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すずめが大人になったら


めちゃくちゃ好きなアーティストの新曲が解禁された。椎名林檎さんの『人間として』という曲。


夢見心地でいられ、かわいらしさもあり、優雅で、世界観の大きいメロディーはすぐに私の心を掴んだ。ディズニーのソアリンに乗って世界を旅しているような気分になった。

この曲、歌詞も素敵なのだ。

ねえみんながみんな好きな人に会って
宇宙の端と端でそっと手を結わえてくれ

椎名林檎 「人間として」

もうとっても素敵です。メロディーだけでも世界観大きいなって思ってたけど、なるほど。そういうことか。

でも、こんな歌詞もあったのです。

そうね僕らも適宜正義との間合いは置く

椎名林檎 「人間として」

なんと。自分が研究の軸に置いている、「間合い」という言葉が出てきたのです。すずめが知っている曲で「間合い」が歌詞に出る曲はなくて、それを好きなアーティストさんが歌っていることがとても嬉しかったわけで。

そこで思い出したのだった。

(すずめの研究発表ポスターを見る)
あるひと:「「間合い」って概念、初めて聞きました。気になったので詳しく教えてもらえますか?」
すずめ:「間合いとは、〜〜というようなことで、例えば、〜〜はわかりやすいと思います。こんな時に〜〜した経験ありませんか?」
あるひと:「あります!めちゃしっくりきました。すずめさんに出会っていなかったら、私こんなこと知らなかったですきっと。大事なことに気づかせてくれてありがとう。」

すずめとあるひとの会話

この「ありがとう」が忘れられないから、すずめは今も言葉にならない感覚に近いものを追いかけているのかもしれない。私が追いかけているものは、蝶のように上下にゆっくり舞うもので、捕まえられそうで捕まえられない。そんな存在のものだ。捕まえたいとは思わない。ただ知りたい。それだけだ。知りたいから、捕まえるのではなく追いかけるのだ。

全く考えず、気になったものをひたすら追いかける。すずめの好奇心はそういう、子供にもあるような単純なものでできている。
その好奇心から生まれた結果を人に話して、その人の中に「!」が生まれたり、その人の人生をどこかで豊かにするスパイスになれたらすずめは人生でやり残したことなく、この世から離れられると思う。

追いかけてよかったなと思う。すずめの好奇心は自分のワクワクだけでなく誰かを豊かにするためにあるのだとしたら、これからも好奇心に従って生きるし、何よりすずめはそうやって生きられる大人になりたい。
「普通」にいつも「?」や色んなものをぶつけてる側の人間だけど、「こうあるべき」とか、「慣習」に常に疑問を持つ人間だけど、その考えを取っ払って普通なら生まれない突拍子もないことを考えるすずめも悪くないなと思う。それがなくなったら自分ではないし、何よりこういう生き方をしていても必要としてくれたり、「ありがとう」って言ってくれる人がいる。すずめはこうやって生きててもいいんだって思える。自分のすることは大きな世界で見たら不要でつまらないものかもしれない。だけど、私が常に目を向けたいのは、小さい世界の人たちだ。小さい世界に影響を与えられたら、もしかしたらそれが中くらいの世界に広がって、いつか大きな世界でも影響を与えるものになるのかもしれない。とんだ夢想家なすずめにはお許しを。「もしかしたら」、を潰さないで生かしてあげてもいいなと思えた瞬間でもある。ありがとうを言いたいのはこちらの方だ。

大人になったら。大人になったらすずめはふわふわした原っぱの中で、色とりどりの蝶を追いかけていたいです。

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