kintone show+case unlimitedを振り返ってみる #4 「プレゼン準備編」
最初に
2023年11月7日 CybozudaysのDAY1に行われた「kintone show + case unlimited」に、TEAM K.F.Cとしてプレゼンを行わせていただきました。
今回はその出場にあたって「プレゼン」についてどんな準備をしたのかお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたします。
プレゼンはシナリオが命
目指すはTEDか吉本新喜劇か?
予選が終わってから、さぁ本選はどんな内容にしようか?と考え始めました。
「予選と同じ内容にしても面白くないよね」「でもほとんどの人は、予選見てないよね」「それでも予選と同じことはしたくないよね」「見ていても、見ていなくても、そうくるか!ってしたいよね」こんな会話をたくさんしました。
プレゼン時間が同じで、予選と違うことをして、さらに予選のインパクトの上を行くだなんて、どうすればいいんだろう?
ある瞬間、私の中で本選のコンセプトが決まりました。
それは「小ネタの応酬」でした。
吉本新喜劇では12秒から30秒に1回笑いが起こる※ようなので、6分の間に驚きを10個詰めたら30秒に1回になるね!ということで、この瞬間に方向性が決まりました。
※出典 富山国際大学現代社会学紀要 第12巻第2号 大谷孝行著「吉本新喜劇における「型」をめぐる考察 」P.63
最終何個詰め込んだのか確認していないのですが、10個以上あるかな?今一度確認してみましょうか☺️
【開始】
・プレゼンスタート画面がファミコンのカセット
(問題提起部分はなにもなし)
・ファミコン登場
・ディスクシステム起動画面(のようなもの)が下りてくる
・その内容がNintendo ではなくCybozu
・電源入れるとバグ画面
・神の息吹フーフー
・ファミコンのゲーム画面が出る(kintoniaタイトル~物語)
・王の間ではなく青野の間
・町には、ドット絵になったkintone界隈の人がいる
・実際にファミコンのコントローラで操作できる
・ドラゴンクエスト風のメイン画面
・申請を送ると、エンカウントする演出(バトルする)
・モンスターが「サイボウジュ」(cybozuDays2019モンスターからの挑戦状)
・勝利しないと申請内容が見えない
・kinfamiホームページがある
・kintoneクイズゲームがある
・ゲームの登場人物がkintoneエバンジェリスト
・ブースでファミコンのカセットを100本配る
・カセットに名前を書いてくれる
・ワンモアシングがある(スティーブ・ジョブズがおこなっていた、メインの発表に加えてさらにもう一つ驚きの発表がある演出)
・ファミコンの2コンが電話になる
・ヤッターマンの「説明しよう!」
・コナミコマンドで発動
・会場でリアルに、kintone+ファミコンコントローラで電話できてしまう
【終わり】
なんと、24個ありましたね。360秒で割ると15秒に1ネタということで、吉本新喜劇でもっとも笑われた記録に近い感じですね!よかった!
では、ここからは登壇前の準備にどんなことをしていたのかを書いていきますね。
どんな環境でプレゼンができるのか、わからない問題
これまで何度もcybozudaysには参加していますが、観客席から見ているだけで、背後にある巨大ワイドモニタをどう活用できるかって、知らないですよね。画面は何分割できるのか2分割と3分割は切り替えられるのか?
カメラは当日何台で撮影しているのか?ステージ上のキンファミにはどうやって寄ることが出来るのか?舞台下から狙ってくるのか?などなど… 過去のメインステージでされていたプレゼンの写真を探しました。
そこから多分、下からのカメラが2台+引きの後方カメラが1台はあるだろうと想定しました。
ちなみに、舞台の上にはこれだけのターゲットが存在します
・プレゼンター(いなざわ)
・上司(森田さん)
・部下(石際さん)
・プレゼンタースライド用パソコン
・上司用パソコン
・部下用パソコン
・キンファミご神体
以前、小さなホールでしたが音楽ショーを主催したことがあり、その時のステージスタッフさんから「やりたいことをそのまま伝えてくだされば色々できますので」と言われたことがありました。しかもかなりハイレベルなことをサクッとやって下さいました。なので、まずはこちらからのやりたいことのオファーを出して、出来る出来ないの判断を仰ごうと考えました。
そのためには、我々が考えているプレゼン内容のイメージを掴んでいただけるように、セリフ、スライド&見せたい画面、舞台上のメンバーの動き、出力元のパソコン、鳴らしたい音のパソコン、などを書いた香盤表(というそうです。初めて知りました😳)と、リハの動画をお送りして判断していただきました。
プレゼンといえばジョブズ
3月初日の打ち合わせの際に、すでに本選のプレゼンの話をしていました。プレゼンといえばTEDだよね。そのルーツはやはりアップルだよね。iPhone発表(ローンチ)の時のプレゼンは衝撃だっただよね。「ipod」「インターネット」「phone」とアイコンがくるくる回って「アイフォーン!」とコールする有名なシーン、いいよねー!って話してました。
合宿の際に石際さんが「電話かけられるようになっちゃった」って告白してくれたとき、「最初のミーティングの時に話していたのは、この伏線だったのでは!?」と大盛り上がりして「キントーン、ファミコン、電話、キントーン、ファミコン、電話、キンファミフォーン!」こうやって、キンファミフォーンのシナリオは生まれたのです。
でも、まさかファミコンの「Ⅱコンのマイク」で電話ができるだなんて思ってもいませんでした。石際さんの発想には脱帽です!
シナリオは、本音でフィードバックしてもらう
前回も少し触れましたが「セルフプロデュース」の難しさは、自分たちが入りこめば入り込むほど難しくなるように思います。そんな時、シナリオの構成、流れや、聞いている聴衆がどのようなことを感じるかなどを、客観的に聞いて、ポイントを的確に掴んでフィードバックしてもらうことは重要です。
私たちもシナリオが出来上がった段階で、有限会社アートワークスの大段奈保子社長に全体を通して見ていただいた上で、本音のフィードバックをいただきました。この時「いいですね」はほぼ意味がなく、「ここが不要。なぜなら…」と意味づけと合わせてポイントアウトいただくことが重要です。私たちは、ここで自分たちのシナリオを客観視することができました。
3人が大うけしていたネタの1つが、ここでボツになりましたが、それはそれで良しなのです!信頼できる人からのフィードバックに従うことが大切です。
もう一つ大事だったのは、「聞く人の中に、理解できない情報がないかどうか?」をいろんな方に聞いてチェックするということでした。最後のパートに、ファミコンから電話が掛けられるプレゼンをするのですが、「ファミコンの”1コンと2コンが違う”と知っているのは、ファミコン世代だけだよ」とフィードバックをいただいて知ったのです。
なので、左下に「これは2コンだよ」「マイクがついているんだよ」と分かるように、パワポのアニメーションを作ってみました。
プレゼンは一つの物語。物語には緩急の演出が必要
シナリオが出来たあとは、今度はプレゼン全体の演出を考えます。プレゼンは「プレゼント」だと言われますよね。そのプレゼントとは、一つの物語のように見ていて楽しめるものだと思うのです。
そこで、私はシナリオを作るときに以下の点に注意しています。
・「ヤマ」をどこに持ってくるか
・最後の「オチ(決め方)」はどうするか?
・全体の「緩急」はどうするか?
私が創るシナリオはすべて、この3つがポイントです。
では、実際の構成(流れ)を見てみたいと思います。
序) 0:00-1:30
オープニング~問題提起
最初のヤマ)1:30-3:30
ファミコンお目見え~kintonia披露【急】
お城~フィールド
承認申請のロジック~バトル~勝利【減速】
中間部)3:30-4:30
kinfamiホームページ紹介【緩】
2つめのヤマ)4:30-5:30
ワンモアシング【ゆっくり加速】
キンファミフォーン~コナミコマンド【急】
オチ)5:30-6:00
電話かける~終わり
ファミコンお目見えで加速し、バトルを1度目のピークにしてクールダウン。ワンモアシングで再度加速し、コナミコマンドコールを2度目のピークにし、その後、失敗できない空気でコナミコマンド入力でスリリングさを作り、電話がかかって安堵する。
という2つの山を作って、6分という時間を演出しました。1ハックの時間をフルに活用して物語を楽しんでもらう。そんなことを考えながら、全体のシナリオを構成させていただきました。
どんな練習をしたのか
私たちのステージは、いなざわの語りが9割を締めています。いなざわのセリフが飛ぶと全部飛ぶ…という責任重大な立場なのです💦
では、そのために私はなにをしたのか?
1.シナリオをソラで言えるようになるまで練習する
kintone show+case unlimitedのステージは、全員カンペなしで話しています。(これはkintonehiveやAwardも同じです。)パワポのスライドにシナリオを書いていても、舞台からではメインスライドしか見えないのです。
台詞を覚えるなんてこれまでやったことがありません。そこで、とにかく1日20回は通しをすると決めました。通常以上に脳に負荷をかけた状態でちゃんと話せるようになれば大丈夫だろうと考え、お客様のところへ行く(高速道路で)往復の車中がだいたい片道1時間ほどなので、合計2時間ずっとシナリオの練習でした。気が付いたら目的のインターを2つほど通り過ぎていることもありました(笑)
10日ほど繰り返すと、次第にいえるようになってくるのですが、言葉を間違えると次が出てこない…(T_T)これは練習しかない…と思って繰り返しました。
2.大音量が鳴る中で練習する
時は10月28日。MOVEDの櫻井飛鳥さんがXで、同じくMOVEDの桜野友佳さんが企業ブースでプレゼンされている様子をあげてくれていたのを拝見したのです。ここにはこんなことが書かれていました。
・モニターが頭上にあって見えない
・観客に囲まれているプレゼンは難易度が高い
画面に出ている内容が見えない中で、更に多くの視線だけではなく、あらゆる音が耳に入ってくる状況なのか?!。。。もしかしたら、自分もそれに近い環境下でプレゼンをするのではないのか?・・・!!
今、自分は周囲の音が鳴っていない環境で、自分のセリフしか練習できていない!ことに気づきました。
実際にはどんな音が鳴るのかを試すために、石際さんにZOOMでプレゼンの練習を付き合っていただきました。すると
もうこの時点で頭真っ白です。(o_ o)???こ、これか・・・・絶対に会場はもっと大音量だ…
それからは、まったく関係ない音楽を大音量で流しながらでも、きちんとシナリオに集中して話せるようになるまで練習をしました。
3.自分たちの姿を見ながら練習する
大音量の中でも話せるようになってきた数日後、再び櫻井さんが素敵なポストをしてくれているのを発見したのです!それは「身振り手振りの極意をお伝えします」というものでした。
その中には秘伝のポイントがこのように書かれていました。
・肘を肩の高さまで上げる
・出したジェスチャーは、すぐに引っ込めない(長めに出す)
・ステージから見ている人までの距離=認識するのに必要な時間
・客席の最後尾からの見え方を確認する
おおおおおおおおおおおおおおおお。
なんと参考になる…
そこで、自主練では自分たちの動きを鏡に映しながら、また自分たちをスマホで撮影しながら練習を続けました。
ガラスに映る自分たちが見えてはじめて「あーこう見えているのか…」とわかって、石際さんと2人で「駅前でお店のショーウィンドウの前でダンスの練習してる子達の気持ちが分かるね」って話してました。
しかしやってみると問題続出です。
歩きながら話すと、セリフが飛ぶ!
意識的に身振りを大きくすると、セリフが飛ぶ!
窓の外に人や車の動きが目に入ると、セリフが飛ぶ!
何かに意識がいくたびに、セリフが飛ぶ!
ふんんんんんぬううううううううう~~~~~~。
人間とは、なんと弱い生き物なのじゃ…
克服せねば!!!ということで、何があっても話せるようになるまで、ひたすらに練習を繰り返しました。
リハーサル会場で確認したこと
これまでは、最後まで話せるようにするという下準備でした。
リハーサル会場に入ったらまず、ステージの上から、左右の広さ、客席の見え方、マイクで話した時の音の聞こえ方(特に自分への戻り方)の確認をします。そして、櫻井さん、桜野さんの動画の中にあった
・客席の最後尾からの見え方を確認する
です。まず最初に会場の最後尾、最右列、最左列からどう見えるのかを確認しました・・・すると・・・
ちっちゃ!!
わかります?舞台に見える人の小ささ… 目で見るのとほぼ同じように撮影してみたのですが、3枚目の写真は石際さんが手を振ってくれているのですが、誰だかわかりませんよね?
そうか…これくらい小さいんだ… と舞台の見え方を把握し、森田さん、石際さんと「出来るだけ大げさで、ゆっくりなリアクションが必要」と自分たちの動きを調整していきます。
kintoneAwardを見て気づいたこと
2023年はDAY1の一番最初にメイン会場で行われるプログラムが、kintone Awardでした。
このAwardでみなさんの話を聞いたときに、前日のリハでは気づかなかったことに気づいたのです。それは(前日のステージ上ではわからなかったのですが)会場でプレゼンを聴いていると、話した声が反射して戻ってくるのに時間がかかり、大きめのエコーがかかったような状態で聞こえてしまうのです。つまり言葉一つ一つをゆっくり話さないと「何を言っているのかわからない」状態になってしまうのです。
そこで練習の時よりも、ほんの少しだけ、ゆっくり、ハッキリとした口調で話そうと決めました。言葉と言葉の間が長めに開いているな…と感じられたのならこれが理由です。これはバッファを消費することもわかっていたのですが、伝わらなければ意味がない、聞いている側が冷めてはダメだ、時間をどこまで詰められるだろうか…とステージ下から思いながら。その時も、登壇者の事例報告を聞きながら、セリフをぼそぼそと言いながら、他の人が話しているときに、自分がそのまま話をできる状態になっていることを確認していました。
さぁ、本番だ
本番は、始まって気づいたらプレゼン終わっていました。だって6分だもの。(笑)
反応を知る頼みの綱は声!
舞台に上がると前方からのライトが強烈で、3列目くらいまでしか視認できないんですよ。4列目以降は「ほぼ黒」なんです。
なので、自分たちがやっていることがどう伝わっているのか、よくわからない状態でプレゼンは進みます。
そんな中、ファミコンの画面が出た時に会場の真ん中あたりで、大きな声で笑ってくれた方がいらっしゃったのです!それを聞いて「あ、笑ってくれた!」と嬉しくなりました。(その方が読んでくださってたら、ありがとうございます!感謝しております!)
そこからは「あれ?最後ちゃんと振りついてたっけ?」って何度も思い出そうとしましたが出て来ない感じで、気づいたら終わってました。
投票いただいているのも、ほぼ見えないのでどれくらいの反応なのかも正直わかりませんでした。
終わってから松田正太郎さんに後部から撮影した映像を見せていただいて「おおおおおー!」って3人で感動しました。
それくらい開始の合図以降は、自動運転で進んでいきます。なので、事前に準備していたバッチ処理が正しくうごいた。そんな感じでした。
最後に
準備にどれだけの時間をかけたか?
初めて大きな舞台でのプレゼンテーションでした。ある方が「1000人のステージってでかくて気持ちいいから、緊張っていうより、気持ちいいな~ってできると思いますよ」と話されているのを耳にしました。
実際には緊張もするし、うまくできるかどうかも不安。でもそこまで積み重ねてきた自分を表現するだけだったように思います。準備に関しては、悔いがないように、納得出来るところまで「やりきったん!」と言えるところまで出来たので自分的には、100点でした。
まとめると
・シナリオを練る
・本音のフィードバックをもらう
・しっかりと練習をする
シンプルに、これらが大切だということだと思います。
今回書いた「どんな準備をしておくといいのか?」が、未来に登壇する誰かの参考になれば嬉しいです。
さて、想定していたよりも書くことが多くて増えていますが、次回は「本番の舞台裏」を書きたいと思います。
いつものおまけの写真集
今回、写真がちょっと少ないですがここまで!