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闇の騎士だよ、全員集合!! 89年版から現在までに見る、バットマン映画の歴史 パート1



はじめに、と何故89年版からなのかの説明

今回、Xとかいうジェイソンみてぇな名前に変わったSNSにて、バットマン作品について記事書かないの? と言われ思い立ち書いております。

今回は長い歴史を持つアメリカン・コミック原作の映画作品シリーズである「バットマン」を主役とする作品群について語っていきたいと思います。
遡るとテレビシリーズの劇場版や、なんと1940年代にも作られているそうですが、今回は89年、ティム・バートン監督作品から解説を始めて行きます。

理由は、単純に俺が過去のテレビシリーズ系列を観てないのと、40年代は作品を視聴するのさえ難しいから です。

それをご了承の上で、素人なりに好きな作品を語っているのを生暖かく見守って頂きたく思います。

バットマン(89年)

悪がはびこるゴッサム・シティーで、次々と悪者を退治するヒーロー、バットマン。その正体を突き止めようと、報道カメラマンのビッキーは、記者ノックスを引き連れ取材を開始する。一方バットマンは化学工場を襲った悪者ジャックと対決し、ジャックは廃液の毒の中に落ち死亡……したかに思われたが、ジョーカーとして蘇る!真っ白な顔に不気味な笑みがはりついたジョーカーは、バットマンへの復讐に燃えるのだった。

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89年にシザー・ハンズ(90)やナイトメアー・ビフォア・クリスマス(93)等を後々に作り出す、独特の世界観を描くティム・バートン監督が生み出した、革新的な作品です。

原作やテレビシリーズの衣装とは明らかに違う、全身を黒いボディスーツに包み闇夜に隠れる、まさにコウモリといった姿は、今作以降にも受け継がれているデザインですね(当時は結構賛否両論だったと聞きます)

今作は狂人であるジョーカーと、狂人でありながら信念の違いから犯罪者と戦うバットマンの、表裏一体である二人の対峙を中心に作品が展開していきます。

この作品の魅力を中心に、今回はティムバートン監督シリーズを紹介していきたいと思います。

バットマン(89年)の魅力

表裏一体、善悪の曖昧な世界

今作の魅力の一つ、ジョーカーとバットマンの対決と過去から続く因縁の決着(後者は今作オリジナルとも言える因縁があります、ここがストーリーを更に盛り上げているので要チェックや!)です。

バットマンは犯罪都市、ゴッサム・シティにて犯罪者を狩るいわば自警団です。
今作のバットマンの特徴として、犯罪者を殺す事に抵抗が無いという点です。
他の作品では明確に殺意を持って相手を殺害している場面があるシリーズは少なく、この作品の特異な部分の一つと言えるでしょう。
この点だけでも、バットマンは明確に正義のヒーローともいえない存在として描かれています。

そして、それは敵対するジョーカーも同じです。
自分のボスの愛人を奪い、その件から恨みを買ってボスの策略から警察に包囲され、その場に現れたバットマンとの戦闘中に工場廃液の中に落下してしまいます。
その後、顔の変質と共に精神も更に歪んでいき、自らをジョーカーと名乗り自らのボスや競合相手、果ては無関係の市民まで(まあ、こちらは市民側も悪いっちゃ悪いのですが……)を笑顔で殺していきます。

もちろんジョーカーは狂人です。しかし、バットマンもまた犯罪者といえど殺人を躊躇いなく行う狂人なのです。

そして互いの過去が、それぞれを狂気に駆り立てている事が話が進むにつれ明らかになり、その過去の因縁を終わらせる戦いへ向かう。非常に熱く悲しい作品です。
ティム・バートンらしい、怪物への愛に満ちた物哀しさが魅力の一つでもありますね。

素晴らしいギミック、アイテムの数々

今作の魅力として外せないのはバットマンのスーツやアイテム、ジョーカーのギミックでしょう。

バットスーツ


前述したとおり、全身が黒く、ポイントとなる円にコウモリのマークがある胸部やベルトは黄色という、ヒーローらしさのあるアンバランスさが面白いですね(胸部に関してはあちらに注意をひきつけ、銃を撃たせるポイントとしているという後々設定が出来ましたね。もちろん防弾)

バットモービル


真打ちです。この作品というかバットマンのアイテムで一番有名ですね。
今作では現代に見ても近未来的な、まさに作品の象徴と言ってもいいでしょう。
モービルには防護シールドやマシンガンなど、内蔵されたギミックも注目して見て頂けると楽しいかと思います。

ジョーカーの入れ歯


何だこの項目。
いやでも重要なアイテムの一つです。
バットマンに殴られたジョーカーはカチカチと歯を鳴らす入れ歯を吐く、重要な戦闘シーンでさえコミカルさを忘れない男の象徴でもあります。
これと笑い袋に関しては、今作のジョーカーを表すアイテムと言ってもいいでしょう。
余談ですが、バットマンのゲームであるアーカム・アサイラムには入れ歯を割るミニゲーム的要素があります。これのオマージュですね。

意外な魅力、吹き替え版

吹き替え音声の話、意外と皆さん触れてないのでここで。
バットマン/ブルース・ウェインは何と俳優の渡辺裕之さん。ジョーカーはまさかのデーモン小暮閣下です。ヒロインのヴィッキー・ベールも俳優の宮崎ますみさんが担当されてます。

何よりすごい、予想外のメンツなんですが、特に閣下がめちゃくちゃ合ってます。
意外と皆この話しないんで、この記事を読んだ方は確かめてみてください。


バットマン・リターンズ(92年)

平和が戻ったのも束の間、暗黒都市ゴッサム・シティーがまたもや悪の手に落ちようとしている。数々の事件の影に見え隠れするのは、悲しい運命ゆえに異常な野望にとり憑かれた怪人ペンギンと、復讐に燃える美貌のキャットウーマンの姿。そしてバットマンは再び現れた!

監督は前作に引き続きティム・バートン。「マーズ・アタック!」でも発揮した強烈な個性で、独自のバットマン・ワールドを見事に作り上げている。主役も前作同様マイケル・キートン。相手役のミシェル・ファイファーも魅力たっぷり。キャットウーマンのセクシーなコスチュームにも注目。ダニー・デビート扮するペンギンの趣向を凝らした特殊メイクもユニークだ。

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バートン監督のバットマンシリーズ2作目。
世間的にはこちらの方がいわば怪人に対する愛を感じるとして評価が高い作品だったりします。

前作から敵対する相手も増えたり、振り回されたりと今回はバットマンは苦戦をかなり強いられたりします。
非常に敵の魅力も感じられる、バートン版の集大成的作品でもあります。

バットマン・リターンズの魅力

悲しき狂気の怪人、ペンギンとキャットウーマン

今作のメインヴィランはペンギンです。THE BATMAN(22年)での活躍が記憶に新しいキャラクターですが、この作品では奇形として生まれ、両親に捨てられて地下水道で暮らす、その姿ゆえに過酷な人生を送った悲しき男として描かれています。
が、それはそれとして慈善家気取りの裏で殺しまで行ってる実業家と組んで地上への進出、更には市長になろうと画策します(実業家との連携で)
……まあここまで書いてて一番のヴィランが実業家なのは(何か胡散臭い実業家として生々しいですね)多分そうなんですが、ペンギン自身もサーカス団みたいな部下を使って街を混乱に陥れるなど、しっかり悪役ではあります。
ただ、いわばフリークとして生まれ、親に捨てられすべてを憎む事になってしまった彼の哀しみは、前作のジョーカーにはない要素としてまた違った角度の敵として描かれているのがとても興味深い点ですね。

そして二人目のヴィランがキャットウーマンです。こちらもTHE BATMANでの活躍が記憶に新しい、何度か実写作品にも出演しているキャラクターですね。
情緒不安定で仕事や人間関係で悩む女性でしたが、持ち前の勤勉さが仇になり先述の実業家の裏を知ってしまい、高層ビルから突き落とされてしまいます。
しかし、猫の加護を受けた彼女は復活(何言ってんだコイツと思ってるかもしれませんが本当なんです! 信じてください!)し、自身で作り上げたレザーのスーツに身を包み、キャットウーマンとして生まれ変わります。

彼女のバックボーンはペンギン程悲惨では無いものの、後に惹かれ合った相手が対立する者(バットマンとキャットウーマンとして)だったりと、中々に切ない戦いを強いられていきます。

敵だけじゃない、ちゃんと魅力を発揮するバットマン

今回はジョーカーの時とは違う方向で苦戦を強いられたり、苦悩をさせられたりするバットマンですが、後のバットマン・ビギンズのオマージュ元かもしれない民衆の上をコウモリ達と共に滑空するシーンや、中盤でバットモービルのコントロールを奪われ苦戦するもすぐに対処する場面などは印象的です。
後、冒頭のサーカス団との戦いや後半のペンギン軍団との白熱の攻防は必見ですね。

更なるギミック、小道具の数々

そしてギミックも数多く追加され、滑空用の変形マントやリモートバットラング、そして追加兵装に変形昨日まで追加されたバットモービルと、前作以上に様々な武器やモービルが活躍します。

ヴィラン側もペンギンの様々な仕掛けの隠された傘の数々や、キャットウーマンの爪や鞭と、小道具の面白さが際立ちます。

まとめ

はい、紹介だけで4,000字近くになっちゃいましたね。これでも語り足りないくらい魅力にあふれ、現代でも面白さは不変のティム・バートン監督のバットマンシリーズですが、ここ最近なんとザ・フラッシュ(23年)にてこのシリーズのバットマンが復活し、活躍していたりします。
長年愛されるシリーズであり、バットマンの映画って何から観ればいいの?という方はこの2作からスタートするのが理解しやすいかもしれませんね。(ただし、ジョーカーとの因縁等の設定は後年のシリーズや原作とは別だったりするので様々な作品による変化があると思って観てください)

という事で長くなりましたが、ティム・バートンのシリーズの解説はここまでとします。次回は意外と皆観てないジョエル・シューマカ―監督シリーズのご紹介をします。お楽しみに!

それでは長々とした文章を読んで頂き、ありがとうございました。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ……

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