「炎上のリスク避ける3つの条件」の曖昧さと無意味さ
注:本記事では、ツイートを「ポスト」、ツイッターを「エックス」と公式の変更に従って表記しています。
炎上しないための「3点はこれだ」というポストを見かけました。
このポストは、既に数多くの観点から批判されています。
3つの条件はいずれも「該当している」と恣意的に認定する事ができるため、注意のしようがない。
該当していない表現も炎上させられてきたという事実がある(クレーマー気質なインフルエンサーが騒ぐかという運の問題が大きい)。
クレーマーの意向に合わせると、「恫喝は有効だ」という成功体験を与え、ますます表現の幅が狭まる。
「炎上させる側の悪さ」を無視しており、表現者に片務的な責任を負わせている。
本質的に「こういう服装(服装も表現の一種)をしているから痴漢される」という論理と同じであり、二次加害になりうる。
例えば、私自身も胸の大きな女性当事者ですので、茜さや氏の広告素材写真が差別的なクレームにより炎上した時は憤りさえ感じました。
私には、上の写真は肌の露出や胸の強調もなく、特別に媚びているようにも見えません。もちろん、炎上させた側は「性的なパーツ(胸)が強調されているように見える」「表情がどこか媚びているように思える」と言うのでしょう。
ですが、胸が大きい女性はふつうに服を着ていてもそれなりに目立ってしまいます。それを「強調している」と言われては、私自身の普段の生活にも支障が出ます。
着こなしで若干の工夫はできますが、限度があります。また、そのような工夫が可能だとしても、他人から強制される謂れはありません。推奨ですら余計なお世話です。矯正具をつけて潰す、または乳房縮小手術を受けるなど身体に負担のかかる対策はなおさら御免です。
そこまで言う人はいない? しかし、茜さや氏は「今は手術で胸を小さくすることだってできる。なのにそうしないのは、性を売り物にしているってこと」という心無い言葉がぶつけられたとインタビューで答えています。無茶苦茶です。
茜さやさんの様子は、全く普通の仕事風景です。私が事務机に座って電話を取れば、あまり変わらない状態です(茜さやさんの場合、多少カメラを意識した顔の向きをされているとは思いますが)。
つまり先のポストは、「性的な要素を含んでいたり、(主に男性への)媚びた要素があるように”私たちが”思いこむことができたら、何でも炎上させるぞ」という脅迫に近いものでしかないのです。
もう一つ例を挙げます。こちらも炎上したポストです。
これはさすがに「性的パーツの強調」「媚びた様子」「不必要な設定」のいずれにも該当しないでしょう。むしろ、不本意に性的にならないようにするための衣服の紹介です。表情や姿勢に媚びた様子は見受けられません。そして商品を実際に使用してもらいたい対象層が「女子生徒」なのですから、女子生徒のイラストを採用するのは、普通の意味では「必要」ともいえるでしょう。
こうした理不尽な炎上に対応し、表現をやめてしまえば、むしろ被写体となるモデル女性や、イラストを描く女性の活躍の場も狭くなります(イラストレーターは女性の多い業界です)。
このことは過去のnoteでも取り上げました。ご一読いただければ幸いです。
胸の大きな女性、又は単に美しい女性を起用した広告や、美少女イラストを使った広告の炎上に反対し憤っているのは、俗流フェミニストが想像するように「男性オタクたち」だけではありません私のような女性も数多くいます。
彼女ら(中には男性もいますが中心は女性と思われます)は、嫌う相手に対して性犯罪者予備軍などの酷い誹謗中傷もためらわず、乳房縮小手術を受けろとまで言う。表現者・表現物にこれほどの言葉をぶつけるなら、自分と自分の表現物(当然ですがエックスへのポストも「表現物」です)が炎上させられる覚悟もあるかと存じます。
もちろん、私たちまで対抗的に誹謗中傷を行う事は望ましくありません(相手に被害者面をする理由を与えてしまいます)。しかし、批判の手は緩めるべきではないと思います。それと併せて、理不尽なクレーム攻撃の被害を受けた表現者を応援していきましょう。
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