世界は贈与でできている
本を読み進め佳境に差し掛かった頃、思わず出版された日を見た。2020年3月13日。
ネットでこの時期の出来事を調べてみると、海外でパンデミックが本格的になり、日本も自粛ムードが漂ってきた頃。
出版する段取りからして、この本はコロナ禍の状況を踏まえていないと想像するが、驚くべき事にパンデミックに関する記述が後半にある。
日常が簡単に崩れてしまう脆弱さや、当たり前の日々は誰かのとてつもない努力によって享受され、獲得しなければならないものである事の記述がある。
知ってる人は知ってたのね。想像力のない私が1ミリも思いつかなかった今の世界。
知見のある作家、小松左京さんは小説という媒体を使ってワーニングを出してくれていました。
ふだんは小説ばかりを読んでいる私。タイトルが気になりキナリ読書会でも選ばれていたので、思い切って読んでみた。
「本を読む意味の新しい解釈をくれた本。」
今までは、自分の引き出しを増やす為、違う人生を仮想体験する為、読書は私にとっての良いリフレッシュになっていたが、この本を読み、先人の知恵を受け取り上手くバトンを渡せるような本の読み方をしたいな。という気づきをもたらしてくれた。
どうやって渡したらよいかそこはおいおい考えていきたい。
あれよ、あれよと出てくる心に刺さるパワーワード。
天職=Calling 誰かから呼ばれること、誰かの声を聞くこと。天職=得意なこと、好きな分野じゃない。
そもそも「得意」なんて、おこがましい言葉がこの哲学入門書にはない。そういえばCallingに似た意味がある才能があるという英語はGiftedと言う。贈り物を受け取れる。そう言う意味にこの本を読んだら捉えることが出来た。誰かと比べてどうこうという問題ではない。
16時の徘徊の話も、相手の声を聞けば対応策が見えてくる。
「誰かの声を聞く」ことは相手を知る想像力と姿勢がいるとこの本は教えてくれた。
大学でカナダ人の先生が、英語の授業なのにもかかわらず、「想像力が大事」と言い続けていて、他のことは全く覚えてないことや
私のおかんが、「善いことは隠れてやるものだよ」と何かのくだりで言っていたのを思い出した。
アウトプットを上手くするにはどうしたら良いかばかり頭にあったが、想像力を働かせ、誰かのメッセージを受け取る器を用意する。何か善き事をする時は見返りを求めず、ひっそりと気づきは時間差があった方が良い。そんな気持ちになる哲学入門書でした。
この本に出逢わせてくれたキナリ読書フェスに心から感謝いたします。
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