人生損してるな、と思うこと。

「来月は2回もライブに行くねん。めっちゃ楽しみやねん」
好きなアイドルがいる友達が、目を輝かせてそう言う。


「ママ友」という言葉はあまり好きではないけれど、30代子持ちの主婦である私にも一応ママ友はいる。その子たちの大半には「好きなアイドル」が存在する。ものすごく熱狂的にファンな子から、ファンクラブに入っている、ライブにだけ行くという子まで色々ではある。

彼女たちは彼らの魅力を語りながら、こう言うのだ。
「どんなに嫌なことがあっても、イヤホンをつけて彼らの音楽を聴いたら忘れられる。どんなに理不尽なことがあっても『来月、ライブに行く』と思えば、そんなこと忘れて切り替えられる」と。

そして「もう、そのために生きてるねん」と。

その話を聞くたびに、「夢中になれるアイドルがいない私って、人生損してるなぁ」と思うのだ。

私は自分の人生を、それなりに気に入っている。でも、彼女たちの話を聞いていると、なぜだか猛烈に自分の人生が色褪せて見えるのだ。
「アリとキリギリス」の「アリ」みたいに「人生を楽しむ」ということを、私はまだ知らないのではないか、と思えてくる。

それほどまでに、彼女たちはキラキラと輝いて見える。

でも、残念ながら、「好き」とか「夢中になる」というのは、努力してもできるようになるとは限らない気がする。

「かっこいいな~好きだな~」と、ここ数年思っている芸能人が、実は私にもいる。
そう、いるのです。そんな人が。

でも、出演しているドラマも見ないし、CDも買わない。ラジオも聞いてないし、出ている雑誌をチェックしたりしない。たまにYouTubeの動画を見るぐらい……。

……ちっとも「夢中」にまでは届かない。

いやいや、なぜだよーーーー!!
なんで、もっと夢中になれないんだよーーーー!!
と、いくら思ってみても仕方ない。
……なれないのだから。

なので、余計に、私が知らない世界を知っている、彼女たちが羨ましい。

私もいつか、「アイドルに夢中になる」という楽しみを知れたらいいなと、密かに思っている。

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