東京メトロ文学館 東京タワーを読んで 私も書いてみた。
東京タワー🗼
赤というよりは朱の
東京タワーは
芝の地にありながら
駿河湾の磯を洗う波を
連想させる
それは
高度経済成長の
がむしゃらという言葉が似合う時代
日本中の男たちが
塔の高さにぶるって
尻込みする中
でかい仕事にゃ夢があると
寂れた猟師町の
あらっぽい男たちが
日本電波塔を朱に染め上げていった
玉掛けした命綱ひとつで
数年おきに
塗り替えられる
日本電波塔の存在は
日本一の高さを誇る
スカイツリーをもってしても
日本を作り上げてきた男たちの
プライドと共に
今も
健在である
増上寺界隈
少し歩けば浜風が
吹いてくるように
東京タワーを眺める時
磯を洗う石の擦れ合う音や
風に揺れる大漁旗の祈りの歌が
聞こえてくるようだ
何にもなかった時代
作り上げる喜びが
人を作り国を作っていった頃を
誰よりも知っていると
今日も
姿勢を正して
東京タワーは そこにある。