残っていた一番古い社用車のエンジンをかけた。ブレーキを踏む度に首が痛くなるが、こいつの事は嫌いじゃない。火葬場まで三十分程かかる、気分転換の良いドライブだ。

 道中、急な下り坂があり必要以上にスピードが出る道がある。車の通りも人の通りも少なく、道もそこそこの広さがあるのでブレーキを踏まずに一気に下るのだ。坂の終わりに「小学生飛び出し注意」の看板があり、そこで少しだけブレーキを踏む。
 いつもその看板を見て思うのは「ここで本当に小学生が一人、飛び出して轢いてしまったら」という事。

 きっと車は轢いた衝撃と避けるためのハンドル操作で、あらぬ方向へ向くのだろう。手には一瞬でじっとりと汗をかいて、指先から一気に体温が下がり、頭は真っ白で額から落ちる程汗をかく。状況を一部理解した瞬間に思考が巡り、でも瞬時に体は動かない。

 そんな事を考えていたら、いつの間にか火葬場へ到着していた。荷物を渡しさっさと後片付けをしに施設へ帰る。休憩を取らず働いていたので、全て終わって帰る頃にはくたくたになっていた。定時ではなかったので、溜まっている残業時間が少し削れてしまったが仕方ない。

 家に帰る途中、物件を見ながら急に姉の事を思い出した。自分には姉が二人いるが、次女の方を思い出した。
友達は少なく、就職先も三年程で居づらくなり辞め、急に出ていくと言ってどこの誰とも分からない人と暮らし始めたと聞いた。そして知らない内に別れて、今は何をしているのか不明。そんな人だ。

 正直な話、その姉の事はあまり好きではない。むしろ少し嫌いまである。が、そんな姉と自分は、根本的な部分が似ている。似ているどころか多分同じだ。
 人を楽しませるのが好きで、変にこだわりが強くて、変化を嫌い、そしてプライドが高い。姉は自分の下位互換なんだと思う時が多々ある。先に歩いて失敗をしてくれているのかもしれない。

 自分も姉も同じように勉強が嫌いで、適当に就職した。姉は自身の性格もあってか周りと上手くやれず、三年程で退職しフリーターとなった。自分は周りの人に助けられながら七年、今の職場でお世話になっている。
 今度自分はシェアハウスをする。姉も関係は分からないが、二年程誰かと住んでいた。元々の性格もあるのだろうが、人と上手くやるのが難しいタイプなんだろう。

 こうして思い出す度に考えるのは、自分も何かが少しでも間違っていたら姉と同じような人生を歩いていたんだろうという事。今からでも何か間違いを犯せば同じ道を辿るんじゃないかと不安になる。
 自分と姉は違う、そう言ってもやっぱり不安は拭えない。それでも楽しく、周りの人を少しでも幸せにできたらいいなとは思う。

 とりあえずイベントの準備を頑張らないとだ。
 

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