大学時代にもっと早く出会いたかったデザインに役立つ本 12選
工業系デザイン学科に在籍しているそろそろ卒業って感じの4年生です。
読書はそれなりにするほうで、大学時代に色々な本を読みました。というのも、大学の授業には限界がありまして(加えて私は美大ではないので)、デザインを学ぶためには自分で知識を広げていくしかありませんでした。
まぁ、大学って学ぶ場所と切磋琢磨する仲間を提供するところなので、多くの大学生はこのように独学で何かを獲得しようと努力していることだと思います。
で、大学時代にどんな本を読めばいいの?って疑問は当然思い浮かぶだろうし、Googleで検索すればそれなりのモノにヒットしたりするでしょう。でも、美大じゃないデザイン学生はデザインをゼロから学ぶ時、どうすればいいの?ってのはあまりないかもしれません。
このnoteでは大学時代に読んだもっと早く出会いたかった!って感じのデザインに役立つ本をまとめます。結構4年次に読んだものも多くて、出版年の関係で無理なのもありますが、切実に大学1、2年生で読んでたらまた違ったかなと思うことがあります。だからこれから大学生になる方とか特にオススメかもしれません。
こんな人にオススメ
・デザインに興味あるって学生
伝え方を学ぶ本
デザインの7割くらいはわかりやすく伝えることが仕事なのかなと思ったりします(学生なので現実はわかりませんが)。そこでまずはコミュニケーションや制作物をうまく伝えるのに役立ったスキル系の本をまとめてみました。
1.なるほどデザイン
目で見て楽しむデザインの本。
デザイン界隈にとってあまりにも名著すぎて、私が語ることもないですが、恥ずかしながら、今年に読みました(汗)。やはり長年愛される本にはそれだけの理由がありますね。
この本は印刷物やwebでのレイアウトについて、プロのデザイナーってどんなこと考えながら作ってるの?ってことを、それはそれはわかりやすく解説してくれています。これを読む前と読んだ後では、世の中にあるプロが手がけた印刷物の見え方が変わります。こんな気づかないような細部にまで気を配っているんだ、って感じです。
自分でポスターや作品集を作るときに、相手にどうやったら誤解なく、わかりやすく伝えられるかを知りたい、センスがあるって言われるポスターを作りたいって人には特に参考になると思います。
2.けっきょく、よはく。
余白を活かしたデザインレイアウトの本
こちらも「なるほどデザイン」同様、印刷物のレイアウトに関する本ですが、こちらは同じテーマのポスターをBADなデザインとGOODなデザインで比較して、何が良くないかを解説している実践的な本です。今までボンヤリとセンスの有り無しとしか判断できなかったことが、何が原因だったのかうまく言語化できるようになります。解説がすごいわかりやすいです。
BADなデザインはあるある(笑)って感じのレイアウトで、身に覚えがありすぎて首がもげます(笑)。
これを読むと、巷に溢れているセンスのない印刷物は何が良くないのか、言語化できるようになります。「なるほどデザイン」と合わせて読むと、よりレイアウトデザインの理解が増すと思います。
3.Graphic Recorder
議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書
この本はグラフィックレコーディングって何なの?ってところから始まり、描き方、議論での活かし方というところが網羅的に書かれています。
この本でグラフィックレコーディングとは対話や議論をリアルタイムで可視化することと定義されていますが、これは相手にわかりやすく伝えるだけではなく、自分の思考も整理できるため、応用の効くスキルの一つだと思います。私は美大ではありませんのでデッサンとか全然描けないのですが、絵を描くことは好きなので、もう少しデザインに活かしたいなと思って手に取りました。
実際のグラレコの手順として、事実や関係性を抽象化し、簡単なアイコンやグラフといった視覚情報に置き換えて、直感的に理解できるように紐解いていきます。
美大じゃないデザイン学生ならわかるかもしれませんが、他学科の人から「デザイン学科? じゃあ絵描いてよ」みたいな無茶振りもグラレコなら対応できるかもしれません。
イラストを使って相手にわかりやすく伝えたいって人には参考になる本だと思います。
4.みんなではじめるデザイン批評
目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド
これは好き・嫌い・俺はこう思う・もっとAppleみたいに、って言うんじゃなくて、より良いデザインのために目的に対して効果的に機能してるかどうかを分析して話し合うのが正しい批評なんだよってのをわかりやすく教えてくれる本です。
デザイン学科に在籍していると、プレゼンをしてディスカッションをしたり、教授からフィードバックをもらったりと、他の学科よりもより良いものを作るために話し合うという機会が多々あると思います。その中でボロボロに言われて傷つくこともあるでしょう。または後輩や友人にフィードバックを与える時にどのような言葉をかけるのが正しいのだろうかと悩むこともあるでしょう。
それに対して正しい批評のやり方を見事に言語化してくれた本です。翻訳本なので少し読みづらいところもあるかもしれませんが、教科書的な感じで参考になる本だと思います。
5.地頭力を鍛える
問題解決に活かす「フェルミ推定」
この本は考え方や論理的思考法について書かれており、直接デザインに関係ある本ではありません。ですが、プレゼンなど5分、3分で内容を簡潔に説明しなければならない場面ってデザイン学生には多々あって、そういう短い時間で何かを伝える時、何を気をつけたら良いの?ってことに悩んでいる人にオススメできます。
この本では簡潔に伝えるための3つの重要なポイント「結論から」、「全体から」、「単純に」について説明しています。
フェルミ推定とは仮説、俯瞰、具体⇄抽象化を活用して、一見解くことが難しいスケールの大きな問題の近似値をだそうって感じの推定方法なんですが、これは別に頭の片隅に置いて大丈夫です(笑)。それよりも、その仮説、俯瞰、具体⇄抽象化という思考のコツを知ることが重要で、他人にわかりやすく伝えるのに役立つと思います。
6.本当はひみつにしておきたいインスタ講座
こちらは書籍じゃなくて有料noteになるのですが、大変参考になりました。お店のように綺麗な写真だね、なんて言われることとは縁遠い人間でして、綺麗に写真を見せる方法ってわからなかったんですよ、今まで。世の中に写真の書籍はたくさんあれど、若い感性から見たセンスの良い人のリアルな技法、構図、加工法ってモノは全くなくて、こちらは数少ないそれに該当するモノかなと思います。
これはInstagramにあげる人じゃなく、見てもらう写真をもっと良くしたい、センスに自信がないと思っている人にもオススメできます。
これはアップデート版で、オリジナルの加工編、構図編も参考になります。
捉え方を学ぶ本
デザインのもっとも大切なことは、よく観察することだと思います。傘を「傘」と認識してしまったらそこからアイデアは広がりませんが、「雨をしのぐもの」という風に抽象度を上げれば、別の解決策が見つかるかもしれません。そんな感じでモノゴトをやわらかく捉えるモノの見方で参考になった本をまとめました。
7.まばたきとはばたき
観察力に優れたアーティスト 鈴木康広さんの作品集です。「ファスナーの船」や「空気の人」なんかが有名かと思います。
彼の作品のいいところは日常に潜むモノをモチーフにしており、どの作品を見ても、「そう捉えたか! おもしろい!」って唸るわかりやすさがあります。
コンセプトの説明やアイデアの着想など参考になる部分の多い作品集だと思います。
8.観察の練習
見開きに1枚の写真、次のページをめくったら著者の感じたことという構成になっており、日常の当たり前にある光景に対して、「ー‼︎ 事件の香りがする…」って感じで、前後のストーリーとか、その状況を作った人の心理とかを推測する本です。
今はスマホが普及して誰でもカメラを所有しています。日常の気になるところを撮ろうって思うだけでも、世界の見え方が変わって見えます。そこからアイデアや解決すべき問題というものに繋がりますので、ぜひオススメです。
余談ですが、装丁がかわいらしくて素晴らしいです。サイズ感が良いのです…。
9.コップってなんだっけ?
これはデザイナー 佐藤オオキさんの描いた絵本です。子供向けに書かれてますので、タイトル通りのシンプルな内容ですが、とにかくコップという既成概念を振り払ってコップとは何か?を考察しています。モノゴトの捉え方の練習として参考になりました。
私が佐藤オオキさんのファンということもあって、彼のビジネス書もいろいろ読んでいますが、今回はあえてこちらを紹介しました。もちろん、問題解決ラボ、ボツ本、スピード仕事術あたりもとてもおもしろいです。
クリエイターの情熱を共感する本
モノを作るっていいよねって感じの本をまとめました。
10.左ききのエレン
漫画なんですが、めちゃくちゃおもしろいです。
天才側ではない広告デザイナーの主人公 朝倉光一の半生を中心に、天才アーティスト 山岸エレンと、それに魅入られたキャラクターの織りなすクリエイター群像劇です。
原作者の言葉選びが秀逸で、イラストと相まって鳥肌が立つようなシーンが満載です。モノを作るってことは楽なことではないですが、これを読むと、モノを作るっていいよね、と思わせてくれます。
生活の基盤を整える本
ここで紹介する本は番外編というか、デザインに直接関係ない本です。ですが、不健康であったり、不安を抱えたりしてると作業効率も落ちてしまいまい、本業に集中できなかったりします。大学生活って自由に使える時間がたくさんあるので、生活を整える術とか多少知ってるとお得かなと思ったので、読んで良かった本をまとめました。
11.最高の体調
進化医学のアプローチで、最高のコンディションに導く
健康の本ってターゲット層が広く結構売れるので、巷にはいろいろな書籍があります。そのため適当なことを書いている本もたくさんありますが、この本は年間約5000本の論文を読むサイエンスライターが、科学的根拠もとに進化医学の観点から書いた書籍でして、信頼性は高いです。
まぁそんなの当たり前じゃんみたいな話も結構ありますが、信頼性が高い健康情報ほどセオリー通りだったりします。結局睡眠、食事、運動を整えてからじゃないと、小手先のテクニックってあまり活かされませんので。
この本の内容を簡単に言えば、人間って最近急速に文明が発達したけど、体の進化がそれに追いついてなくて、そのミスマッチが不調を引き起こしてるよって感じです。夜間のブルーライトとか、ファストフードとか、将来の不安とかですね。それで、いきなり原始人の生活をしろってことではなくて、それを1つずつ現代の生活でも支障が出ないように解消していくことで、なんとなくだるいという体調を改善していこうという話です。
大学生って時間がある分、不健康にも健康にもなれるので、まぁ健康の方がいろいろ得かなと思ってオススメしました。睡眠・食事・運動をがっつり改善したいって人はパレオダイエットの教科書という同じ著者の別の本もオススメです。
12.賭けの考え方
勝ち組ポーカープレイヤーの思考習慣
プロのポーカープレイヤーってどんなこと考えながらゲームしてるの?ってことについての本なんですが、これは結局人生の意思決定でも同じことが言えます。
現実を受け入れ、俯瞰して、理性と感情を分けて、常に最善の決断を優先させ、分析と改善のサイクルを回していくってマインドが最強だよってことを長々と書かれております。生きているといろいろ悩むことがあると思いますが、ある程度の行動指針や考え方を持っておくと、少しは楽になります。別に感情を捨ててロボットのように決断しろって訳ではなくて、些細な場面ではこういう指針に従った方が確率的にうまくいくかもよって話です。
人生でずっと使える知識ですし、読んでためになったなーと思ったのでオススメしました。ポーカーの本ですので、ポーカーの例えが多く、わからない点があったりしますので、わからない専門用語をググりながら読むと読みやすいかもです。私もポーカーを全然やらないので、わけがわかりませんでした(笑)。
こんな感じで12冊+αセレクトしてみました。気になったモノからぜひ読んでみてください。
といっても、知識って蓄えただけじゃなくて実践して使わないと定着しないモノですので、試してやってみるってことをオススメします!