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桔梗について

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登場人物…梗香(女優)、京(作家・撮影監督・脚本・演出)キョウコ(私) 物語の地図は「檸檬」にて
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#恋愛小説

葡萄

わたしの部屋には窓がある。両開きの縦に長い窓だ。窓の向こうには沼が見える。沼は広く、そし…

涼虫
3年前
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花束

皆が地下に降りていってから、とても静かだ。梗香は眠っている時間が格段に増えた。京さんは多…

涼虫
3年前
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薔薇

私は眠っていたの。それは長く、深い眠りだった。広くてふかふかのベッド、真っ白なベッドカバ…

涼虫
3年前
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梗香

彼は同じ場所にいるのを好む人だ。同じカレー屋、同じバー、同じカフェ。いつものルーティン、…

涼虫
3年前
7

デルフィニウム

窓の外の空は、夕暮れが始まろうとしていた。お茶を淹れましょうか、と私は聞いて、それは違う…

涼虫
3年前
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桔梗

夕暮れ時、本を読みながら白ワインを飲んでいた。白地に虹色の挿絵が描かれていて、好きな装丁…

涼虫
3年前
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檸檬

わたしがいつからここにいるのかはわからない。キョウコが十五歳で、初めて恋をしたあたりだろうか。相手は塾の先生で、十歳年上で、彼女が中学校を卒業してから付き合い始めた。まだ子供だったから、淡い付き合いだった。春の夜、ドライブの帰りに夜景を見に行った。男と二人で宝石箱をひっくり返したような夜を見下ろした。その時初めて、彼女は心の中でシャッターを切った。網膜に焼き付けるように。この記憶を文章に落としこんで凍結したい。彼女の願いは強烈で、わたしの原型を作り上げた。 それから高校生の