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推しメンこと原田清花さん出演の舞台「ハミダシモノの音色」を見てきた所感

過日、推しメンこと原田清花さんが4日間7公演の舞台「ハミダシモノの音色」(以下、当公演)を無事やり終えたので、2回観劇しての感想などを書き連ねていきたいと思う。

少々長いかもしれないので、ゆっくり時間がある時にでもご拝読いただければ幸いだ。


【NBO presents「ハミダシモノの音色」ウェブサイト】

【ステージナタリー 10月7日付記事】


■推しメンこと原田清花さんと演技の仕事

僕の中で、今も深く印象に残っている舞台がある。

それは、2020年11月に披露されたSTU48の公演舞台「Selfish amity's」(通称セルアミ)で推しメンが主役を演じたことだった。


【その時の感想を書いた記事】

この舞台の数か月前、2020年7月にSTU48号の退役が発表されたが、その渦中にあるSTU48メンバーによる船上劇場にまつわる舞台が披露された。

この舞台では当初、1D3期と2期でそれぞれの公演舞台を行った。その中で、主役の「アン」を演じたのが推しメンだった。


セルアミでの推しメンこと原田清花さん

そして推しメンは、経験が少ないながらも非常に良い演技をしていた。
正直な所、不安と心配と共に見始めた舞台だったものの、最後にはそんなものはどこかに消え去っていて、僕はただこの創作世界と現実世界がリンクする魅力的な舞台の虜になっていた。


2023年度 原田清花プロフィール

その後、推しメンは生誕祭などで「演技の仕事がしたい」と公にも宣言することが多くなり、実際に2023年度プロフィールでも「今年チャレンジしたいお仕事」に「演技のお仕事」を挙げている。

僕個人的には、彼女の演技力はすごく良いものだったし鍛えれば伸びしろが充分ある…と感じていたので、スキルと願望が合致するということはファンとして喜ばしいことだと思った。

そして、そんな推しメンの願望は早速実ることとなった。


■というわけで、舞台「ハミダシモノの音色」を観劇しに中野ザ・ポケットへやってきた

下剤と戦いながらこだま732号に乗車中の様子

2023年10月12日、木曜日。ド平日。
僕は午前中に名古屋駅近くで健康診断を受け一旦帰宅し、バリウム後の下剤と戦いながら名古屋駅から新幹線で東京へ向かった。

さて、偉そうなことを散々言っているけど、僕の中で舞台や演技というものには、音楽やライブに比べるとそこまでこだわっていないというか、積極的に趣味として取り組むような熱意は持ち合わせていなかった。


昭和初期建築風な雰囲気の中野ザ・ポケットの夜景

それなので、そもそも「演技のお仕事」というものをよく分かっていない。このような小劇場に足を運ぶのも初めてだった。
強いて言えば、当公演は喜劇・コメディとのことだったので、それなら子供のころから毎週土曜昼に腐るほど見てきているけれども。

だからこそ、これまでのライブとは違った高揚感と緊張感を持ちながら、この場所へやってきた。
東京・中野にある劇場、「中野ザ・ポケット」である。

洋風モダンな建物は昭和初期建築の雰囲気を感じるが、調べてみたら1998年開館とのこと。
劇場内は横に12人前後、縦に10数列だったからキャパは150人前後、といったところかな…と訪問時に思ってたけど、こちらも調べてみたら180人だった。
小さいけれど、小さなライブハウスにもよく行く人間からすれば、座席アリでこの広さなら十分なものだった。


13日昼のチケット

僕は当公演のチケットを、この12日夜と13日昼と購入していた。

S席・A席とあり、S席だと前方3列目までの席で写真付きと特典もあったけど、僕は前方である必要性も感じないし写真も特に欲しいと思わなかったので、A席を購入した。
余談だが、ライブに関して僕自身は「前方でしか楽しめないヲタクは無能」だと思っている。これはある意味観劇でも共通かもしれない。

座席は12日夜は11列目、13日昼は12列目…のはずだったが、座席レイアウト変更のためとのことで7列目に移ることになった。その辺の事情は察しても言わないのが礼儀だろう。

ちなみに、電子チケットで購入したので紙チケットはないはずだったが、その変更のおかげで入手予定の無い紙チケットを手に入れることができたので、それだけでもありがたい話だった。


そして2023年10月12日19時、舞台「ハミダシモノの音色」の幕は上がった。


■推しメン・オン・ザ・ステージ

公演時間は2時間、と開演前にアナウンスがあった。
僕は2時間の間、うつし世と別れを告げる。

舞台にトップバッターとして、パーカーにスパッツのラフな格好で現れた推しメンこと「ねいろ」。
それと同じくして他に「ろこ」「めめめ」という2人の少女がステージに現れ、そしてこの3人が特攻服を着た何者かに連れ去られるシーンで舞台は始まった。(役名はこの時点では出てこないけど)


原田清花 X(旧Twitter) @hrdsyk_rin 10月15日投稿より

この物語は、この3人と池ちゃん扮する「ぱりぴ」の、中学時代に合唱部だった4人の幼馴染を中心に展開される。

それ故に、推しメンは常に舞台上で役を演じていた。
台詞量はものすごく多いわけではないが(池ちゃんのほうが多いかなという印象)、それでも少なくない量の台詞を覚えるのは、東京〜大阪〜広島を行き来して全国ツアーファイナルなどの色々な仕事を挟みながらでは至難なことだったと思う。


前述したが、以前推しメンがセルアミ公演に出演した時、僕は不安と心配と共に公演を見始めていた。
推しメンは公演前に大きな重圧や緊張を感じていたし、当時のプラメでもその心情は伝わっていた。

結果的にそれは杞憂となり、推しメンが主役「アン」を演じたセルアミ公演2期生ver.は大団円を迎えた。


原田清花 X(旧Twitter) @hrdsyk_rin 10月10日投稿より

今回、そのセルアミ公演の時と大きく違うことは、推しメンのモチベーションの高さだった。
推しメンは多忙な中での稽古を乗り切ろうと、舞台を成功させようと、この仕事に対して非常に高いモチベーションをキープし続けていた。

やりたいと自ら願った仕事に対して、推しメンは全うしようと必死だった。
それ故に、僕は当公演に対して何の不安も感じていなかった。
推しメンは必ずやり遂げる。その考えしかなった。

2019年末の加入から、全てが変わってしまった2020年以降の歳月を経て、苦しい状況や仕事を乗り越えてきた推しメンを含めたSTU48の2期生たち。
僕は彼女たちの成長を嬉しく思う。


演技に関しては、僕の中では及第点なんかを遥かに超えて素晴らしかった以外に持ち合わせる言葉は無いのだけど、もちろん俳優を生業としている本業の方、目の肥えた演劇ファンの方からすれば 、そうではないところもあったと思う。
それでいい。最初から完璧なやつなんかいやしない。


とはいえ、台詞を忘れたりすることもほぼ無く、声量もしっかり出ていて、これに関してSHOWROOMでよくネタにしていたは学生の頃のアルバイトの経験が生きているのかもしれない笑

いやまあ、アイドルだからボイトレで鍛えた成果の方が大きい気もするが。

声量だけじゃなく、パフォーマンスでの歌唱も耳馴染みの良い綺麗な歌声だった。
世間一般からすればかわいい声、と言えるだろうけど、池ちゃんの本格派歌唱と上手いこと対比されて面白かった。


購入した台本(右)とクリアファイル、ポスター(渋谷の居酒屋にて)

また、2回目(13日昼)の観劇後に物販で購入した当公演の台本を読んだが、ところどころで演者に対して「おまかせ」の台詞の箇所があった。
つまりそこは、物語を邪魔しない場所の台詞で観客の笑いを誘うという意図だ。

これに関しては、STU48として様々なバラエティ番組を経験してきたことが生かされているのではないかと思う。
アドリブでボケるとか色々やってきていたから、そういう対応力を所々で(というか割と開幕早々に)感じられた。
まあ観劇後に台本を読んで改めて振り返ってみて、の話だけど。

それと同時に、歌にダンスにバラエティに演技に、マルチなものを求められるアイドルの大変さと偉大さを感じずにはいられなかった。


さて、演技全体としてもすごく自然でありながら、ドラマのような普段の会話のような感じではなくしっかり舞台に特化された演技をこなしていた。

当公演の開始当初は「原田清花」として見ていた僕も、いつの間にか作中の世界観に引きずり込まれ、「音羽ねいろ」(役名)として推しメンを見ていた。

池ちゃんと違い、どちらかといえば推しメンの自然の状態に近い役どころなのも救いになっているのかもしれない。
もちろん役者たるもの普段の自分とは全く異なるキャラクターも演じなければならないけど、ある種作中のキャラクターと共に成長を遂げているようにも感じた。
これはセルアミの時もそうだったかもしれない。


原田清花 X(旧Twitter) @hrdsyk_rin 10月15日投稿より

当公演を通して推しメンの演技が上達し、推しメンが成長し、さらに大きな舞台への一歩となったことを確信している。

その過程を、直接自ら目で見ることができたことを僥倖に思う。


■池ちゃんの驚くべき活躍

原田清花 X(旧Twitter) @hrdsyk_rin 10月15日投稿より

僕が個人的に度肝を抜かれたのは、池ちゃんだった。
役づくりのための容姿もだけど笑、何よりもその抜群の演技力に言葉を失った。


開演して割とすぐに歌唱パフォーマンスがあるのだけれど、歌唱に関してはさすがにSTU48のヲタクをしているので驚くことはなかった。
AKB48グループトップクラスの歌唱力で歌唱力NO.1決定戦では2回も優勝し、テレビ番組でも何度か取り上げられた逸材。
とはいえ相変わらずハイレベルなその歌唱力には、毎度ながら脱帽してしまう。

僕としては池ちゃんの演技が本当に堂に入っていて素晴らしかったので、驚きを禁じ得なかった。



しかしながら、よくよく思い出してみると池ちゃんは2022年夏に「幸せになるために」という舞台を経験していた。


舞台の演技経験に関しては推しメンより一日の長があり、しかも歌唱だけではなく演技もハイレベル。

今回の「ぱりぴ」役はレディースのメンバーでオラオラ系の役だったが、上手く役にハマっていた。
ビジュアルのインパクトが強烈だったけれど笑


僕は推しメンと相対的な評価をするつもりはない。
推しメンも池ちゃんも、全てを出し切っての公演だったと思う。

池ちゃんは、アクターズスクール広島で培った経験を基にポテンシャルを開花させ、今こうして様々な外仕事をこなしている。
歌唱、演技、天は二物を与えることもある。僕は当公演で大きな感銘を受けた。


そして何より推しメンと二人三脚でW主演を演じ切ったことに、賛辞と労いと感謝を伝えたいと思う。
推しメンも、池ちゃんが居たからこそ頑張れたところが大だろう。

ありがとう、そしてお疲れ様。


■舞台「ハミダシモノの音色」についての所感

前述しているが、僕は劇場での舞台観覧は初めてだった。
しかしながら、コメディということもあって非常に楽しい時間を過ごさせてもらった。感謝申し上げたい。


原田清花 X(旧Twitter) @hrdsyk_rin 10月15日投稿より

「ハミダシモノの音色」の表題の通り、世間という枠からはみ出してしまった者たちがレゲエという音楽を通して仲間となり、外の世界へ一歩踏み出していく物語。
こうやって言葉にして要約するのは簡単だが、その一歩を踏み出すことの大切さを2時間の間に詰まっている。

そして表題も、主人公が「ねいろ」という名前ということで、最後まで観劇すると
「ハミダシモノが奏でる音楽(音色)」
「ハミダシモノとなって新しい世界へ飛び出すねいろ(主人公)」
のダブルミーニングとなっていることが分かる。


そのため歌唱やダンスのパフォーマンスが入ったりとミュージカルチックな演出もあって、観客の緊張感を解してくれる。
まあ喜劇故に、緊張することは全然なかったが…笑

またその他にも途中で忍者的なパフォーマンスが入ったりして、ただの舞台では無い趣向に富んだ内容・構成となっていた。

これが重い内容のものだったら、劇場観覧が初めての僕も緊張しっぱなしだっただろう。
推しメンにも、良いファーストステップだったのではないだろうか。


また僕自身、舞台文化に対して無知だったが、当公演をきっかけにそれを知ることができたのも大きな収穫だった。

例えば僕は「水曜どうでしょう」経由で大泉洋さんを知ったのだけど、俳優としてのキャリアではなく舞台人としてのキャリアが全く分かっておらず、「水曜どうでしょう」以外でどういう道を歩んできたのか想像がしづらかった。

舞台人の皆さんの生き様を少しだけだけど、垣間見た気がした。


また、複数回の観覧となると内容も既知のものとなってしまうので、音楽のライブと違って台本のある舞台では各回の差別化が難しそうだな…と素人考えで思っていた。


とはいえ、人間がすることは同じことをしても全く同じにはならない。
舞台・演劇にも、音楽同様のライブ感があるんだということを学んだ。

僕は根っからの音楽畑の人間(というほど大袈裟ではないが)ではあるけど、こうして皆が一体となって作り上げていく「舞台」というものに魅力を感じたし、表現方法の違いはあれど「人に何かを伝える」ということに関しては共通だと思う。


ねいろだけでなく僕自身の世界も広げてくれた当公演だった。


■改めて推しメンの成長と活躍、そして今後のこと

原田清花 X(旧Twitter) @hrdsyk_rin 10月14日投稿より

推しメンこと原田清花さんがずっとやりたいと言ってきた「演技のお仕事」。
無事、今回の舞台は大団円を迎えた。

改めて推しメンに賛辞を送ると共に、W主演を演じてくれた池ちゃん、素晴らしい舞台を創ってくださった出演者各位、スタッフ各位、また仕事を持ってきてくれたSTU48運営にも感謝を申し上げたい。


僕の信条として、「アイドルはパフォーマンスしてなんぼでしょ!まじで!」という、元乃木坂46中田花奈さんの言葉を信奉している。
しかしながら、今回はそのライブパフォーマンスと一線を画したステージを見ることとなった。

しかし結果的に、当公演を通して推しメンが成長をしたと感じたし、アイドルは決してライブパフォーマンスだけではないんだということを認識させてくれた。


そして何より、推しメンがやりたいことをやれている。
ファンにとって、これほど嬉しいことはない。


まもなく発売するSTU48の10thシングルでは、推しメンは選抜に入ることはできなかった。
本人も、僕も、ファンも悔しかった。
だけど、たぶん全ては次へのステップのためなんだろうと思う。

次のステップで、推しメンがどんな夢を紡いでくれるのか。
僕はそれを楽しみに推し事をしていきたい。


なんて大それた話じゃないよね。
僕は最後まで見届ける。思い出をたくさん作りたいだけ。

ともかく、舞台お疲れさま、さやかりん。

(了)

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