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映画「鹿の国」
諏訪大社に伝わるご神事を扱ったドキュメンタリー映画を
観てきました。
縄文文化の中心であったとも言われる諏訪。
その土地の、今も続く祭礼について。
映画を通して、人が恭しく祈る姿を見るのは
不思議な感覚でもあり
巡る季節、命の大きなサイクルの中で
土地とともに、季節の巡りとともに生きてきた
人間の営みに不思議な羨ましさも感じました。
美しい自然の中で、神々と共に今も生き続けている。
こんな風に生きてみたいー と思ったのかもしれません。
春が来て、桜が花を咲かせ、秋になり、稲穂が実る。
目に見えないものの働きが、芽吹かせ、実らせる。
鹿が射止められるシーンは
私にとってはとてもショッキングでした。
命の生々しさが迫る場面。
でも、日々それと同じことを私たちは見えないところで
許容しているのだと思うと気持ち悪さも感じます。
痛みや不快を感じるものを目の前から隠して
引き受けないことで、ズルさを感じるというか
人間から何かが削られていくような気すらする。
多くのことをコントロールしようとして
生まれた歪みすらもコントロールしようという
終わりのない流れを今感じるのですが
そこに違和感や限界、そこはかとない不安を
感じているのだろうと思います。
暮らしを原初的にするということではないにしても
大きなサイクルの中に戻りたいというのは
私たちの中に思い出されつつある感覚なのでしょう。
マニアな映画かと思っていたけれど、
満席回も多いことに驚きました。
ポレポレ東中野にて。