パワハラ要件がすべてそろって初めて「パワハラ」になる⁉ ~その2
皆さん、こんにちは。人材開発アドバイザーの梅沢佳裕です。
「パワハラ」に該当するかどうかの判断を行うには、「パワハラの要件」があります。
前回はその1として、要件を二つ解説しました。今回も引き続き、残り3つの要件について見ていくことにしましょう!
前回も示しましたが、下表が「労働施策総合推進法」にあらたに新設されたパワハラの5つの要件です。
前回①、②に続き・・・
③業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの(言動など)により
この要件の判断の難解なところは、やはり文面解釈ですね。
なぜなら「相当な範囲って、どの範囲?」と考えてしまう方が多いからです。
社会通念上の範囲での言動とは、どのような意思疎通を想像できるでしょう?
これは上司などの言動が、部下等の業務の遂行上必要がない、あるいは適切ではないということになるでしょう。
もし仮に業務でミスをしたとします。その状況で上司が、「しっかり指差し確認をしろと言ったじゃないか、もっと業務に集中して取り組むように!」と注意するのは良いのですが・・・
「おい、何度も同じことを言わせるんじゃねぇ~、頭悪いのか!」という言動は、明らかなパワハラとなります。
部下の業務上のミスは注意しても、部下の人格を否定するような言動はNGとなります。注意の仕方、言動に気をつけましょう。
④(その事業者が雇用する)労働者の
直接雇用する労働者に対して行われるのが「パワハラ」ということです。労働者には正規職員だけではなく、パートやアルバイト、契約社員なども該当します。
パワハラとは、ただ強い口調で怒鳴られたからパワハラになるというものではなく、直接の雇用関係において、つまり優越的で直ぐには逃れられない関係性の上に存在するということです。
⑤就業環境が害されるもの(身体的・精神的な苦痛を与えるなど)
さて、最後5つ目は「就業環境が害される言動」です。
害されるとはどのような側面から何かというと、身体的側面ならびに精神的側面について苦痛を伴い就業することが困難な状況のことです。
ここで身体的側面による苦痛により就業困難となるか否かは、確認できるという術(すべ)がある分だけ、判断しやすいのですが・・・
精神的側面については、はっきりと目に見える確認できるものが乏しいため、判断が非常に難しいという面があるでしょう。
例えばストレスによってうつ病を発症し、労災認定を受けようとすると、非常に高いハードルがあります。
このように労災認定においても、すべての精神障害が労災に認定されるわけではないのです。
上司と部下は、利害関係にある場合が多く、パワハラ対策においても当然立場が真逆ですので、本来は、それぞれの立場からスキルを学び得る必要があるでしょう。
パワハラの5つの要件だけで、判断するのは、非常に難しいですね。しかし、要件を理解することで、上司などの立場からは、何がパワハラなってしまうのか、いわゆるアウト!知って、パワハラ防止・・・
部下の立場からは、正しくパワハラを理解し、知識を増やすことで、上司などからのパワハラの抑止効果を効かせられる。
さらにもしパワハラにあってしまったら、慌てずに対処するための知識(の一部)を学んだということになるでしょう。
でも、これだけでパワハラか否かを判断するのは難しいなぁ~と感じている人も多いはず。
そこで、次回は、「5つの要件」だけじゃない、「パワハラの6類型」について触れていきたいと思います。
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