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初級でも話すために私がしている勉強法

「初級でもコミュニケーションは取れる」
これは、言語教師であり、6か国語を話す(と謳う)私の信条です。

何年も言語を勉強しても話せない人と
初級でも話せる人の違いは、いったい何でしょうか?

それは、ズバリ「アウトプットの場数」です。

ここでは、初級でも会話ができる私が
言語を習得するときにやっていることをご紹介します。

*ここで言う初級とは、CEFR A1 & A2 レベルのことです。
 中学英語1~2年くらいのレベルです。


話せるための前提条件

まず、話せるためには、基本的な文を作れることが大前提です。
これなしでは、話せません。

話せるための前提条件をここにいくつか記しておきます。

  • 基礎文法を身につけている(特に、現在、過去、未来の時制)

  • 読めば、文章は理解できる(スピーキングと同レベル以上のもの)

  • 基本的な発音は知っている(お手本の発音)

  • 「話せるようになりたい」と強く思っている

この条件が整っていると仮定して、話を進めます。
(この条件がそろっていない場合は、まずは条件達成を優先しましょう)

話すためにしていること

①音読する

私は、中学生のときに、音読を毎日かかさずやり続けたことで
中学3年次には、ネイティブの先生と英会話ができるようになったので
この経験を大きな糧にしています。

詳しいことは、こちらの音声記事で紹介しています。

今や、音読の効果は、様々な本や媒体で紹介されているので、
言うまでもないかもしれません。

あえて言うなら、効能はこんな感じです。

  • その言語に口を慣らすことができる

  • 正しい文章を頭にたたきこむことができる

  • 何度も音読しているうちに、正しい文章を暗唱できるようになる

  • 暗唱できる文は、会話で使えるようになる

読むときは、お手本通りの正しい発音を意識して、丁寧に読むこと。
そして、テキストは、読んで内容が簡単に分かるものがベストです。

補足:
テキストは、会話のひな型(テンプレ)になっているものが特に役立ちます。中学校の教科書でも十分役に立ちました。あと、おススメはNHKラジオのテキスト(基礎英語、英会話、などのシリーズ)です。

②ネイティブと話す

中学生の時、音読とあわせてしていたこと。
それは、休み時間にネイティブの先生と会話をすること。

ここでトライアル&エラーを重ねて実践を積む感じです。
音読が、野球でいうところの自主練、素振りだとしたら、
ネイティブの先生との英会話は、練習試合みたいなもんです。
(先生ではないネイティブとの会話が本試合という解釈)

ネイティブの先生から学ぶことで得られるメリットは

  • 「正しい発音」が分かる

  • ネイティブの音に耳が慣れる、聞き取れるようになる

  • ネイティブならではの言い回しを学べる

  • ネイティブの感覚(リアクション、語感、ニュアンス)を学べる

ネイティブから学ぶのは、早ければ早い方がいいでしょう。
間違って覚えた音や言い方を修正する方が時間と労力のロスになります。

一つ、初級の人が気をつけるべきなのは、
「ネイティブと話すときは、初級の人に慣れた先生を選ぶ」こと。

初級の時は、私はできるだけお金を払って
質の良いネイティブの先生と話すようにしています。
なぜかというと、

  • お金を払っているので、必ず自分に時間を割いてもらえる

  • 言葉につまっても、辛抱強く接してもらいやすい

  • 先生なので、初級の人に対して理解がある

  • 経験豊かな先生であれば、初級の人に対する教え方も上手

シビアな話をすると、
ペラペラに話せるわけではない初級の人に対して
教師でも、理解者でもないネイティブの人たちというのは
結構、冷たい反応だったりします。

もう一つ、シビアなことを言うと
ペラペラに話せているつもりでも
「なまり(アクセント)」が強すぎると
ネイティブの人は内心「何言ってるかわかんねー」状態になっています。

悲しいかな、職場やプライベートで
「ごめん、さっきの人、アクセント強すぎて
 何言ってるか分かんなかったんだけど、何て言ってたの??」
というネイティブのひそひそ話を何度聞いたことか・・・

あなたは話せているつもりでも
伝わる発音でなければ、相手には伝わっていません。
皆が皆、理解できるわけではありません。
それが、現実です。

つまり、伝わらない発音に加え、
つたない文章力、遅い会話スピードだと
ネイティブは理解を放棄しがち、ということ。

リスニングも発音も、どっちも向上できて
かつ、ネイティブの感覚を養える
のが、
ネイティブから学べる最大の利点です。

初級の人は、まずはネイティブの優しい先生から始めて、
次は、優しくて話を聞いてくれるネイティブの友達を
ランゲージエクスチェンジなどで作り
少しずつ自信をつけていきましょう。

ネイティブと話して通じ合えた時の感動や
自信に勝るものはない
、と私は思っています。

③日本語を忘れる

簡単に言うと、「日本語で考えない」癖をつけること。
もっとダイレクトに言うと、
「習っている言語のみで考え、文章を作る」癖をつけること。
つまり、英語なら、英語で考えてそのまま英語で話す、ってこと。

「私は今、日本語で話せない」と自分に暗示をかけると
脳みそが一生懸命、
今、持っている最大限の言語能力をかき集めて
なんとか相手に伝わる言葉をひねり出そうとするものです。

「どう言ったら、この言語で相手に通じるかな?」
と思って、拙いながらも言葉をひねり出すと
案外、その方が相手に伝わることも多々あったりします。

この方法の良いところは、
「言い換え」ができるようになること。
「言い換え」ができるようになると、こんなメリットがあります。

  • 分からない単語を「説明」できるようになる

  • 語彙や表現力が豊かになる

  • 着眼点や視野が広くなる

  • 相手の言っている内容もより理解できるようになる

  • 日本語を使わずに通じた!という自信が生まれる

Google 翻訳やスマホがない時代から言語を学んでいる
アナログ世代ならではの経験則。笑
語学力も結局は、生身のスキルなので
やっぱり自分の脳や知恵、労力を使うほど身になる、
という体感があります。

補足:
日本語をはさまずに、その言語だけで考える癖をつけるには、
それだけその言語をインプットする必要があります。
体感として、アウトプットできるのは、
インプットした内容の3分の1くらいです。
ネイティブと会話すると、
インプットとアウトプットが同時にできることが多いです。

④チャットをする

チャットは、疑似会話訓練です。
昔は、リアルタイムで文字のやり取りをしていましたが
(MSNメッセンジャーとか。チャットルームとか。なつかし!)
今は、音声チャットもありますね。

チャットの良いところは「リアルタイム」だということ。
分からない言葉を調べたり、文を考えたりしている間に
どんどん会話が進んでいってしまう
ところ。
この感覚に慣れておくことが、日常会話をするには大事です!

今は、AI のおかげで、独りで音声チャットも可能になりました。
私のおすすめは、Chat GPT です。
今は、これでフランス語を時々練習しています。

Chat GPT でチャットをするメリットは:

音声モード

  • ネイティブスピードのリスニング・会話を味わえる

  • Chat GPTの回答が予測不可能なので、反射能力が鍛えられる

  • Chat GPT が正しく認識できない自分の発音は、要矯正だと分かる

  • 自分の都合で会話を変更したり、終了できる

  • 音声モードを終了した後、文字で確認できる

文字モード

  • 自分のペースで、ゆっくり文を作れる

  • 分からない表現や単語を目で認識できる

  • 返事をするのに考える時間を持つことができる

Chat GPT もあくまで自主練ツールという立ち位置です。
それは、人間の感情を一緒に味わえないから。
Chat GPT で会話が続いても達成感に欠けるのは、
「心が通い合った瞬間」を感じられないからだと思っています。

一番大事なのは「勇気」

「スピーキング上達の近道は、ネイティブと話すこと」
が私の結論です。
一番効率が良く、高品質なスキルが身につく方法です。

これには、何より「勇気」がいると思います。
この「勇気」をどれだけ出せたかで
成長のスピードや質が変わってくる、と思っています。

「勇気」は出さないと、出なくなります。
筋肉や言語と同じで、使わないと廃れてしまいます。
その代わり、勇気も出せば出すほど、出やすくなります。

音読も、話すこともそうですが、
週に1度に長時間、たくさんやるよりも
毎日5分、10分でもいいので
「反復」作業としてこなす方が早く、かつ着実に身につきます。

筋肉などの「感覚記憶」というのは
そうした反復作業はしっかり覚えるみたいです。
ちなみに、こちらの記憶は長く残りもします。
「話す」スキルは、筋肉と同じです。
実際、口の筋肉を動かしていますしね。

上に紹介した勉強法も、きっとどれかは
どこかで聞いたことのある方法だと思います。
特別何かすごいこと、画期的なことをするのではなく、
ただただ、「地道に正攻法をとにかくやる」ことが
何より勇気のいる行為なのではないでしょうか。
少なくとも、私はそう思います。

つまらないように見えるかもしれませんが、
実は、地道に積み重ねていく中で、
「できるようになった」ことを数えること、
成長を楽しむことが、
息長く、楽しみながら続けられるコツだと思います。

今は留学せずとも、オンラインを通して
ネイティブから学べる機会がたくさんあるので
是非是非、有効活用してほしいです。

ここで紹介した私の勉強法が
どこかで誰かの言語学習に
少しでもお役に立つことがあれば幸いです。

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