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新型コロナウイルスで見えてくる日本の表現者の世界。

 今回の新型コロナウイルスは、感染症が拡散する恐れがあるので
国の要請などもあり、東日本大震災の時以上に中止や延期が
多い様に感じる。震災の時は、被災地で無い地域で活動する事ができたが、
今回は、全国どこも確率は違えど目に見えないウイルスの為に
ホール等での活動がしにくい。(今日現在)
IPS細胞の研究の第1人者の山中教授の発信は、1番客観的に
国内、世界の状況を見て提言してくれている様に思う。
山中教授の新型コロナウイルスのページ
https://www.covid19-yamanaka.com/index.html

どうしても表現者は、感情論になりやすいので、
感情論や素人の判断で動くのは危険なウイルスの様なので
私達が命に向き合う事を大切にしたいと思う。
今回のウイルスの騒動は国内、世界で起きている問題なので
表現者だけの話では無いのだが、この事から見えてきたものがある。

■表現者の主張は、平時から
 あくまで私の感じている事だが、日本の特にクラシックの
アーティストは、普段あまり自分達の起用のされ方、出演料などに
意見を言わない人が多いなあと思ってきた。
今回のコロナ騒動でここまで追い詰められて初めて意見を言う人が
増えてきた印象を持つ。

 しかし、アーティストの労働条件や環境については平時から
きちんとオーガナイザーや先方と自分というアーティストを守るために
主張し考えを伝えないといけない様に思う。日本人の表現者の多くは、
大変だ大変だと呟いたりはしても、本当にオーガナイザーときちんと
交渉したり意見交換する人は少ない様に思う。
それは、言う事により次回起用されなかったらどうしよう?とか、
今回、仕事が流れたらどうしよう?という気持ちが芽生える
からであろう。(関係性で仕事の引き受け方はまちまちではある。)

若い時は、活動場所が無いから、知ってもらう為にも
どういう条件でも頑張ってきたというのは誰しも経験があるだろう。
でも、ある程度自分の中にキャリアを踏んできた自負が出てきたら
常日頃からアーティストとしての立場を守る交渉は必要であり
大切である。

 こういう非常時に、わーわー言っても結局は、皆が大変だから
表現者が特別大変だと世間は思わないし、言葉を投げても
響かない様に思う。ここで言いたいのは、平時から意見を言う事の
大切さの話である。

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■表現者の立場の違い
 表現を生業に生きている人達もそれぞれに違う。
わたしの様な職業音楽家もいれば、働きながら音楽活動する人、
音楽教員しながら、音楽活動する人、お家柄で音楽活動続けれる人、
旦那さんや奥さんの収入で音楽活動できる人、どういうスタンスであれ
表現者でありアーティストであるが、その環境によって抱えている
問題は非常時に大きく変わってくる様に思う。
だから、問題の投げかけ方も変わってくる。こういう時に、
そのアーティストの書き方でスタンスが見える。 

 コロナ騒動で面白い現象だなあと思ったのが、平時は、
仕事をかけもちながら音楽を続ける事を大変と思っている人達が、
生きていく上では強いし、職業音楽家は、平時は良いけれど、
社会に何か起これば全て仕事を失う。だから、何が幸せで何が不幸かなんて
いつも分からない様に思う。

■表現者は一括りでは縛れない
 ニュースで日本俳優連合の代表として西田敏行さんらが
国に保障や助成の要請をしていた。俳優は俳優でも、西田さんの様にテレビや映画に頻繁に出演している俳優と、小さな劇団の俳優では経済事情が
全然違うので、この部分が一括りで俳優として語られると、
社会から支持を得られない部分でもあると思っている。
芸能系の俳優やミュージシャンと、
劇場中心や舞台やコンサート中心の文化事業的な活動と出演料の単価が
違い過ぎて、興行系の仕事をしている人達と一緒に語るのは
良くない様に思う。事情があまりにも違い過ぎるので。

私が各地で講演する時に、興行と文化事業について語るのは、
そういう違いを分かっていない人達が多いからである。
それは文化事業団とかで働いている人達ですらその認識は低い
傾向にある。

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■表現者という道の選択
 日本において一般的に表現者で生きていけるのは、
テレビの人となった著名なアーティストか、クラシックなどだと、
学校教員をしながら音楽活動している人が経済的に安定した道なんだと
思う。(ここで言う表現者で生きていけるというのは、能力、才能の
話では無くて、経済的な安定のある生きていけるという解釈)

今回自営業やフリーランスに保障や助成の在り方に異議のある
声も多い。自分もフリーランスとして生きているが、
保障や助成が無い事が致し方無いと思っている。
なぜなら、親にせよ、身近な大人達が、子供の頃から、
教員や企業や組織に入って、経済的な安定を勧めてくれたのに、
自由に使える時間と、自分がやりたい事をする為に
フリーランスを選んだ。

企業や組織に入った人もやりたい職業であっても、
命令系統の中で生きる訳で、自分の想いと違って仕事を
進めていかないといけなかったり、やりたくない事もしないといけない。
その代わり、会社や組織に守られたり保障がある訳である。

平時は、資本主義で、民主主義だけど、非常時になれば
何か社会主義、共産主義の様な感覚に見える。
こういう時に、どれだけ覚悟を持って表現者の世界に飛び込んで
いっているのか?また、こういう騒動で今の現状の自分の立ち位置が
見える様に思う。(但し、今回の状態は、さまざまな職種が活動が
できなくなっているので一概には言えない部分はある。)

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